8月21日 海の家の『DQN's』・後半
前半の続きです。
「では、続いては妹の義愛と一緒に初めての共同作業! 一緒に合唱させていただきまーす! 曲は『夜太鼓』!」
「……頑張ってやらせていただきます。今回はフルでやらせていただきます」
そう言って、瀬島蒼龍と大神義愛の2人は揃って歌を歌い始める。
2人が揃って歌うは、『夜太鼓』。
少女の気持ちと、夏祭りを対比させた曲。少女の気持ちがひしひしと、夏祭りと言うテーマの元、伝わって来る。
瀬島蒼龍は力強くて男らしい声で、大神義愛は美しくて透き通る声で歌いだす。原曲は女性歌手たちによる曲でそれはそれで味わいがあるが、『DQN's』の2人が歌う事もまた違った、心地良いような、安心するような、それでいて心に響く声が耳を揺さぶる。
本来であれば、これで曲は全て終了なのだが、誰1人として帰ろうとしない。海の家AKIRAも、陸さん、海さんが沢山の料理を持ってせわしなく『DQN's』を見に来た観客のために動いている。渚さんは店の柱で隠れながら、こちらを窺っている。あんな所に居ないで普通に出て見れば良いのに……。
会場は強烈なアンコール・コールで包まれており、『DQN's』は観客の言葉に答えるようにして、最後の曲を歌い始める。
「では、最後の曲です。この曲は夏と思い出を歌った曲であり、この曲を聴いて皆さんの夏の日の思い出がよみがえってくれればなと思います! では、最後の曲です。聴いてください、『君がくれたあの日の想いで』」
瀬島蒼龍の紹介の元、最後の曲が演奏される。
最後の曲は、『君がくれたあの日の想いで』。
死んだはずの少女が再び成長した姿で現れ、10年と言う月日と夏の思い出、それから変わってしまった少女達との関係を結びつけた曲。
その歌を歌いながら、瀬島蒼龍と大神義愛の2人はどう言う気持ちを持って歌ったのだろうか。けれどもその曲は、僕達に夏の日の淡い思い出と、美しい情景が目に浮かぶのであった。
「ニャハ~! 千秋君の料理も良いけれども、歌も素敵にゃ! あっ、千秋君、次、このメニューを頼むにゃ!」
「はいはい……。これでどうだい、サツキさん?」
「うぅ~! 夏休みも千秋君の料理が食べられるなんて、最高ニャ~!」
そう言いながら、海の家AKIRAでの声が聞こえるが、気にしない事にしよう。
そうして、『DQN's』の海岸ライブは幕を閉じた。
これから先、『DQN's』はまた今日のようにライブを開催してくれるだろう。そしてそこでは、瀬島蒼龍の力強い歌声と男らしい伴奏、大神義愛の美しい歌声と女らしい伴奏を聴けることだろう。
小藍さんからさらに陸さん、海さん、渚さんを。
とにあさんから千秋君を、そして寺町秋穂さんから鍋島サツキさんを借りました。
曲の名前は適当に変えて置きました!