7月17日 駄弁り部の『DQN's』
7月17日、天候晴れ。
ただし、16日より暑い。
何故か異常気象か何かなのか、どんどんと暑くなっていく日差しが降り注ぐ中、僕は部室にて2人組の相手をさせられていた。
「いやー、すいませんね。なんだか噂に聞く所によると、この"駄弁り部"には来た方が良いと言われまして、2人で来てみたんですね。
どうも、瀬島蒼龍です! よろしくお願いします!」
「……。大神義愛、よろしく」
と、目の前に現れたのはなんともチグハグな、2人組だった。
1人は瀬島蒼龍と名乗った美少女。腰まで伸びる金色の髪を髪留めでポニーテルにした青い瞳をした外人めいた容姿、白い豪華そうなフリフリのドレスような服装を着ており、140cmくらいの低身長のロリ的な容姿をしている。そしてニコヤカにニコリと笑っている。
もう1人は大神義愛と名乗った美青年。無愛想な顔をした黒髪と黒い瞳をした容姿の美少年で、背も170cmくらいと高く、深緑色のラフそうな服と黒い長ズボンが妙に似合っている。無口そうな顔で、窓の外を向いている。
けれども、僕は知っている。彼らは美少女風の瀬島と名乗っている方が性別的には男性であり、美少年風の大神と名乗っている方が性別的には女性なのだ。所謂、男女逆転カップル……カップルであると言う事でも無いのかも知れないけれども。
どうして知っているかと言うと、それはこの前の月曜日の祝日。海浜公園にて瀬島と大神の『DQN's』のライブを聞いているからだ。その時にファンから彼らが男装している事と、女装している事を聞いたのだ。まぁ、こんな学校でもこうやって男装と女装を分けている所を見ると、余程徹底しているんだなと思う。まぁ、深く突っ込んだら色々と不味い気がするので、そこまで踏み込まないけれども。
「―――――――"駄弁り部"、相談を解決する部活、ね! 色々と面白そうだよね、ギア! ギア!」
「……」
瀬島はそう言って大神に話しかけるが、大神は相も変わらず黙り込んだまま窓の外を見つめたままである。それだけ喋りたくないんだろうか……まぁ、声を気にしてわざと低目の声で話してるみたいだし。
「もしも何か用事があればこちらから、よらせてもらうね! いやー、近くにこうやって気軽に相談できるところがあって嬉しいよ! だよね、ギア!?」
「……」
「じゃあ、また来させて貰うよ! ほい、じゃあーねー!」
そう言って、2人は帰って行った。
……なんだったんだ、一体。
結局、瀬島ばかりが喋って大神が喋ってないような気がする。あの瞳は――――――絶対に何か相談があるみたな眼をしていたと言うのに。