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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
日向蓮華の章
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5月30日 狙われた彼女

 5月30日10時、天候晴れ。

 ともあれ、俺としても有意義に使える部室を失うのは惜しかった。そこで仕方なく、部員集めをする事になった。ともあれ、最低でも普通の部活を結成するのに必要な部員数は5人だが、俺の部活は廃部には出来ない学園生活環境部であるため、あと1人を集めればいいのだ。



 候補は何名かいるが、候補者の多くは3種類に分類される。

 1種類目は帰宅部。帰宅部の中には入りたいような部活がなかった、もしくは部活を毎日続けるような気力がなかった奴らが居るはずだ。少なくとも俺も学園生活環境部と言う絶好の住処を見つけなかったらそう言う道を辿っていたはずだからだ。そう言った連中を勧誘、もしくは幽霊部員として署名させれば目的は達成される。しかし数多いる帰宅部の中からそう言った事を考えている奴らを探すのは骨が折れる。故にこれは却下。

 2種類目は部活動を辞めたいと思っている奴ら。こいつらは初めは友達がやるからとか、興味があるからと思って始めては見たものの、1か月近くたって自分とは合わないと感じつつなかなかきっかけを持てずに辞めるに辞められない状況の人物達だ。狙い目としては運動部の野球部かサッカー部辺りにそう言った考えを持つ連中が数人居るとは思われるが、汗臭い自分よりも立場が上な連中とわざわざ話し合う義理もないので、これも却下。



 そこで俺は3種類目の選択肢を選ぶ事にした。

 3種類目の人間、それは学園生活不適合者だ。これは何らかの理由で学園生活を、青春を謳歌していな連中の事だ。所謂、ボッチ。そう言った連中を勧誘するのは、意外と難しいように思えるがそうでもない。彼らは初めからそう言った人物になりたいと思っている人間は少なく、たいていはきっかけを掴めていないだけだ。ならば、こちらでそのきっかけとなってしまえば良い。要するにそう言う事だ。



 そこでまず手始めに、同じクラスから攻める事にした。他クラスにも居るには居るのだが、まず他クラスに話に行くという行為自体が面倒であるために同じクラスで良いかと思ったのだ。同じクラスの人に話しかけるだけだったら、別のクラスの人に話しかけるよりも噂にはなりにくい。波風立てずに、いつも通り暮らしたい。それが俺のポリシーだからだ。



 うちのクラスにはボッチが居る。そのボッチの名前は、日向蓮華(ひなたれんげ)

 流れるような黒髪とおどおどとした小動物感を感じさせる大きな瞳。身長も小柄で女子からは保護欲を感じさせ、男子としてはその身長に似合わないダイナマイトな巨乳にメロメロと言う、こいつがどうしてボッチなんだと言うくらいの美少女だ。

 しかし、この日向ははっきり喋らず、いつもおどおどとした様子で、何かに怯えたような口調で喋る。俗に言う内気な性格の持ち主で喋っている方が何だか虐めている感じを自分と周りの他人が感じてしまうため、喋りかけてくれる人は多くいるが、その代わり友達という物をなかなか持てずにいるそう言う人物だった。



 まぁ、男女共に仲良くしようと少しくらいは喋っているので、俺が話しかけてもそんなに噂にならず、接する事が出来るだろう。まずは仲良くなり、それから部活に入ってもらえるようにお願いしてみよう。と言う訳で、



「日向さん、ちょっと良いかな?」



「な、なにかな……あ、天塚君」



 話しかけてみたんだが、何故そこで瞳に涙を覚えて身体をぷるぷると震わせるのかが分からない。こっちが虐めている感じを周りに与えてしまうだろう。なるほど、これが彼女のボッチたる所以か。しかし俺も負けはしない。



「俺は日向さんの事がなんとなく気になっているんだ」



 そう、俺の部活存続のための部員として。



「え、えっと……それって……どういう?」



「俺は君の悩みを和らげたいと思う。俺は君と友達になりたい。だったらどうすれば良いだろうか?」



「あ、あのー……」



「いや。今は答えてくれなくて良い。ただ覚えておいて、俺が君と友達になりたいと思っていた事を。

 今日の放課後、可能だったら学園生活環境部の部室に来てくれ。話したい事がある」



 俺はさっと席に戻る。どうだ、俺の巧みな話術。ああ言う内気な人間には直接自分の思いを押し付けるだけではだめだ。それを考える時間を与えなくてはならない。そして友達になりたいとだけ伝えて帰れば、少なくとも彼女の胸に俺という存在はなんとなくだが認識されたはずだ。そして今日の放課後、部室にて話し合いの場を用意した。これでさらに話しやすくなった。

 よし、このまま一気に彼女と友達になろう。そして俺の住処存続のために、彼女には俺の部活に入ってもらおうではないか。

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