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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
水鏡栗花落の章
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お悩み相談第1回 鍋島サツキ

 7月1日、天候曇りのち小雨

「日生千秋君が作る料理が美味くてたまらないのにゃー! どうしたら、鍋島家の婿に迎え入れることが出来るかにゃ~?」



 と、目の前に居る高校生、鍋島サツキはそう僕に相談してきた。



 鍋島サツキ。彼女の相談事は、簡単に言えば行き過ぎた結果の結婚願望だ。

 彼女は言動から推測するに食事に重みを置いており、日生千秋の作る料理が美味しくて日生千秋の事が気になっていた。けれどもそれが次第に日生千秋に対する好意に変わってしまい、最終的に結婚まで至ってしまったと言う事なのだろう。



「どうすれば良いのかニャー? 高校生で恋愛は早いと思うニャー。けど、あの美味しさは重要ニャー。だからどうすれば良いのニャー」



 むー、と言う鍋島サツキ。



 この女、どうやら相当参っているみたい。どうも彼女は女性的とは言えないし、こう言った恋愛にどう対処すれば良いか分からないのだろう。けれども僕は対処しない。

 彼女がどう言った恋心を抱いているか分からないし、そもそもそう言った恋心を何とかやわらげてはいけないとは言われていない。彼女に言われたのはどうすれば婿に入れられるかと言う行動の仕方を聞いて来たのであって、恋心をどうにかしたいとは聞いていない。ならば、やりようはいくらでもある。



「鍋島さん。君はとりあえず彼とそれなりに親密な関係にあると言う事は間違いないよね? 少なくとも喋るくらいはしているはずだ」



「そ、そうニャ?」



「で、相手は同級生の高校2年生?」



「そうニャ。だから良く行くニャ」



 日生千秋。そう言えば、うちの高校の2年で料理部のそう言った先輩が居ると霧島恵美から聞いた事があるような気が……。相手は学生、か。ならやりようはいくらかある。



「君は良く料理部で日生千秋の作る料理を食べている。それは間違いないか?」



「間違いないニャよ?」



「だったら、まず婿に引き入れる前に恋人にならないといけないな。結婚の前には恋人になるのが定石だ」



 それを聞いたら、急にボン! と顔を漫画のように赤らめる鍋島さん。すげー、漫画みたいな光景だ。



「こ、恋人ニャ!? は、恥ずかしいニャ! そ、そんニャの出来ないニャ」



「婿に入れようと言う時点でその段階は吹っ飛ばしていると思ってたよ。まぁ、その話は置いておこう」



 これ以上、顔を赤らめさせても時間の無駄でしかないし。



「良いか? まずは告白を成功する事。これが一番大事だ。それは分かるな?」



「う、うん。そりゃあ当然ニャ。断られたら鍋島家に入れる事が出来ないニャ!」



「だからまずは彼に君を女として見て貰う」



「お、女ニャ? 私は既に女ニャ?」



「女である事と、女として見て貰う事は別の話だよ。例えば彼は君の事をただの試食係として見ていないのかも知れない。

 だからまずは女扱いさせてもらう為に、女性としての魅力を見て貰おう。まず髪型をちょっと変えたりアクセサリーを付けたりして、ファッション面で興味を見て貰おう。そう言うのではダメならば、例えば麺などの汁物が飛び散るのを防ぐ目的で髪をかきあげてうなじを見せたり、それから感想を言う時にその『ニャ』を止めるだけでもいつもと違うギャップで彼に女性として見られるようになるでしょう」



「そ、そうかニャ? そ、それなら……ちょっと頑張ってみます、ニャ」



「うんうん。その方が良いよ」



 今の、『ニャ』を入れなかった喋り方はちょっと女らしくて良いと思ったし。



「何だか悩みが軽くなった気がするニャ。流石、駄弁り部さんニャ! また何かあったらお願いするニャ。それじゃあー、ニャ!」



 そう言って、彼女は帰って行った。



 まぁ、その後。日生千秋君が彼女を急に女性らしさを感じて、彼女を急に避けだしたりするのかも知れないのかも知れないし。それで鍋島さんが落ち込むのかと思ったりもするけれども、それを言ったら悩みを和らげる事は出来そうにないので言わなかったのであった。

 お悩み相談第1弾、寺町朱穂さんの『人間どもに不幸を!』から鍋島サツキさんのお悩みを駄弁ってみました。一応、内容上必要だったのでとにあさんの日生千秋君も借りました。

 いかがだったでしょうか? ご不満がありましたら聞きますのでどうぞお願いします。

 次回はYLさんより、木下さんのお悩みをやらせていただきたく思います。それでは。

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