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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
水鏡栗花落の章
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6月26日 神代の策

 6月26日、天候雨。長らく小雨続き

 神代から提案された方法。それは霧島恵美(きりしまえみ)に告白すると言う、半ば意味が分からない方法だった。良く分からない、と言うよりかは脈絡性がない質問に見えたのだ。どうしてそうなったのか、どうしてそう言った方法を思いついたのかさっぱり分からない。



 神代はいつもそうだった。

 答えを提示し、後になってそれが正しかったと自身で気付く。それが神代のやり方だった。



 実際、何人もの成功例があった。



 例えばこんな話がある。ある作家志望の少年に『小説のアイデアが欲しい』と頼まれた。僕もかなりの読書家なので、かなりの自信があった。しかし彼はプライドは一流作家並みに高く、僕の持ってくるアイデアの全てを見ては拒んでいた。そんな時、神代が現れてこう助言したのだ。



『○月×日、海に行けば君の望む答えが見つかる』



 神代はそれを彼に伝えてくれと言って、詳しい理由も告げずに消えた。翌日、それを伝えると作家志望の彼はその指定された日に行くとだけ言い残して、もう相談には来なくなった。後で知った話だが、彼は海でナンパをしてフラれ、そして海で溺れそうになってそれを年下の子供に助けられて、皆に笑われたのだと言う。



『彼の悪い所は、プライドばかり高くて、向上しようと言う意欲がない所さ。これで少しはりて、その負のエネルギーを執筆活動に専念するだろう』



 確かに彼の悩みは霧散した。彼は僕に『小説のアイデアが欲しい』と頼んできたが、根幹は『書くためのアイデアが欲しい』と言う、楽して書きたいと言う悩みだ。それを神代は打ち砕いて、悩みを消した。

 それは本当に正しいのだろうか? もっと良いやり方はなかったのだろうか?



 神代のアイデアはいつも正しく人の悩みを解決するが――――――別の問題を作り上げている気がして嫌いだった。けれども、その方法はいつも短時間で問題を解決する。それが神代のやり方だ。



 迷っていると言う選択肢は僕には無かった。僕は明確な打開案を持っていないし、どうすれば良いかも分からない。なら、多少強引だとしてもそのやり方に乗るべきだ。



 と言う訳で、僕は屋上に霧島恵美を呼び出した。理由は話していない。どこから情報が漏れるか分からなかったし、後から説明をすれば済む話だったからだ。



「率直に言わせてもらう。こう言うのはストレートな方が効果的だからだ。

 ――――――――霧島恵美。僕は君の事が好きだ」



 何も隠そうとせず、いっそ堂々とした様子で僕は恵美にそう告白した。



「へっ……? えっ、あの……その……いきなり直球で来られると困ると言うか!? いつものペースを崩されて戸惑うって言うか!? と、とにかくいつもの柊人じゃなくて、本当にメインヒロインの立場になるなんて!? え、えっと……その……どうなってるの? えっと……」



 いつも霧島はエロい方向や、メインヒロインを自称するけれども、どうやら彼女はそう言った所は本当に乙女になるみたいである。



「明日、詳しい事を話しておきます。それでは」



「え、あの……えっと……うん。待ってる」



 ……おい、恵美。いつものエロさはどこに行ったんだよ? と、僕はそう思うのであった。



 そしてその噂はその日のうちに学校中に広まったのだ。



 彼女のエロさに心酔している霧島ファンクラブの面々には泣かれましたが後で説明すると言っておいた。何故か僕は霧島とは友達でなっているので、無事で済んでいるらしい。失敬な、僕は彼女と友達では無い。唯一無二の親友だ。そう言ったらさらに温かい目で見られた。なんだってんだ、一体……。

 日向さんには―――――――泣かれた。こっちが引くくらい。後で説明すると20回くらい言わないとダメだったし。結構、精神的にきつかった……。

 他にも何名か泣きついて来たが、なだめて落ち着かせた。

 そして噂は中等部にも流れ、確実に問題の件の人物である栗花落の耳にも入ったはずだが、栗花落からは何も行動は無かった。









 ―――――――その夜、栗花落の母親から彼女が家出をした事を知ったのであった。

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