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ハートのリボン

作者: 沙華やや子
掲載日:2025/10/10

ねえ!今日はなにして遊ぶ?まいちゃん!・・・ンー鬼ごっこだよ♪陽萌木よもぎちゃんっ!

 「こっちこっち~、えへへ! (まい)ちゃーん。」

 「あははは♪もう! 待って待って~陽萌木(よもぎ)ちゃんっ!」

 「秘密基地まであともうちょっとよ、舞ちゃん!」「うん、陽萌木ちゃん、足はやいね! 負けないぞ~っふふふ!」


 ちっちゃい頃、まだあたしが静岡に居た頃…舞ちゃんとよく遊んだなー。どうしているかな? 今どこかでばったり会ったって判りっこない。

 その頃のわが家は決して裕福ではないがフツーの家庭だった。パパがいて、ママが居て、赤ちゃんの妹が居た。

 舞ちゃんのお家のこと、大人になって思い出すと、ハッとする。簡易的な木でできた引き戸の玄関。まるでお勝手口のような… そうして入ると土間があり、部屋はたった1つだった。舞ちゃんのお家には赤ちゃんが二人ぐらいいた。優しいお母さんがおんぶして家事をしていた。とっても明るい笑顔だったよ。


 あたしは毎日近所からみえる富士山をお絵描きしていた。探検ごっこもいっぱいした。空き地やなんかに行ってかくれんぼうをした。


 昭和23年生まれの陽萌木のママはお嬢様育ち。

お家には年中四季折々のお花が咲き乱れた。おじいちゃんもおばあちゃんもお花のお世話が好き。大きな柿の木もある。

ママはバイオリンや日本舞踊のおけいこに励んだ。

 そんなママが子どもの頃ある日、お友だちの家へお泊まりに行った。

夜ご飯を見て驚いたんだって。食卓には、お魚が1尾とごはんとお味噌汁だけ。玉子なんてない。ママはお家で手料理のおかずを何品も作るおばあちゃんのごちそうは、ごちそうではないと思っていたのだ。(他のお家はそうだったんだ~)とその時初めて気付いたんだって。


 同じように陽萌木も舞ちゃんのお家を思い出す。泥棒とか入っちゃいそうな、災害があったらすぐに壊れちゃいそうな。


 それから…広島に引っ越したら陽萌木は裕福になった。金融業のお爺さんと、一人目の夫を亡くし寡婦になった祖母が再婚したのだった。そこへ呼び寄せられたのだ。


 けれど、そこから笑顔は消えた。

お洋服、おリボン、お菓子もアイスもいっぱい買ってもらった。


 そんなの要らない。笑顔で居たかった。


 幼い陽萌木の父親は消えてしまい、陽萌木は6歳の頃性的虐待を母の恋人から受け始めた。


 いま陽萌木は53歳。

 10代で逃げ出すように実家を早くに巣立ち、死に物狂いで、生活した。悪い仲間に出会った。屈辱が友達だった。

 そんな中息子が生まれ、陽萌木の苔はおちて行った。


 舞ちゃん、ほんとうに幸せそうだったな。ちっちゃいお家でも。お菓子を持っていなくても。

 あたし、舞ちゃんみたいにもっとなりたい。


会いたいな・・・舞ちゃん

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