恐ろしき3大怪人の魔の手! 3
なんか気がついたら2話分の長さを1話分で流そうとしてたからヤベって思って2つに分割してます
司令との情報共有を終えたセドが通信機をしまうとこの場にいる3人に情報共有がなされた
「防衛隊は鑑識襲撃の件もありすぐに調査を再開するが、今からでは手が足りないから冒険者とヒーローに出動を要請するそうだ」
「よっしゃ!そうと決まれば善は急げだ、行きましょう!」
拳と掌を合わせてやる気十分と言った様子のトウヤ、フィリアもセドもそんなトウヤと同じく真剣な面持ちを浮かべ頷く
3人の心意気は同じだった
街の為、住民の暮らしのため、ただその力を振るう
そうやる気を奮い立たせる彼らを、ゼトアは頼るしか出来ない悔しさを交えども言葉を送るのだ
「頼んだよ、みんな」
「任せろ」
静かに力強い目と言葉でセドが返事をすれば、彼らは部屋を後にする
それを見送ったゼトアも彼らのサポートをすべく、部屋を片付けて情報を纏めようと考えていた
「さて、私もこれまでの情報を纏めて・・・ん?」
その時、ゼトアの持っている通信結晶が震える
こんな時に誰だろう、そう思いながらも小皿型の通信機を取り出し魔力を流すと耳にあてがいう
「はい」
『ベガドの街に住むみなさーーん!こんにちは〜!』
通信に出てみれば、聞こえてきたのは明るく陽気な通信員の声
だが、何か様子がおかしかった
『この通信はこの街に住む住民の皆さん全員に送られていまーーす!』
「なんだよ・・・これ」
それはギルドの外に出て爆弾の捜索に向かおうとしたトウヤ達の通信機にも届いていた
周囲を見渡してみれば、誰も彼もが通信機を耳に当て困惑の表情を浮かべ同じく周囲を見渡していた
その光景から確かに個人に送られたのではなく、街全体に通信が送られたのは確かな様だ
『さて皆さん、毎日退屈な日常を過ごしていませんか?同じ通勤路、やる事も同じ、家に帰っても同じ、たまに違う事があっても?また同じ日々・・・そんな皆様に今日はサプライズを用意しましたーー!』
「サプライズだと・・・」
彼らの脳裏で点と点が線で繋がる
何故わざわざコソコソと爆弾を用意したのか、何故鑑識を襲撃等というまどろっこしい対して役に立たない事をしたのか
何故、ビヨロコとクーラの配下が動いていたのか
「まさか・・・」
それ考えただけで血の気が引き、そんな彼らを嘲笑う様に女は告げる
『爆弾探しゲーム、報酬は皆様の平穏な日常で罰ゲームは魔獣の大群が襲来して喰われる。そんなゲームを始めましょう』
それこそが彼らの動いてた理由
街全体を巻き込んだ、街の存亡をかけたゲーム
爆弾を見つけられなければ、街中で爆発して多くの命が失われ魔獣の大群が押し寄せる
近隣にいる魔獣は小型種や中型種だけではない
数は減っているが大型種であるムロイの巣が近くには存在している
液体が魔獣を誘引する範囲は不明だが、可能性を考えればベガドの街に複数の熱線が放射され、魔獣の大群に押し潰される可能性もあった
わからないからこその恐怖がそこには存在している
「ふざけるなよ・・・」
彼らにしてみればただのゲーム
だが、街の住民からしてみればある日突然自身の命を勝手に賭けさせられたデスゲーム
あまりにも不条理な行いにトウヤは思わず言葉が溢れた
握る拳に力が入り、身体が不必要に強張る
『もし見つけられなければこうなります。はい、どかーん!』
女の言葉と同時に爆発音が遠くから響く
見れば西の方から煙が上がっており、その光景を目撃した民衆が俄かに騒がしくなる
「爆発させたのか!」
『もちろんこれはデモンストレーション、今の爆弾に魔獣を誘き寄せる力はありません。でも、もし本物の爆弾が爆発したらぁ・・・さぁ皆さん、ゲームの始まりです。制限時間は1時間!頑張って探しましょー!じゃあねぇ』
笑みを隠せぬという声音を最後に通信が切れる
それと同時に民衆が悲鳴にも似た声を上げ1人、また1人と走り出す
街は狂乱の渦に包み込まれた
セドは身に湧き上がる激情を感じるとそれが表に出ない様に堪え、共に通信機からの音声を聞いていたフィリアとトウヤの顔を見やる
2人も同じ様に怒っているのだろう、通信機を握りしめ目が据わっていた
だからこそ、セドは言葉少なく2人に告げる
「トウヤ、フィリア・・・行くぞ」
その言葉に2人は静かに頷くと、別々の方向へと走り出す
怪人の始めたふざけたゲームを、遊びを止める為に
「ビヨロコ、クーラ・・・奴ら何ということを・・・」
とある屋敷の一室
1人の男が先ほどの通信を聞き、暗闇の中で拳を強く握り締め静かに怒りを露わにしていた
「如何致しますか?」
男の前で跪くダライチが発した言葉に男は答える
「わかり切った事を聞くなダライチ、考えは同じだ」
「では、我ら一同喜んで街の為に動きましょう」
「頼んだぞ」
「我らがラーズ様と牙なき者の為に」
そう言うとダライチはすぐさま部屋から出ていく
組織の為ではなく、思想を共にするラーズの為に彼らは動くのだ
先程の通信により街は混乱状態に陥る
ある者は家に篭り
ある者は街の中を走り回り爆弾を探す
ある者は街の外へと逃げたそうとしていた
そんな群衆の荒波の中を掻き分けトウヤは進む
「爆弾を見つけた方はベガド防衛隊へと連絡してください!絶対に動かさないでください!爆発の危険があります!」
仮に爆弾を見つけても触らない様にと道行く人に声掛けを行う
もし不用意に触り爆発したら大惨事になるからだ
しかし、悪い意味で興奮している様子を見せた人々はその言葉に耳を貸す様子はない
それでもトウヤは諦めずに声をかけ続ける
「おい!にいちゃん!こっちきてくれ!」
そうしていると1人の男が声を掛けてくる
何事かと思い男の元に駆け寄れば、彼は慌てた様子を見せながらトウヤに言ってきた
「こっちになんか変なもんが置いてあるんだよ、ちょっと見てくれねぇか!」
「・・・!案内して下さい!」
混乱している状況下でそれでもトウヤに声をかけてくれた男に感謝を浮かべながら「こっちだ!」と言う男の後に続き、トウヤは走り出す
にしてもモンキーは思う
果たしてこれはちょうど良い読みやすい長さなのだろうかと
あ、続きは18時更新予定です