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異世界に行ったらヒーローになったSO!  作者: 門鍵モンキー
第一章 異世界に行ったらヒーローになったSO
80/177

恐ろしき3大怪人の魔の手! 2

登場人物紹介

浅間灯夜:主人公


セド:トウヤの先輩ヒーローその1

   大家族であり何か秘密がある様だ


フィリア:トウヤの先輩ヒーローその2

無表情であまり感情を出さない

     たまにめんどくさい


ゼトア:ギルドの人事担当の癒しメガネ

    

ヒーロー受付の受付嬢:たまに登場していたキャラ

栗色の髪を後ろで束ねた女性であり、とても真面目でゼトアの事を尊敬している

トウヤの連絡を受けたギルドの対応は早かった

急ぎ防衛隊に連絡を入れ対爆発物処理のチームを派遣して爆弾を撤去したのだ


「で、これが件の爆弾という訳だな」


そう呟くセドの前にはトウヤが見つけた爆弾が置かれていた

すでに解体され爆発する心配は無い状態になっている


「そうです。トウヤくんの話によれば怪人がこれを設置していたとの事です。トウヤくん、当時の詳しい状況を説明してもらえるかな?」


「あぁはい、あの時工房を出た後街の巡回をしていたら路地裏で何か作業をしている怪人とばったりあって、それで倒して見てみたらこれが設置されてた感じです」


その事を聞き、セドは嫌な予感を感じより眉間に皺を寄せる


「・・・もし組織がこれを設置したとなると、ひとつでは済まないはずだ」


セドの言葉にゼトアもまた同意し頷く


「そうですね、もしこれが彼らの用意した物であるなら他にも複数あると考えて良いでしょうね、一応防衛隊もそう考えた様で今捜索隊を編成して町中を調べている最中です」


どうやら防衛隊もセドと同じ結論に行き着いたらしい

その事にセドは僅かに胸を撫で下ろしたのか「それは助かるな」と小さく呟く


そんな中、トウヤが恐る恐る手を上げる


「どうしたんだい?トウヤくん」


「あの、こいつに付いていたあの赤黒い液体ってなんなんですか?あれ見たらなんか気持ち悪くなって・・・」


彼の言葉を聞いた瞬間、ゼトアが目を見開き驚きトウヤへと迫る


「気分が悪くなったって!?それは・・・その本当かい?」


「え、えぇ・・・まぁ、あれってそんなヤバいやつなんですか?」


その姿に圧倒されながらも見たらまずい物なのかと思い恐る恐る聞いてみると、セドが首を横に振るう


「残念だがあれが何なのかはまだわかっていない」


「確かにまだわかっていないが、可能性の話を上げるのであればあれには魔獣を誘引する力があるかもしれない」


続け様に放たれたゼトアの言葉に一同は驚愕する

どうやらセドも初耳の様でゼトアに対して怪訝な表情を見せながら聞き返す


「その話は本当なのか?俄かに信じ難いのだが・・・」


「えぇ、あればおそらく原初の魔王の血を復元した物かと思われます」


原初の魔王

それはこの世界に置いて初めて確認された超常的な力を持つ者の名である

この新大陸に拠点に置き、旧大陸、即ち中央世界を自称する国へと現存する魔獣とは大きく掛け離れた姿を持った魔獣を率いて攻め入った

一時は当時の大帝国を含めた数十もの国が数週間で滅ぼされたが、女神デアテラの加護を受けて突然現れた初代勇者フェイルを中心に団結した各国家の残存軍により撃退に成功

然る後に、この新大陸にまで攻め入り討ち倒したとされている


そして、今回問題となってくるのはその原初の魔王の血を復元した物を使用しているという点であった


当時の記録では原初の魔王の血には魔獣を強化し誘引する力があるとされているのだ


だが、同時に疑問に思う


「一体どうやって復元したのだ?原初の魔王など1000年前の存在だぞ?」


そう原初の魔王と勇者フェイルの戦いは今から999年も前の出来事なのだ


仮に血液だけを保管していたにしても当時の技術レベルでは数ヶ月と持たない内にダメになってしまう

復元をしようにも今のこの世界においてはそんな技術はないのだ


「もちろん、原初の魔王を語る本人から直接もらったんです」


「・・・?どういう事だ?」


「みなさんは再転の教会を知っていますか?」


「知っている。あの異教徒どもだろう」


「何度かあった」


再転の教会、その言葉に聞き覚えのないトウヤは何の事だと疑問に思うが、セドとフィリアは覚えがあるのだろう

知っていると口にした


「では、トウヤくんの為に改めて説明しますね」


ゼトアの口から語られた再転の教会の概要はこうだった


・近年新しく発足した新興宗教

・彼らは父神こそがこの世界を作り出した神である。原初の魔王はその使徒であり、間違った世界を正す為に生まれてきた。堕神デアテラこそがこの世界の腐敗の根源であり、フェイルは悪魔である。という教義をもっている

・表立っての活動はしないが、多くのテロ行為を行ってきた組織であり、近年魔国との関係が示唆されている


といった具合であった


トウヤはゼトアの説明を理解するが、それでもまだ疑問に思う事がある


「でも、それと原初の魔王の血を復元出来た事と何の関係があるんですか?」


「彼らは擬似的に原初の魔王を語る存在を呼び出したと噂されているんだ。もちろん、それが本当に原初の魔王かどうかは不明だけどね」


その言葉にトウヤは驚愕する

もしそれが本当ならばゼトアの言っていたあの液体には魔獣を誘引する力があるという話にも信憑性が湧いてくるのだ


だが、フィリアとセドはその言葉に半信半疑であった


「ゼトア、確かにお前の言う事はわかるが・・・あまりにも突拍子もない事だ、第一に原初の魔王という存在は勇者フェイルによって既に倒されただろう?」


「確かに倒されたとは言われてますが、しかし・・・!」


その時だった

彼らの居る部屋の扉が三度叩かれる


「入りますよー」と明るい声を伴い入ってきたのはギルドのヒーロー受付の受付嬢だった


入ってきた彼女の姿に何事かと思いゼトアが口を開く


「どうしましたか?」


「あ、園長、実は先ほど・・・役場?の方がこちらを持って来られました」


そう言い手渡してきたのは一枚の報告書だった

それを受け取り目を通していけば、ゼトアの眉間に皺が寄っていく

報告書に皺が出来るほど強く握り、パッと勢いよく顔を上げると彼には珍しく受付嬢の顔を睨みつける様な目を向ける


「これは・・・一体どういう事でしょうか?」


そんな目を向けられた受付嬢だが、珍しく睨んで来るゼトアに怯む様子も無くニコニコと笑みを浮かべている


「どういうって・・・何でしょうか?私はただ渡された物を持ってきただけなのでぇ、わかりませーん」


「あなた・・・巫山戯ているのですか?」


人を舐めきった様な態度を取る彼女に普段笑みを絶やさないゼトアも流石に怒りを露わにし出す


だが、流石にマズイと思ったのかセドが2人の間に入り止めに入った


「ゼトア落ち着け、お前はもう下がって良いぞ」


セドがそう言うと受付嬢は笑顔のまま「はーい」と言って部屋から出ていく

そんないつもとは様子の違う彼女に違和感を覚えつつも、ゼトアへと顔を向ける


「どうした?いつものお前らしくないぞゼトア」


そんな彼の言葉にゼトアは深く息を吸い暫し黙り込むと落ち着いたのか、少しだけ引き攣った笑みを浮かべ顔を上げる


「あぁ・・・すまない、少し取り乱してしまった」


「ちょっとその報告書を見せてみろ」


ゼトアの手から報告書を攫い見てみれば彼もまたそこに書かれた内容に眉を顰めた


「爆弾はさほど強い威力はなく爆竹程度で特に問題にならず、あの液体にも何ら異常性が無い、ただのインクかと思われる・・・だと?」


「えっ、マジですか!?」


その言葉にトウヤとフィリアも慌ててセドの背中越しに報告書を覗き見れば確かにその様な事が書いていた


しかし、それはおかしいし絶対にあり得ないと確信を持って言える

あの組織がそんな悪戯程度の事をする訳がないと、悪い意味で信用しているからだ


「ちょっと待ってろ、確認する」


懐から折り畳み式の長方形の道具を取り出し開くと、中に仕込まれた魔結晶に魔力を送る


『はい、こちら通信局です。どちらにおかげでしょうか?』


「防衛隊司令部に繋いでくれ、セド・ヴァラドからの通信だと言ってくれたら良い」


『畏まりました。ただ今お繋ぎ致します』


そうすると暫しの沈黙の後に通信が繋がる


『はい、こちら防衛隊司令部』


「・・・その声副官か?」


聞こえてきたのが目的の男の声では無く、女性の声だったことに暫し驚く


『そうです。司令は現在外出していますので不在です・・・おそらくあなたの要件と同じかと』


セドの要件と同じ、となれば司令も今回の結果に不満と疑心を抱きより詳細な内容を求めて直接鑑識へと赴いたのだろうという事がわかる


ならばその件でセドから言うことは何もない


「わかった。なら今回の件を受けて防衛隊側ではどうみる?」


だからこそ、防衛隊側の見解を聞こうと思った


『どうもこうもありません、あの報告書はあまりにも不自然です。ただ真偽がわからない以上は、爆弾が陽動である可能性も考えてこちらも下手に動く事が出来ず捜索は一時中断しています』


だが防衛隊の方も、爆弾を設置すると見せかけた陽動の可能性も視野に入れて動く必要があり、上手く動けない様子だった


「そうか、わかった・・・ならこちらはこちらの判断で動かさせてもらうぞ」


『えぇ、お願いします。こちら・・・少し待ってください』


そう言うと副官が通信機から離れ、遠くから何やら話し声の様な物が聞こえた


何事かと思い僅かに身構えるセドだが、次に通信機を誰かが取る音が聞こえる


『セドか、私だ』


「司令戻ったのか、それでどうだった?」


通信機越しに聞こえてきた男の声の正体は防衛隊の司令だった


警察から戻った彼にセドは早速結果を聞いてみる事にしたが、その声は何処か疲れた様な声をしている


『やられた・・・検査結果は改竄されていた。検査担当が怪人に襲われた様だ』


「なんだと!?」


『人を操る怪人に操られていたらしい・・・ひとつ聞きたい、そういう怪人に覚えはないか?』


人を操る怪人、そのフレーズに思い当たる節があったセドはフィリアへと顔を向ける


「人を操る怪人・・・フィリア、お前が勇者護衛の時に戦ったという怪人、確か人に入り込んで操っていたな?」


「そう、博士を操ってた」


「そうか・・・司令、鑑識を襲撃した怪人について心当たりがある。今情報を共有しても良いか」


『それは本当か!?それは助かる。今で構わないから共有してくれ』


「では・・・」


そうしてセドは司令に怪人の情報を共有するのだった






ギルドをすぐ出た路地裏で1人の女性が周囲に唾液を撒き散らしながら倒れている


それはヒーロー受付の受付嬢だった


その傍には細い、1本の触手のような生き物が身体を曲げながら地面を這いずっている

先端に浮かぶ人の唇を歪ませながら、触手は小さく呟く


「ビヨロコ様、クーラ様、待っていて下さいね、今すぐこの私があのクソガキからあなたのお求めの品をすぐ奪い取ってお持ちしますので」


恍惚とした声音でここにはいない主へと告げる


そうして触手は闇へと消えていく

新たな犠牲者を求めて

いつも読んでいただいてるみなさま、いつもありがとうございます

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