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異世界に行ったらヒーローになったSO!  作者: 門鍵モンキー
第一章 異世界に行ったらヒーローになったSO
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こぼれ落ちる手、魔導学院に潜む悪意 2

最近ぼーっと星を見ればその美しさに目を奪われます


私の方は何処にあるのでしょう?


A C 公共広告機構

それはトウヤが夜間の警備をしている時だった


昼間とは打って変わり暗い廊下を、ライトと足元の非常灯の黒と混じり合った仄暗い緑の灯りを頼りに、一歩、また一歩と足を踏み出す


その度にコツ、コツと自身の靴の音が響き渡り、この廊下の先の長さを実感する


広大な廊下に自分1人、春も過ぎた頃合いというのに僅かに寒気がしブルリと身体が震え上がった


「・・・!!?」


今にも何かが出てきそうな暗闇の奥で何かの音が聞こえた


まるでそれは叫び声の様にも聞こえる


ごくりと唾を飲み込めば、自身の足が止まり震えているのがわかった


なおも遠くから反響する声にこのまま帰りたい気持ちも湧くが、それでもと意を決して音の正体を確認すべく勇気を振るい前へと歩み出す


一歩、また一歩と前へ進めば声は大きくなり、ついには声が目の前の明かりのついた部屋の中から聞こえてくる事がわかる


扉の前まで来たトウヤはブレスレットへ少しずつ魔力を流す

機械音声が流れない様に、ギリギリのところですぐさま変身できるようにと


そうして意を決し、扉を開け放った


「やああぁ・・・!あっ・・・」


「・・・えっ?」


扉を勢いよく開けば、部屋にいたのはレオだった


お互いに時間が止まり見つめ合う

そうして、最初に動き出したのはトウヤだった


「レオ・・・何してんの?」


「あー・・・あっーこれはデスネェ・・・」


ぎこちない様子のレオの姿に、トウヤはひとつの事実を思い出す


「そう言えば、今消灯時間だけどなんでこんなところに・・・いや、本当に何してるの?」


その言葉にレオの方がびくりと跳ねた

目が細まっていくトウヤに対してレオは目を右へ左へと泳がせていることから察するに、わかっていながらもルールを破ったのだと言うことが理解出来る


そう思えばこそ、楽しくなってきた

口角が自然と上がってしまうのをトウヤは実感してしまう


「レーオー、お前中々やるなぁ」


「あ、いや違います!違わないけど・・・」


破ったのには理由があると言いたげな物言いだが、ルール違反はルール違反と受け入れたのか矛盾した答えをつい口走ってしまう


その素直さも彼の良いところだと思い、トウヤはニヤニヤとした表情を崩さない


「いや良いよ、ただ今回見つけたのが俺だったから良かったけど、もしセドとかなら大分怒られたと思うから次からは気をつけろよ」


「えっ!?良いんですか?」


「おう、良いよ良いよ」


驚くレオ、それは自身も悪い事をしたと思いながらもやっていた証左ではあるがトウヤは気にする事なく良いよ良いよと言い笑う


学園のルールを破り何かをするのも学生の特権、社会に出れば中々出来ない青春の思い出を作っているのだからと、彼は考えている


「しかし、なんでこんな時間に木剣なんか振ってんだよ?」


そう言えばレオは少し恥ずかしそうに頬を掻く

今の彼は木剣にパジャマには見えない動きやすい服装をしており、どう見ても眠れなくて散歩に来たと言うわけではないのがわかる

自身から意図して空き教室に来たのであれば何か目的を持ってきたはず、持っているものと掛け声からして違うと思いながらも、トウヤは笑顔の裏で一抹の不安を覚えたのだが、どうやらそらは杞憂に終わった


「いや、その・・・俺、昔から身長が低くてみんなから馬鹿にされてきたんですけど、その度に助けてくれる子がいるんです・・・だから、その子の為に強くならないとなぁって・・・」


「ほうほう、どんな子なんだのその子、気になって来た」


青春の1ページに興味津々と言った様子で、湧き上がる好奇心から先ほどよりも強く笑みを浮かべながらトウヤは尋ねた


そんなトウヤの様子にほんのり頬を赤くして、落ち着かない様子で手を上下に振りながらしどろもどろと言った様子になる


「ちち、違いますよ!あの、あれです!その・・・とっても優しくて頼り甲斐のある人で、俺の事をいつも気にかけてくれる・・・そんな人です」


「ほほう、ほーう?んー?あー」


なるほどと納得し、手をポンと叩く

いつも気に掛ける優しくて頼り甲斐のある人物、それはトウヤが此処に来てから該当する人物と何度も話して来たからかだ


そうして察した人物の名を意地悪げな顔でボソリと呟くけば、先程もよりも真っ赤にした恥ずかしげな顔でトウヤを見る


「な、なんで知ってるんですか!?」


「そりゃお前、あんだけ仲睦まじくやってたらなぁ」


そう指摘すれば、あわあわと慌てる様子を見せる


良いなこういうの、そう思うとたった一度しかない青春を謳歌しているレオに眩しそうに目を細め笑顔を浮かべ見つめた


「だけど、消灯時間に鍛錬するのは褒められた行為じゃないな」


だが、それはそれとして今はヒーローとしての仕事があるし、何よりも行方不明事件で学園内も安全とは言えない

あまり強く言う気はないがそう言えばレオは肩を下ろしすみませんと謝って来た


「おう、素直でよろしい、それじゃ行こうか」


そう言うと教室の電気を消し彼を部屋へと送った

ともに連れ添い歩いた時に彼らを見つめる視線に気が付かないまま


そうして夜は明け、また朝が来る




ちなみにこの話から下書き書く時も分けて書くようにしました


なんで、更新ペースはストック分に追いついてしまってもある程度担保できるってのと、切り分けが楽になりますなぁ

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