表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行ったらヒーローになったSO!  作者: 門鍵モンキー
第一章 異世界に行ったらヒーローになったSO
40/216

勇者見参 2改

勇者見参の分割版です

バーエオーネを出たトウヤとフィリアは、街中の警邏をしていた


「改めて見てみるとこの国って結構いろんな人種の人がいるんですね」


「今さら?」


無表情ながらも呆れてるとわかるような声音でフィリアがそう言うが、トウヤは何も言えず、いやーあははとぎこちなく笑う


「なんか最近周りが見えるようになって来たというか、その、街中の警邏とかするようになってから、そう言えば俺のいた国って黄色人種しかいなかったなって思い出して」


「和国人だっけ?」


「そうですそうです。なんで黒人とか白人とか、それどころか緑巨人や緑小人なんかも見た事ないんですよ」


合点が行った。その様にフィリアは頷く

正直和国人がどの様な生態をしてるのかさっぱりなトウヤにとっては和国人?と聞かれても部分的にそうとしか言いようが無いのだが、それでも似た様な人種の様なのでありがたく有効活用している


屋台の前まで来た2人は、早めの昼食を取ろうと屋台へと並ぶと、野菜の入ったカゴを前にどれにするか選び始めた


「妖人種は?天狗とか」


「あ、あやかし人種?て、てんぐ?」


不意に溢された彼女の言葉に思わず固まる

鬼ってあれか、鬼は外って豆を投げられるやつか等と思いながらトウヤは何とか回答を捻り出そうとするが、いくら考えど見た事ないと誤魔化すという回答出てこない


苦しい言い訳かも知れないと思いながらもその考えを口に出す事にした


「いやぁ・・・見た事ないですね、俺の住んでたとこ結構へきちぃっ!?」


幸か不幸か、言い切る前に背中に感じた衝撃により言葉が途切れトウヤの身体が宙を舞う、目指すは赤い熟した野菜が満載のカゴ

鋭敏化した感覚が周囲の感覚を遅くしながらそこに頭から突っ込む事になった


「ご、ごめんなさい!!」


そう言って当のぶつかった本人は慌てた様子で走り去っていく

残されたフィリアはカゴに頭を突っ込み微動だにしないトウヤへと声を掛ける


「大丈夫?」


その言葉にトウヤは無言で親指を立て返事をするのだった


籠から頭を抜き、赤い液体塗れにらなった顔を必死に手で拭っていく


「なんなんだよ・・・全く」


「水かけるね」


「え・・・?ちょっとまっ・・・!?」


言い切る前にバケツ1杯分程の大量の水がトウヤに浴びせかけられた

もちろん周囲に被害が出ない様に後ろに誰もいない、何も無い状況で掛けられているし、水の勢いはそれ程強くなかったものの、それはトウヤの汚れた頭だけでなく全身をずぶ濡れになってしまう


「綺麗になった」


そう達成感を表す彼女にトウヤはただ一言呟くしかなかった


「ありがとうございます・・・」


「いいえ、それよりもあの子、何か逃げてた?」


濡れた頭を振るうトウヤを他所に、フィリアは先程の少女へと思いを馳せる

確かにそれはトウヤも気になっていた


「ちょっと俺、様子見て来ましょうか?」


「良いの?」


「はい、ちょうど俺もあの子の事が気になってたとこですし、それになんか・・・既視感のある言葉を喋ってたので」


やけに急いで走り去っていて、まるで何かから逃げているようだ、もちろんそこも気になったが彼からしたら最も気になったのは彼女が去り際に喋った言葉にあった

ごめんなさい、そのイントネーションの様なものと形容すべきなのだろうか

何やら他の者とは違うノイズの様なモノをトウヤは感じたのだ


そして、その直感を確信させる様な言葉をフィリアが発する


「去り際の言葉、和国語みたいだった」


自分には普通に聞こえたが、彼女にはどうやら異国の言葉のように聞こえたようだ


「ならちょっと行ってきます!」


その言葉を聞き、トウヤもまた急ぐようにローブの少女を追いかける

フィリアの言葉からトウヤはひとつの仮説を導き出すが、未だ確定していない事なので、敢えてその事は告げ無かったが、もしそうであるならば、何故そのような人物がここにいるのか?

疑問が湧き出ながらもトウヤは少女の元へ向かった




狭い入り組んだ路地の中、少女は走りながらもこれまでの事に思いを馳せる

突然声が聞こえたと思い言葉を交わし、面白そうだと召喚されたら、そこは人外魔境の異世界だった


女神デアテラの加護を受けし勇者よ、私たちのために戦ってください

まるでテンプレのような言葉と異世界召喚という事実に胸が高鳴ったのを今も覚えている


だが、その後世界の事を教えられるにつれその認識は裏返る事になった


歴代勇者による技術的ブレイクスルーにより、急激なまでの発展を遂げる事になったこの世界ではあるが、それでも強力な大型魔獣による災害級の厄災や魔王軍との戦争など争いは絶えることはない


今回自分が召喚されたのも魔王軍との戦争の為であると


冗談では無い

自分は碌に学校にも行かない引きこもりである

そんな争いなんて出来るわけがないし、砲撃やビームの中を掻い潜るなどもっての外だと

そうして城から逃げ出して今に至る


だが、目に映る景色はどれも彼女が見た事がない人や物ばかり

1人逃げ出したは良いが、その心に募るのは1人故の孤独感


おまけに今問題を抱えていた


「キャッ!?」


飛んでくる銃弾が彼女前を掠め壁に当たる

路地の横道を見ればローブを纏った無貌の人型が、彼女に向けライフルのような物を構えていた

これが彼女の今抱えている問題である


先程から彼女はローブを纏った無貌の集団から追われていたのだ


迫る脅威に慌てて路地の更に奥へと逃げる少女だが、その先に広がるのは一面の壁だった


「えっ、うそなんで!?」


涙目になりながらも壁を両手で触り押したりもしたが壁が開くこともなく、無情にも反応は何も無い


その間にも後ろから迫る複数人の足音

振り返ってみれば無貌達が集結しこちらへとライフルを銃口を向ける


ーーあ、ダメだこれ


壁を背にへたり込む、抵抗できる手段はなく、逃げる場所もない、完全な八方塞がり


引き金にかけられた無貌の指に力が入り、少女は反射で腕で顔を覆う


弾丸は放たれ1人の少女の無惨な死体が路地裏で1人寂しく転がる


そんな光景が出来上がる寸前だった


「変身!」


『音声認識完了、アクシォン!』


少女の頭上から声が響き、自身の前に何かしらの落下音、次いで銃声と硬質な何かがぶつかり合い弾かれるような音が響く

声と音、いつまでもやってこない痛みに何事かと目を薄く開けてみれば、彼女の目の前には赤いヒーローがいた


青いマフラーをたなびかせ、伸ばされた左腕の手のひらから薄い膜を張り打ち出された弾丸を弾いていく


だが、このままでは防戦一方でジリ貧だ

そう思ったトウヤは僅かに右足を後ろにずらすと右腕に赤い炎を生み出す


生み出された炎を前へと押し出すように腕を結界魔法を解除しながら伸ばすと、撃ち出された弾丸すらも溶かしながら炎は前へと進み、無貌達を包んで行く


幾らか撃破出来たのだろう、短い噴射時間の中で幾つかの爆発音が確認できるが、その成否については炎の噴射を解除した時、既に姿がなかった為確認できなかった


「ふう、なぁ大丈夫か?」


ソッと差し出された手だが、少女はそれを見る事なく、ただ赤いヒーローを眺めてしまい

一言だけボソリと呟く


「仮面パンチャー・・・」


それはトウヤが憧れたヒーローの名だった

そして同時に、彼は自分の予想が正しかった事を知る


ーーやっぱそうか


そう思うと、へたり込む少女にトウヤは聞いた


「君、日本の何処から来たの?東京?」


その言葉に少女はえ?と小さく溢すと、困惑を露わにし、ひとつの可能性に行き着いたのか目に光を宿し、唇が震えながらトウヤに問う


「貴方、日本人・・・なの?」


「おう!俺も日本から異世界転移してきた!」


そう笑ってみせる彼の姿に彼女は安堵のあまり力が抜ける


心の内に巣食っていた酷く粘りつく様なたった1人しかいないという思いから生まれた仄暗い孤独感が晴れていく感覚がした


それを実感した時、彼女は嬉しさのあまり瞳から涙が溢れる


「え?おいどうしたんだよ、えーと・・・まいったな」 


突如として泣き出した少女にトウヤは慌てるが、そんなトウヤに対して、少女は首を横に振り違うと彼に伝えた


「違う、違うの・・・あの、貴方の名前は?私は雨宮天華、天の華って書いて天華、貴方何処に住んでたの?なんでここにいるの?」


「俺は浅間灯夜、灯す夜って書くんだ、よろしくな天華、取り敢えずここにいると危ないだろうし歩きながらでも良いかな?送るよ」


「え・・・いや、その・・・」


送る。その言葉を聞いた時、天華の様子が何やら気落ちした様に見える


これは何か戻りたくない理由でもあるのかと思い、どうしようかと暫し逡巡したが無理矢理連れていくのも嫌だったので訳を聞く事にした


「なんか、戻りたくない理由でもあるのか?」


「・・・」


そう聞くが、彼女は視線を彷徨かせ言い出しにくそうにしている

ならばとトウヤはひとつの提案を彼女にした


「とりあえず、ここから離れよう、またさっきの連中が来るかも知れないからさ」


兎にも角にもここに居続けるのは不味いと思い、そう言い変身を解除する

自身の素顔を見せながら笑顔で、な?と言い手を差し出すと、信頼して良いかどうか考えているのだろうか、彼女は差し出された手をじっと見つめるが、恐る恐るではあるがその手を取り立ち上がった


「それじゃ行こうか、この街も案内するよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ