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異世界に行ったらヒーローになったSO!  作者: 門鍵モンキー
第一章 異世界に行ったらヒーローになったSO
30/213

第5話 貧民街にやって来た!

メーーーーーリクリスマーーーーーーース!!

リクリスマーーー!!!


良い子のみんなにトマトを配ろう!

頭にポーイ!

超!エキサイティーーーーング!!

事の発端は初の怪人戦の翌日へと遡る

ヒーローとしての仕事の詳細を改めてフィリアから学ぶ事になったトウヤは、街の見回りを終えた後ギルドにて戦闘時の注意点を学ぶ事になった


「それがこれですか?」


目の前に置かれた冊子を手に取り、そこに書かれている内容をペラペラとめくりながら読んでいく

内容としては大項目で3つあった


1.住民の生命を第一優先にする

2.住民の生活に必要な建造物並びに物資の保護を行う

3.第1条が守られるならば非常時は自身の生命を優先する


との事だった

第1条は言わずもがな、ヒーローとして当たり前のことである

第2条、第3条についても理解は出来たが、第2条の詳細を見て僅かに小首を傾けた


「理解出来た?」


「出来ました。ただこの第2条に書かれてる怪人、無貌撃破時の対処方法についてってなんですか?」


紙をフィリアに向けとある一文へと指を刺す、そこには彼の言った通り怪人並びに無貌撃破時の対処方法についてと書かれていた

そこには飛ばす方向、場所、爆発範囲などが図とともに描かれている


「いや書いてる内容はわかるんですけど、飛ばす方向についてだけがわからなくて、なんで飛ばすんですか?」


そう聞くとフィリアは質問の意味がわからないと言った様子で首を傾げた


「書いてない?」


「飛ばし方しか書いてないです」


「書き忘れた。ごめん」


そう言って無表情ながらも顔を下ろし謝ってくる彼女の姿に、今初めて彼女が作ったのだと知ったトウヤは僅かに申し訳ない気持ちになる


「これフィリアさんが作ってくれたんですね」


「そう・・・飛ばし方については物を壊さないため」


「物・・・あ、第2条で書いてる建造物や物資を守るためって事ですか?」


その事を聞くとフィリアは頷きと共に答える

そして、同時に無貌との初戦闘時に彼女が言いたかった事が漸くわかった


「あー、だから無貌と初めて戦った時何を気を付けたかって聞かれたわけですね」


「そう、そう、それが言いたかった」


余程言いたい事だったのか、何度も首を赤べこの様に振りながらトウヤの言葉に同調する

心なしかそれが嬉しそうに言ってる様にトウヤには映った


「私たちはヒーロー、だから生命の他に日常も守らないとダメ」


「日常・・・」


「そう、それがないと心が死ぬ、その後が続かない」


命あっての物種ではあるが、それは今まで通りの生活が出来ればの話である

突如として日常が奪われると言うのはある意味拷問に等しい

家が無くなり、一文無しになればその日は助かっても翌月には死ぬ事もある

商売道具が無くなれば生活水準が落ち、今まで通りの生活ができなくなり、維持しようと身売りや強盗へと身を落とす事例少なくない


最優先すべきは生命だが、生活基盤というのもまた大切ものなのだ


そこまで言われると確かにとトウヤは思うと同時に、その行動指針には思い当たる節があった。とは言ってもそれは画面の向こう側のヒーローのものではあるのだが


「そういえばあのヒーローも日常を守ろうとしてたっけなぁ・・・そっか」


そこまで言うと僅かに頬が緩む

そんなトウヤの様子に気が付いたフィリアは、不思議そうにトウヤへと声を掛けた


「なんで笑ってるの?」


「あれ、笑ってました?すみません、なんか自分が好きだった物語世界のヒーローと同じになれたと思うと嬉しくて・・・」


「太いね」


「ふと、何がですか?」


「神経」


確かに前日はあの様な事を言ってた身ではあったが故に、おそらくその事を考え指摘して来た彼女の一言に思わず言葉が詰まった


「いや、まぁ確かに昨日あんな事言いましたけど、引きづり続けるのもアレじゃないですか」


「別に怒ったわけじゃないよ、気持ちの切り替えは大切、だから関心してた」


「はぁ、そういうものですか?」


「うん、それが出来ないで死ぬ人は、たくさんみて来た」


そう僅かに目を伏せながら語るフィリア、思わず場の空気が重くなってしまう


どうしたものかとトウヤが思っていると、コンコンと扉が叩かれる音が聞こえる


これ幸いとトウヤが返事をすると、そこにはゼトアとその後ろから2つの赤と栗色の人影が見え隠れしていた


「やぁ2人とも、勉強は順調かな?」


「順調」


「それは良かった。2人に用事があると言う人がいるんだが案内しても良いかな・・・とは言ってももう私の後に続いているんだけど」


「大丈夫」


「そっか、2人とも入って良いそうだ」


呼び掛けるためにゼトアが後ろを向くと入れ替わる様に後ろに控えていた2人、ラーザとシスが姿を現した


「ようお2人さん、調子はどうだ?」


「これから私たちエオーネのところに行くけど、そろそろ終わりそうなら一緒にどう?」


詰まるところ飲みの誘いであった

トウヤとしては是非とも行きたいところではあったので思わず顔を輝かせて返事をしそうになるが、勉強会はフィリアに開いてもらったものだし勝手に返事をしてはいけないと自制し、横目でフィリアの様子を見ようとする


「大丈夫、言いたい事は紙にまとめた」


「おっし、そう来なくちゃな!」


「なら行きましょうか、私たちエントランスで待ってるから焦らずゆっくり来てね?ゼトアさんも如何ですか?」


「私はまだ仕事があるから遠慮しておくよ、みんな楽しんでおいで」


こめかみを掻きながら申し訳無さそうに言うゼトアを尻目にトウヤは紙を手板に挟みリュックへと詰めていく

そんな彼へと椅子を押し入れながらフィリアが話しかけて来た


「トウヤ、説明書で、わからないことがあれば店でも聞いてね」


「わかりました。ありがとうございます」


そう笑顔でトウヤは応対し、2人は部屋を後にする


一行が向かったのはbarエオーネ

トウヤがこの街に来てから夕食に困った際はいつも来ているのでほぼ定番の馴染みの店となっているこの店では、ほとんど変わることのない顔ぶれが集まっていた


「聞いてくださいよ、俺、俺めちゃくちゃ悩んでるのに、なぁんで甘いとかそんな言われ方されなきゃ行けないんですか!」


そう言うと手に持ったコップを持ち上げると、一気に中に入っている上が深い赤、下がオレンジのカクテルを混ぜる事なく飲み干す

飲み干す間息が止まっていた為か、コップから口を離した瞬間大きく息を吸う


「まだ言ってる」


「だって、相手子供じゃないですか、人殺すのだって初めてだから勢いに任せてやったのに子供だなんて、そんな・・・ねぇ」


「わかるぜトウヤ、お前の気持ち、辛いよなぁ何でもそうだが命を奪う行為って、俺も最初は辛くて辛くて」


「わかってくれますか先輩!」


そう言うとラーザが自身の腕で目を覆い泣き始めた

トウヤはラーザに顔を向け感嘆の声を発するが、そんな彼の隣に座っていたフィリアは僅かに彼から距離を置く


その様なチンドン騒ぎをやっているとテーブルにドカンとジョッキが勢いよく置かれた

僅かに目を見開きラーザとトウヤが置いた人物へと顔を向けると、僅かに御立腹なのか眉間に皺を寄せるシスの姿がある


「もうあんた達何メソメソしてるのよ、別にやっちゃったもんは仕方ないしやるしかなかったんだから、ここは男らしくドーンと胸張って敵を倒したぞーって威張ってれば良いのよ!」


「シスさん・・・?」


「大体トウヤ、あんたその子供怪人の命と街の人の命、どっちを守りたかったの、後者よねぇ!!」


「もちろんです!」


普段よりも圧のある態度に、思わず上を向きながら肩を強張らせ答える


「だったら良いじゃない、それにああなった以上私達が出来ることは介錯をしてあげることぐらい」


やたらとアルコールの刺激臭が強い、透き通るオレンジ色の液体が入ったジョッキをカラカラと音を立てさせながら回しそう言った


「良い?だからこそあんたがやるべきは男らしくそのこと認めて、倒した相手がこんな奴に負けたのかって後悔なく召される様に胸張ってなさい、それが戦士の供養の仕方ってもんよ」


「姉さん・・・」


「姉御・・・俺一生着いて行きます」


それが正しい戦士の供養方法なのかはさておき、どこか男らしいシスの姿に同じテーブルの男2人は尊敬を眼差しを向けている

ラーザに至ってはシスの空いた手を両手で握り締め一生着いていくとも行った


「なんか、いつもより、様子が変だね、あはは!」


カウンター席から笑い混じりに途切れながら発された言葉は茜のものである

彼女はジュースの入ったコップを片手に面白そうに3人の奇行を見物していたのだ


「戦士の・・・供養?何それ知らない、エオーネは知ってる?」


未だ笑う茜の隣で、困惑した様子の雫が目の前でコップを拭いているエオーネへと声を掛けた

エオーネは美しい微笑みを携えながら言ってみせる


「知らない、というかそれ煽ってるだけじゃないの?」


「だよね」


「あ、でも言ったらダメよ、あれで一先ずは解決してるみたいだから、言われた本人も納得してるみたいだし放っておきましょう」


いつの間にかカウンターへと移動して来ていたフィリアがエオーネの言葉に頷く

彼女がチラリと後ろを振り向けば、何故か一気飲み大会が始まり、自分のいた席には茜が座って混ざっているが何も見なかったかの様にそっと前へと向き直る


「あ、そうだ」


何かを思い出した様に茜が呟く


「ねぇトウヤ、もし気になるんなら貧民街ボランティアに志願してみなよ」


「貧民街ボランティア?」


「そうそう、貧民街での炊き出しや就職支援とかやってる公的団体が運営するボランティアなんだけどさ、今のトウヤにはピッタリかなって」


朗らかに笑いながらそう茜は告げる

今トウヤの胸中に渦巻く問題、あの子供のことを思えば、第二第三と続く者を出さない為にも貧民街の人達に何かをするという事は必要だろう


「良いんじゃないか、貧民街の実情に触れる良い機会にもなる。これも社会勉強という事で行って来ると良い」


不意にトウヤ達の後ろから声を掛けられた

その声に思わずラーザとシスが勢いよく振り向く


「いいい、いたんですかオータムさん!?」


「ほ、本日もお日柄よく・・・」


「だよね、やっぱそうだよねオータムさん!」


明らかに動揺しているラーザとシスを他所に、朗らかな笑みで持って茜はオータムに応対する

対してオータムは微笑みを持って"3人"へと答えた


「あぁ良いアイデアだと思うぞ茜、あぁそれとラーザとシス、前にも言ったがあまり飲み過ぎるなよ」


「すみませんでした!!!」


「もうしません!!!」


顔だけは微笑んでいるオータムは2人にそう告げると、2人はきゅうりを見た猫の様に飛び上がっている

それを見た茜がまた大きな声を上げて笑っていた


「貧民街ボランティアか・・・」


「行きたい?」


「えぇ興味あります。もしあの怪人みたいな被害者を減らせるかも知れないですし」


「そう、やる気なら頑張って」


「頑張ります!」


希望に満ちた表情をフィリアに向け言うが、一方の彼女は、彼の悩みを解決する力になれなかった事に心を痛めながらも後輩である彼の挑戦を祝福した

あ、ちなみに何ですが、題名の

異世界行ったらヒーローになったSO!

のSOはスタートオーバー、やり直しって意味なんですって


まぁ深く考えずプリ⚪︎ネREみたいなもんだと思って下さい

多分

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