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第32話 義妹襲来

今回短めです


前回の閑話の補足ですけど、第4勇者ロアの使ってた特務装甲服よりかなり劣るレベルだけどある程度の再現は出来たよねってのが特務遊撃隊の新型MRAです

私の未完作品からの流用なので武装も考えたりしてますが、割愛します


登場人物

セド・ヴァラド:大貴族ヴァラド家の元次期当主でトウヤの先輩ヒーロー

トローネ:ひょんな事からセドが保護して出しにした半魔人の少女

篝野:トウヤを師事したり助けたりする謎の男

時はトウヤ達がトランセンドまで旅立った日まで戻る



カチカチと時計の針が進む音が、静まり返った部屋の中に本を捲る音が聞こえて来る

柔らかなソファに沈みながら開かれた本の文字に目を通し1枚、また1枚とページを捲れば、それは時計の針の音に合わさり空間に溶け込んでいった


ーーそろそろ時間だな


トウヤ達が旅立ったのを見送った後、セドは篝野から今日明日の見回りは俺が対応すると申し出を受けた

最初は2人で対応すれば良いと、セドが言うと


「良いよ、俺が街を警戒してると分かればアイツらもビビって出て来ないだろうしな」


そう言って断った


確かに篝野は8大罪を複数体相手取っても圧勝する程の力量の持ち主だ

ならば心配する事はないと考えると、とある件もあってか彼の提案を受け入れる事にした


「わかった。なら頼む」


そう頷き返事をすると、篝野は顔を近づけ耳打ちしてくる


「そっちこそ、トローネの事見てやりな」


彼の一言で提案して来た理由を悟るとセドは僅かに目を見開きながら感謝の意を伝える


「ありがとう」


「良いってことよ、じゃあ俺はこの辺で」


歩き去っていく背中を見送り、トローネを連れて家に帰って来たのがつい3時間ほど前だ


それから掃除をしたり読書をしたりして時間を過ごしていたが、その間もずっとトローネがセドから離れる事はなかった


彼女は今もあの時の光景を忘れられない様子だった


しかし、だからとてずっとトローネに付きっきりと言うわけにもいかない


「すまない、今朝言った様に俺は今から少し出かけてくる」


「確か役所のお仕事ですよね?」


ソファから立ち上がりコートをラックから取りながら頷く


「そうだ、だがすぐ帰ってくるから少しの間留守番を頼んでも良いか?」


「大丈夫です・・・すみません、ご迷惑をおかけして・・・」


師事してもらっているのにこんな体たらくになってしまった自身の不甲斐無さにトローネは意気消沈している様子を見せる


だが、セドはそんな彼女を見て小さく笑って見せると出来るだけ彼女を気遣い何でもない様子で言うのだ


「気にするな、目の前であんな事が起きれば誰でもそうなる。今はゆっくりと身体と心を休ませろ」


身支度を済ませた彼の言葉にトローネは小さく頷くと「ありがとうございます」と呟く


そんな彼女の様子を見てセドは徐に近付くと頭を出来るだけ優しく撫でた


「行って来る」


そう言って玄関まで歩いていくセドの後ろを付いていき見送った


鍵が閉められた後もセドの残滓を追い扉を見つめ続けて、リビングへと戻る


彼がいなくなり1人きりになった部屋

カチカチと時計が針を刻む音が侘しく響く


本のページを捲る音、彼の気配、その全てが無くなった部屋の中でトローネはソファの上で蹲る


カチカチ、カチカチと時計の針が刻まれる度に1人になったのだと実感が湧き出て来ると、背中に悪寒が走り何か恐ろしい感覚に襲われた


カチカチ、カチカチ、カチカチ



コツリ、コツリ


「・・・っ!!?」


そこでトローネは後ろを振り返る

誰もいないはずの少しばかり薄暗い廊下


それなのに何かの気配を感じた気がしたのだ


「うぅっ・・・!」


ソファの上に置かれていた膝掛けを急いで手に取り孤独を少しでも埋める様に頭から被る


誰もいない誰もいない

そう自分に言い聞かせた


カチカチ、カチカチ、カチカチ



コツリ


時計の針が足音の様に聞こえて来る

これは幻聴だ、違う、違う


そう考えても頭の中にはあの時の光景が浮かび上がって来る


あの悍ましい怪人の姿が、気配を後ろに感じた


『ははっ!』


肩が強張り膝掛けを持つ手が震える

大丈夫、大丈夫

そう自身に言い聞かせながら恐る恐る後ろを振り向いた



目の前に広がったのは先程と何一つ変わらない薄暗い廊下だった


その事に肩を下ろして安堵すると思わずため息を吐く


「うっ・・・!?」


安堵してすぐだった

耳障りの良い鈴の音が家中に響き渡る


玄関に付けられた呼び鈴の音だ


今日は来客の予定はなかった筈と不思議に思いながらも「はーい」と僅かに震える声で答えると玄関まで向かう


「どなたですか?」


問い掛けるトローネ、しかし、返事は無い


その事に不気味さを覚え扉を開けるのを戸惑うが、丁度思い始めた頃に扉の先から声が聞こえる


「ごめんください・・・、セド様のお宅はこちらでよろしかったでしょうか? 私、彼の家族で・・・宜しければ扉を開けてくださらない?」


扉越しに聞こえる美しい少女特有のソプラノ声


その優しげな声に緊張から強張っていた顔を解す


「そうなんですね、今開けますね」


扉の鍵を解除するとドアノブを捻り扉を開く


「こんにちは」


「こ、こんにちは・・・」


扉を開けた先で目が合った少女に思わず目を奪われる


美しい金糸の様に輝く金髪、猫目に何処かあどけなさを残した端正な顔立ちは少女とは思えない妖艶さを持っていた


思わず固まるトローネだが、少女は笑い掛けると胸に手を置き口を開く


「お久しぶりですね・・・あぁ初めましての方が良いかしら? まだご挨拶もしていませんしね、私の名はリーゼ、リーゼ・ヴァラド、お義兄様の義理の妹です」


後にトローネはこの時扉を開けたことを後悔したと語った

リーゼの登場大体15話ぶりくらいですね

セドの義妹で初登場が7話になります


遂にここまで来たかぁ・・・

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