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閑話 研究基地防衛戦

はい、作者の趣味回です

まぁ本編も趣味回ではあるんですけども




それと一件ご報告があります

マジで申し訳ないです

大怪人スーラの名前を2章後半から今に至るまで設定段階のものと間違えて書いていました

本当に申し訳ございません


現在1〜2章までの名前を全てラーズからスーラに変更して修正致しました事をこの場にてご報告させていただきます


申し訳ございませんでした

2度と同じミスが起きない様に再発防止に努めます

幼い頃、貴族の家系だった俺はよく祖母に連れられて王都にあるシアターに映画を見に行っていた


大好きだったのは大陸同盟軍の特殊部隊が大型魔獣よりもさらに巨大な魔獣と戦うカイジュウシリーズ、と呼ばれる映画だ


光景を録画する魔道具と幻影魔法を使って映し出される半透明なカイジュウとMRAが観客席の周りで動き戦い合う臨場感は今も忘れられない


あの時からだった


俺が大陸同盟軍に志願しようと思ったのは











999年秋

儀式により12人の勇者を召喚した大陸同盟軍は3軍に分けて侵攻する大規模反抗作戦に打って出た


しかし、戦局は一時膠着状態へと陥り、召喚された勇者も残り8名となってしまう


それでも配備された新型MRA、熱線砲装備型の活躍や継承の儀により力を増した勇者達の力もあって作戦当初と同じ勢いを取り戻し、今や元大陸同盟国のあった北部国境地帯に迫ろうかとしていた


この快進撃を受け、魔軍総司令部は秘密部隊に対してフェイル王国への破壊作戦を急がせると共に、大陸同盟軍の戦力増強を防ぐべく、王国内にある研究基地に部隊を派遣

新兵器破壊作戦を実行した









暗い、暗い静寂が支配する空間


緊張の為か、男が大きく息をすればその呼吸音が嫌なほど大きく男の耳へと伝わってくる


固定された手足、僅かに蒸し暑いその空間で男はまだかまだかと、その時を待ち望んでいた


突如として小さな振動と何かが動く音が聞こえる

ついに来たか、そう思うと眼前の画面が灯り眩いまでの光を放つ


眩しそうに目を細めるが、すぐに慣れて来たかの目を少しずつ開いていき目の前で下へと流れていく鉄骨の映る画面を注視する


地上へと近付く程に聞こえてくる爆音、銃撃音


激しい戦闘の音を聞くたびに心がざわつき、武者震いがする


『タイタンズ各機へ、敵は既に基地近郊まで迫って来ている。タイタンタイプの初お披露目だ、気合い入れろ!!』


「「「「了解!!!」」」」


通信機から聞こえてくる女司令官の声にパイロット達は意気衝天な有様で返事をする


しかして上方向から光が差してきて、全長10mの巨人達は地上へと姿を現す



研究基地へと侵攻してきた魔軍に対して、基地は迎撃作戦を行う事となった

展開されて行く部隊、その中には既に量産体制へと入っていた3種の新型兵器も含まれている


T型外強化装甲服タイタンタイプ

対大型魔獣用として作られた同盟軍の新たな矛たる巨人がこの地で産声を上げたのだ



「タイタンズ各機、全兵装使用自由、撃てば当たる。撃ちまくれ!」


隊長機の声が聞こえた瞬間、各タイタンの右腕部に装備された3級熱線砲


新型駆逐艦の主砲と同性能を誇るダーカー工房製の術式を用いた新型兵装から破陣式の砕ける音と共に熱線が味方の防衛陣地を飛び越え戦場を切り裂き迫る魔王軍を昇華させながら大地を赤く焼け焦がしていく


その圧倒的な姿は防衛戦を行っていた兵士達の士気を高めた


塹壕を覆う巨大な影

タイタンが自分達の近くを通り頭上を通り過ぎる度に兵士達の歓声が彼らへと贈られる


幾条もの熱線が放射される度に、地面を撫でると共に迫るスライムローパーやゴーレム達を焼き焦がしていく


そんな彼らの攻撃を止めるべく上空からは有翼人種飛行隊の高下をすり抜けた爆撃型飛行ゴーレムが、腹に抱えた爆弾を落とすべく殺到する


巨体故にタイタンタイプは絶好の的であった

何もしなければ



上空からの接近を察知した1機のタイタンタイプが肩部拡散砲を上空へと向けると射撃する


撃ち放たれた砲弾は上空へと舞い上がると放たれた際の衝撃によりひび割れ崩壊していき幾つかの破片となって強襲してくるゴーレム達へと突き刺さっていく


目視確認でもわかる。敵機の撃破

しかし、そう思ったのも束の間、すぐさま悲鳴の様な通信が響く


『っ!? 14時方向熱線来ます!』


「任せろ!」


遠くに見える大型魔獣光線植物ムロイからの熱線攻撃充填の光に一機のタイタンが前へと躍り出ると腕に傘の様に纏わりついていた計6本の棒が展開され、備え付けられた術式に魔力が流されて結界魔法の大盾が形作られた


充填が終わり放射された熱線

暴力的な熱の奔流を盾を構えたタイタンが受け止める


次の瞬間には熱線の射撃地点に向けて僚機からの熱線が殺到してムロイはその身体を昇華させていった






地上での戦況は数で勝る筈の魔軍に対して同盟軍は質を持って対抗し優勢を保っていた


この状況を受け、同盟軍司令部は勝利を決定付ける為に新たに戦力を投入する








基地上空で対空砲火と支援砲撃を放つ特務艦隊、その旗艦である新型戦艦の内部ではけたたましいアラートと共に航空部隊が発艦準備を進めていた


『第6飛行隊は3番カタパルトから発艦してください!』


「遊撃隊用の武装準備急げ!」


「第2飛行隊出るぞ!」


鋼鉄の鎧に身を包み、背中から火を吹きながら有翼人種飛行隊がカタパルトの勢いのままに外に射出されていく


ダーカー工房製術式を基にした新型飛行装置の開発により、艦から飛び出していった有翼人種飛行隊は音速に近い速度で飛行し、飛行型ゴーレム達と交戦を開始する


そんな戦闘風景を発艦デッキのガラス窓から眺める一団がいた


「やってるやってる」


「私達もそろそろ出撃ですよね?」


「そうだな、みんな準備は良いか?」


身体に張り付くデザインのパイロットスーツに身を包んだ彼らは隊長である白人の男、ロアの言葉に頷くと乗機の元へと向かう


「やれやれ、前線からここまでメンテナンスの為に戻ってきたのに・・・ここでも戦争かよ」


「しょうがないさ、これも俺達の仕事だ」


開かれた背中から身体を滑り込ませながらボヤく獣人の隊員を宥めながらも、乗り込んだMRAを起動する


閉じられる背中の駆動音と共に魔結晶供給機関に火が灯り吸気音が響く


暗かった内部は術式の起動と共に外の景色を映し出し明るくなる


『第1特殊遊撃隊は第2カタパルトへ移動せよ』


通信機越しに聞こえた指示に従い、専用のハンガーに立て掛けられた武器を手に取るとMRAを纏った身体を動かし駐機場からカタパルトへと移動する


射出要員であるゴブリンに補助されながらスキーの様な器具に足を嵌め込む


射出要因が対比したのと排熱板が迫り上がるのを確認すると背部噴出口より火を吹かす


「第7空挺団改め・・・第1特務遊撃隊! 行くぞ!!」


前方のランプが灯り、射出要因が出撃許可を出す


カタパルトが加速し前方から膨大なGにより身体を押されながら一気に外へと飛び出た




ダーカー工房により大陸同盟軍に納品された技術は3つ


1つ目は熱線砲

2つ目は破陣式

3つ目はフレアジェットである


これら3つを使ったのが彼らの纏っている最新鋭試作MRAであり、大陸同盟軍が求めた第4勇者の纏っていた特殊装甲服の再現を果たしたのだ


6機の特務MRA達は艦艇から飛び出すと手に持つ熱線銃を前方に展開する飛行型ゴーレム達へと構えた


引き金を引いた瞬間、ブラッシュアップされた術式が活性化すると共に熱線が前方へと投射される


当たれば一撃

光の矢はゴーレム達の身体を焼け焦し貫いていく


爆散するゴーレムを尻目に彼らはそのまま敵機へと接近して更なる攻撃を仕掛ける


ゴーレム達が迎撃のために撃ち込んだ弾丸はその尽くがMRAの動きに追従出来ずに外れ、しかし、逆に放たれた熱線は確実にゴーレム達の数を減らして行く


『こちら第5中隊、敵の攻撃が激しい航空支援求む!』


質で優っている同盟軍ではあったが、数の上では魔軍が圧倒しており地上の部隊だけでは支え切るのにも限度があった


『こちら司令部、了解した。第1遊撃隊聞こえたな? ただちに第5中隊への支援砲撃を行え』


「了解、これより砲撃を行う、巻き込まれるなよ!」


それ故に特務遊撃隊の存在意義は非常に大きかった


通信の後に狙いを定めると魔力を流し込みモードを変えた熱線銃の引き金を引く


ガラスが砕ける様な音と共に膨大な魔力を受け取った熱線銃は銃口から先程よりも太く膨大な熱を伴った熱線を放出する


タイタンタイプ以上の出力をほこる熱線銃は草も木も焼き尽くし地面を赤熱させ第5中隊へと迫る魔軍を一気に昇華させていく


『助かった。ありがとう!』


「気にすんな、いつもの店で奢るだけで良いよ」


『現金な奴め、キープしてるボトルがあるんだがそれで良いか?」


「なんだ?」


『デリジオだ』


「決まりだ!」


高速移動しながら連射モードで次々と飛行型ゴーレムを落としつつ、ロアは声を張り上げた


旧大陸産の銘酒がここで飲めるとは、そう思いながらもしっかりと意識は敵に向ける


後方から射撃しながら迫るゴーレムを急停止と上昇を行う事でハイGターンを行い振り向き様に撃ち抜くとそのまま追われている味方の支援に向かう


特務遊撃隊が出撃してから、空の戦況は劇的に変わりつつあった


すでに空を覆い尽くすほどいた筈の飛行型ゴーレムの数よりも味方の数が多くなってきた頃、通信が入る


『司令部より各部隊へ、敵第二陣が敵軍後方より近付いてきてる。各隊は前進して敵部隊を迎撃せよ、今まで散々暴れてくれた礼をしてやろうじゃないか』


司令部からの通信により一層隊員達の顔が引き締まる


『生き残ったら第2中隊長様の奢りで飲みに行けるそうだ、各員気張れよ!』


『ウェッ!? 無茶言うな!』


続け様の戦闘による緊張を解そうとしたのだろうか、一瞬通信越しに複数人の笑い声が響く


「気前いいじゃねぇか、第1特務遊撃隊一気に敵を平らげて今夜は祝杯だ、行くぞ!」


通信越しに聞こえる部隊員の声


幼き日に見た映画の様に俺は今、MRAに乗って戦っている

次回から本編再開です

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