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怪人大進行 5 終

登場人物

浅間灯夜:本作の主人公


ゼトア:冒険者ギルドに所属する特別事案対策冒険者人事担当、神父マインと昔何かがあった様子


ウココツ:8大罪の1人、ウツコウというアイドルユニットという姿を隠れ蓑にして暗躍していた


アガー:8大罪の1人であり、人間体は浅黒い肌をした筋肉隆々の男、ウココツと共に大陸間会談の行われる街に爆弾を仕掛けた張本人

今回はウココツと共にベガドの街を襲撃した

西区中央広場

そこに陣取っているウツコウこと、ウココツは不機嫌さを隠すことなく周囲にひけらかしていた


「何をそんなにイラついてるんだ?」


彼女の様子に呆れながらアガーが尋ねると、彼女はほんの僅かに顔を向け睨み付けると次の瞬間には小馬鹿にした様にため息を吐く


「そんなの当たり前でしょう、わざわざ私達が出向いたっていうのにこの体たらくはなんなのよ」


ウココツがイラついていた理由

それは怪人達の侵攻具合の遅さにあった


西区中央広場からの奇襲により街の西区の殆どは占領出来たのだが、そこから南区、北区への侵攻が鈍化し今では侵攻が止まってしまっているのだ


これはトウヤ達ヒーローの活躍もあるのだが、一番の鈍化の要因はその他にある


「この街ってここ数ヶ月で何回も襲撃されてるのよね? 何でたかが冒険者風情と防衛隊がこんな強い訳?」


「冒険者はあれだろ、オータムとかいう奴を筆頭に1等級冒険者が多いからじゃないか?」


「なら何で防衛隊がこんな粘るのよ!」


鈍化の主要因、それは防衛隊の想定以上の粘り強さにあった

本来この程度の街で組織された防衛隊程度であれば例え最新鋭のMRAが配備されていようとも怪人の敵では無い


だが、この街は他の同程度の街とは違う

怪人を引きつけ確実に一体一体を処理し、状況に応じてヒーローか1等級冒険者が到着するまでの時間稼ぎを行い住民の被害を最小限に抑える力を持っていた


何故これ程までの練度と指揮能力を持っているのか、分かりきった答えにウココツは何度目かわからないため息を吐く


「魔族とスーラめぇ・・・、何でこんな強くなるまで鍛えちゃうのよ!」


度重なる襲撃と今は亡きスーラによる政殿により配備された最新鋭MRA、防衛隊司令官と共に考え鍛え抜かれた防衛隊は同程度の街とは比べ物にならないほどの練度を誇っていたのだ


幾らスポンサーと元部下とは言えど看過出来ない状況にウココツは苦々しい思いを口にする


「あぁそういうことな、まぁ仕方ないんじゃねぇの?」


「仕方ないぃ? あんたわかってるの!? 8大罪を3人も動員して攻めてんのに落とせなかったら恥どころの話じゃ無いわよ!?」


内心怒りを宿しながらも納得し、あっけらかんと言い放つアガーにウココツはさながら油を注いだ大火の如き勢いで言葉を投げかける


「こんなんじゃせっかく楽しみにしてた一方的な大虐殺って悲劇も英雄諸氏の奮闘劇みたいなのにすり替わっちゃうじゃない!」


「ようは良い感じに戦われて悔しい訳だろ」


「そうよ悪い!?」


まるで幼子の様に地団駄を踏み、亡骸を蹴り飛ばしながら開き直る彼女の姿にアガーは内心イラつきながらも、その怒りを抑える様にため息を吐く


「ならとっとと前線に向かってゴミどもを薙ぎ倒せば良いだろ」


「それは・・・だめよ、組織としてやらなきゃいけない事があるし・・・」


「わかってんじゃねぇか、なら我慢しろ」


「うぅ・・・」


アガーの言葉にぐうの音も出ないウココツはただいじらしく下を向くことしかできなかった








「ゼトアさん、西区中央広場で良いんですね?」


『えぇ、魔力反応的に敵の首魁は現れて以降その場を動いていない様です』


フレアジェットを展開しトウヤは空を駆けていた


防衛隊と冒険者による防衛線は安定し、住民の避難も大部分が完了した。あとは今回の事件を引き起こした敵首魁の討伐、これさえ成せれば協調性の薄い怪人は敵は烏合の衆と化す筈だ


ただここまでスムーズに行けたのも彼らとしても予想外の嬉しい誤算というのもあったからである


『まさか、スーラ一派の怪人が手を貸してくれるとは思いませんでしたね』


組織側は知らないが、防衛隊の戦いをスーラ一派の怪人達が陰でサポートしていたのだ


彼らに何故かと問い掛ければ彼らは寸分違わず口を揃えてこう言った


ーースーラ様の為であり、この街の為


スーラの愛したこの街を彼らもまた愛していたのだ


そんな彼らの気持ちを改めて感じ、トウヤはこんな状況でありながらもつい困った様に笑ってしまう


「やっぱ凄いですね、ラスさんは」


忌むべき敵、大怪人スーラ

その偉大さをトウヤは改めて実感したのだ


『もうすぐで中央広場です。フィリアさんも向かってますがお気を付けて』


戦いの時は刻一刻と迫りもう目と鼻の先にあった


そんな時にかけられたゼトアの言葉に、トウヤは緊張から眉間に皺を寄せ真剣な面持ちを浮かべながらただ一言呟いた


「・・・ありがとうございます」


『・・・ご武運を』


ゼトアの言葉と共に通信がプツリと音を立てて切れると、フレアジェットの勢いを強めながらヒーローは1羽の鳥となり空を飛翔する


この街を守る為に

あなたを奪ったその日から、終わりましたなぁ

何と言うか・・・各々の気持ちを考えればほんまに複雑な気持ちになる面白いドラマでした


人の心は万華鏡

憎しみを受け入れる事で過去の悲惨な体験を乗り越える


あぁなんか人間って複雑でこうあるべきなんだなって改めて思いましたね

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