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怪人大進行 4

お待たせ致しました

飲み会での二日酔いでマーライオンになりながらも戻ってまいりました!


登場人物

トローネ:セドの元で技を学ぶ少女


リーゼ・ヴァラド:セドの義妹


テッラ:8大罪の1人で恐怖担当、全身を細い毛の様な腕で覆われ、目は縫い付けられ閉じている

子供を思わせる無邪気をさを持った怪人

校舎へと突入したトローネは残った生徒達を避難させるために校内を走り回っていた


「誰か、誰かいませんか!」


先程体育館まで避難させた生徒は6人

流石にもう残っていないだろうと思っていたが、廊下に続く新しい血痕からまだ残っている生徒がいるのだと考えたトローネは怪人に見つかる危険性を省みず声を張り上げ必死に生徒を探す


「どこにいるんだろう・・・」


途中で止血したのか、血痕は途切れ闇雲に探すしかない状況にあった

もうすでに逃げた後なのだろうか、それとも・・・


嫌な想像が脳裏をよぎるが頭を振るい脳内から払い除けると廊下を走り続けた


「ご・・ね・・・」


そんな時か細い泣き声が聞こえてくる

耳をすませ何処から声が聞こえてきたのかを探ると、目星を付けた近くの教室の扉をゆっくりと開いた


「ひっ・・・! あなた誰!」


そこにいたのは教室の隅に座り込む2人の女子生徒だった


突然扉を開き現れたトローネの姿に怯えているのだろう、女子生徒の片割れはぐったりとしている女子生徒を自身の背で庇う様に抱き付くと涙を浮かべた目で睨みつけてくる


そんな彼女を安心させる為にトローネは慌てて声をかけた


「あ、大丈夫です落ち着いて下さい! 私はセド師匠の元で修行してる・・・その、ヒーロー見習いです!! 助けに来ました!!」


ヒーロー見習いであるという間違っていない様で間違っている経歴詐称を交えながら女子生徒達に向けてそう告げると、助けに来てくれたと聞いて安心したのか抱きついていた手をゆっくりと下ろし壁にもたれる


「本当に・・・た、助けに来てくれたの?」


「はい! 助けに来ました・・・その前に手当が必要ですね」


女子生徒達へと近付いたトローネの目に飛び込んできたのは、負傷して青い顔をしている女子生徒の姿である


隣に座る女子生徒を押し退けると、すぐさま水属性の治癒魔法を使い傷の手当てを行う


「あなた治癒魔法が使えるの・・・ねぇ、モコは助かるの・・・」


「わかりませんがやれることはやります」


「お願い! モコを助けて!」


自分達よりも幼い少女が見せた高出力の治癒魔法に驚きながらも、トローネへと切羽詰まった様子で懇願する


そんな彼女をよそにトローネは治癒魔法へと意識を集中させる

傷は思ったよりも深く、魔人として膨大な魔力を誇る彼女でも応急処置を完了させるにはそれ相応の時間が必要だからだ


だが、数分が経過した頃だろうか、顔は相変わらず青いままで一向に良くなる気配を見せない


「ねぇ大丈夫よね?」


「・・・一先ず避難場所である体育館まで運びます。」


震える声で問われたトローネは自分ではどうしようもない事を悟ると、養護教諭がいる体育館へと向かう事を決意した


「私が先導するのでおぶって移動してもらうことは出来ますか?」


仮に怪人に見つかり戦闘が発生した場合、怪我人をおぶったままでは危険だと判断してだったが、女子生徒は迷う事なく頷く


「ありがとうございます。では、行きましょう!」






扉を開き廊下を恐る恐る覗き見る


何もいない、嘗ての騒がしさすら消え去った廊下は明るいはずなのにどこか仄暗く感じた


「大丈夫です。行きましょう」


声を顰め後ろに立つ怪我人を背負った女子生徒へと声を掛けるとゆっくりと外へと出た


怪我人がいて体育館までの道のりは遠いが、それでも行くしかない

意を決したトローネは周囲を警戒しながら先導する


暫くは緊張感を持った沈黙が2人の間に流れた


「あの・・・」


「あ、はい!」


そんな沈黙を破ったのは怪我人をおぶった女子生徒だった

まさか彼女の方から話しかけられると思わずトローネが肩を動かし驚きながら返事をすると、それを見た彼女も僅かに慌てる


「ごめんなさい、まさかあなたみたいな子が助けてくれるとは思ってなくて」


「すみません、私みたいな未熟者で・・・」


「あ、違います! 私よりも小さいのに本当にすごいって言いたいんです。ありがとうございます」


8大罪に襲われリーゼを残し怪我をした友人を背負いながら逃げてきた彼女にとって、助けに来た自分よりも幼い少女の存在はとても心強く感じていた


そんな背中越しに掛けられた感謝の言葉に、前を向きながら話をしていたトローネの心がほんの少し温かくなるのがわかる


まだまだ安全地帯というわけではないが、嬉しさとほんの少しの達成感を胸に宿し彼女は振り返りながら言った


「そう言ってもらえて良かったです。ありがとうございます!」


そう顔のあった空間へと話しかけた






「え・・・?」


ドサリとおぶっている怪我人にのし掛かるように倒れるそれ

切断面からは夥しい量の血を吐き出し、未だ意識の戻らない少女へと流し掛ける


「やったぁ! 僕の勝ちだ!!」


自身の傍から聞こえる無邪気に嗤う声と共に、毛のように細い腕が重なる2人へと突き立てられた


「ぁ・・・あぁ・・・」


目の前の光景にトローネは言葉を失う


助けるべきだ、どうやって? 

生きてるのか、死んでいるだろう

なんでだろう、隣にいるであろう存在のせい?


相反し反発しあう言葉の羅列が自問自答を繰り返す

止まったようにも思える狭まった視界の中で彼女は動かない、いや動けないのだ


「な・・・んで・・・?」


「ゲームなんだ! 僕とあの子とのゲーム、先にこの子達に追い付けたら勝ち!」


「は・・・?」


そんなビーチフラッグの様な扱いで彼女達は殺されたのか

目を見開き漏れ出たか細い声は、信じられない言葉を聞き胸の奥底から引っ張り出された低い声


そんな彼女を怪人は嗤う


「何その声! ねぇもっかいやってー!」


全く関係の無い話題に勝手に盛り上がり人の神経をどこまでも逆撫でしてくる


「あなたなんかに・・・なんで・・・」


「だからそういう遊びなんだってば、しつこいなぁ」


尚も問いかけて来るトローネに、テッラは煩わしそうに答えると通信が入った


「なぁにウココツ」


『ちょっと、その呼び方やめてって言ってるでしょ』


通信を送ってきたのは同じ8大罪のウココツだった

彼女はどうせ言っても聞かないとため息を吐くと言葉を続ける


『目標を見つけたから来て、もう直ぐそこまで来てるの』


「えー! そんなせっかく次の遊び考えてたのに!」


『良いからすぐ来なさい』


プツリと切れる通信

不満そうな顔を浮かべながらも踵を返し彼女の元へと向かうために歩き出す














「モコ! オーブ! 何処にいるの!」


息も絶え絶えになりながらリーゼは全速力で校内を走り続けていた


その胸の内にあるのはあの怪人よりも先に学友達を見つけ守らねばならないと言う使命感だ


「何処に・・・」


だが、どれだけ探そうとも姿形どころか影すら見せることのない学友達に焦りを募らせていく


もしかして、既にやられたのではないのか?

嫌な想像が頭をよぎりながら廊下の角を曲がった


「・・・誰?」


廊下の先にいる見慣れない小さな背中

まさかまだ逃げ遅れた生徒がいたのかと小首を傾ける


「あなたここで何をしているのですか・・・?」


学友達のことも心配だが、目の前の少女を放っておくことができず彼女に向けて歩を進めた


そして、気がつく

彼女の先の地面に赤い何かが広がっていることに


「ぁ・・・」


広がった赤い液体、その正体が何となくわかってしまった時、リーゼは思わず足を止めてしまう


信じたくない、そんな訳がない

頭が理解するのを拒む


だってそんな訳がない

今朝まではあんなに話、笑い合い、共に勉学に励み、明日という日を語り合ったではないか


だというのに、何故そうなるのか


「モコ・・・オーブ・・・?」


震える声で、少女の背中越しにそこに居るであろう何かに声をかける


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・」


ボソボソと少女が何かを呟いているのがわかるが、今のリーゼにそんな事を気にする余裕はない


だってそうだろう

彼女越しに見えた首無しの死体に学友達の面影を感じてしまったのだから


「あぁ・・・あぁぁぁ!!」


頭を抱え座り込む

この現実から逃げる様に


学友達との記憶が頭に流れ出す

夢から覚めたらいつもの日常に戻っている様にと祈りながら


だが、変わらない

何も変わらない現実が目の前にはあった






その日、学園に少女の声が響いた

慟哭は止まらない

恐怖担当のテッラ君、恐怖って具体的にはどんなのだろうって思った時に出たのが「理解出来ない」事なのかなと思いました

幼子よりも無邪気で、行動に一貫性がなく

でも自分で考えてそうで何も考えてなくて、自分の感情に対して素直過ぎる存在

身体も怖い、よりも気持ち悪いがある意味で恐怖の名に適してるかなと思いこんな感じになってます



女子生徒の顔色が戻らなかったのはチアノーゼになってたからって感じにしてますが、ネットでしか知識集められないので粗は絶対あるやろなって思ってるのでチアノーゼ風な描写にしてます

・・・パスタかな? 

チアノーゼ風パスタ・・・青そう!

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