第29話 怪人大進行
国宝って映画知ってます?
あれめっっっちゃ面白かったです
いやもうなんだろう、心が掻き乱される映画というか何と言うか・・・
いやほんとあれ作った人らすっごいわぁ・・・
街の中を進む市民の一団
突如鳴り響いたサイレンに皆恐怖しながらも避難場所に向けて必死に走っていた
だが、今年に入ってから続く災害とも言うべき騒動の数々に彼らの心は僅かだが折れかけてもいる
何故この様な事が続くのか
そんな疑問が浮かびながらも街を出る選択肢は取れない
取ることができない
「隣町に逃げるか?」
「馬鹿! あそこはテロで壊滅して封鎖されてる!」
「どこに逃げれば良いの・・・」
隣町は封鎖され、金銭的余裕もなく街を変えることはできない
出来たとしても状況は対して変わらない、また幾分かマシな程度の怪人の引き起こすテロに巻き込まれる
この大陸にはもう逃げ場など無いのだ
悲観に暮れながらも、家族を、財産を、自身の命を守る為に人々は自分達を守る壁の中を逃げ惑う
だが、幾ら逃げたところでいつかは壁にぶち当たる
戦闘の家族が角を曲がった瞬間悲鳴が聞こえた
「な、なんだ?」
「や、やめろ! 早く逃げっ・・・!」
重鈍な打撃音と共に縦に力無く転がる男の姿が視界に映る
角の先から聞こえる悲鳴と断末魔は自分達の行く末を暗示している様だった
「あ、あぁ・・・」
ある者は急いでこの場から逃げようと走り出し、ある者は力無く地面へと座り込む
人のものとは思えない重い足音が近付いてくる。彼らにはそれをどうするとこもできない
やがて姿を現した怪人に皆が息を呑み恐怖の表情を浮かべる
もう終わりなのだと、皆が悟った
誰もが助けを願った
『一撃、粉砕! フレアキック!!』
「セイヤー!!」
響いた声と共に空から降りて来た人影が強力な魔力を纏った一撃で怪人をくの字に折り曲げ蹴り飛ばす
人々は何が起こったのか訳も分からず硬直するがすぐに事態を把握し恐怖で強張った身体の力が抜けていく
怪人が爆発すると共に、赤いスーツを見に纏った男が彼らへと近付く
安堵した様子を浮かべる彼は優しい声音で声を掛けた
「大丈夫か?」
その時彼らは確信した
自分達は助かったのだと
どれだけ酷い状況だろうとも希望はある
目の前のヒーロー、フレアレッドを見て彼らはそう思う
「ゼトアさん、預け終わりました」
フレアジェットで街の上空を飛び駆け付けたトウヤは、冒険者達に市民を預け避難させたことをゼトアへと連絡を入れると通信機越しに彼が安堵する様子が聞こえてくる
今ベガドの街は西区の中央広場に現れた怪人の一団による襲撃を受けていた
その数は今までの比では無く、防衛隊も冒険者も総動員で市民の救助と怪人の撃退にあたっている
無論ヒーローであるトウヤ達も遊撃隊として各地の怪人を倒し回っているが数が数だけに対応が遅れていた
「何でこんな・・・」
火の手の上がる街へと目を向けながら苦悶の声を上げる
『彼らが何を目的としているのかはわかりません、ですが今も市民は襲われています。我々は我々に出来ることをしましょう・・・』
だが、彼らに街全体に広がりつつある怪人達を倒し現状をすぐさま変えられる程の力は無い
出来るのは少しでも早く次の現場へと向かいひとつずつ事を成していく、ただそれだけであった
「うわぁぁぁ!!」
怪人の侵攻は西区広場から北区にあるベガド高等魔導学園にも及んでいた
正門は既に破壊され、教職員や警備の兵士が応戦しているが人手が足らず既に何体か校内への侵入を許してしまっている
急いで中に戻らねば、子供を預かる教員としての使命感から教師達が焦りながら戦っている最中だ
校内から悲鳴が聞こえて来たのだ
「マズイ、中にいる先生は!」
「メウゾ先生とツバメ先生がいますが、うわっ、今は避難した生徒の護衛で体育館にいます!」
怪人の攻撃を何とか避けながら答えるが、その内容はあまりにも絶望的な内容だった
ーーどうする・・・我々では足止めで精一杯、助けに行く余裕など・・・
風魔法で怪人を吹き飛ばすが、平然と立ち上がる姿を見て学園長は思わず顔を歪める
「どうすれば・・・」
歯を食いしばりながら、唸る様な声を上げた
その時、雷光が走った
「・・・なっ!?」
突然怪人の目の前に電流が走ったかと思えば少女の姿が現れた
彼女は足先に風の魔力をまとめ上げると形作られた鋭い刃が、回転蹴りの勢いのままに怪人の頭へと突き刺さる
「風竜牙!!」
怪人の頭部へと命中した一撃はそのまま怪人を薙ぎ倒し他の怪人へとぶつける
一瞬の明滅の後、怪人は他の怪人を巻き込んで爆散した
「なっ・・・」
その光景を見た学園長達は目を見開き驚く
自分達が教えている子供達よりも幼い少女が怪人を一撃の元に倒したのだ
地面へと降り立ちゆっくりと立ち上がる少女は爆散した怪人を見て「よし」と呟く
「隙だらけだぞ、トローネ」
そんな彼女へと拳銃による攻撃を仕掛けようとしていたカウボーイ風の怪人へと拳を叩き込む男の声に、トローネは頭を下げる
「すみません、師匠!」
「いや良い、学園長状況は?」
師匠と呼ばれた男、セドは学園長に顔を向けると彼は安堵から弛んでいた表情を再び締め直す
「校内に何体かの怪人の侵入を許してしまいました・・・ここは私達で足止めします故、取り残された生徒の救出をお願いします!」
必死な形相でそう頼む学園長、彼の言葉に少し考え込む様な仕草をセドは見せると、隣に立つトローネへと目を向けた
「トローネ、行けるな?」
彼の言葉にトローネは驚きを隠せないと言った表情を見せるが、次の瞬間には認められた事への嬉しさからか笑みを浮かべる
「はい!!」
「では頼んだぞ、学園長何人か一緒に行ってくれないか? 取り残された生徒の避難誘導をお願いしたい」
それだけ伝えるとセドは未だ正門から侵入してくる怪人達へと目を向けながら拳を構える
「俺はここを護ろう」
こうして学園での戦いが幕を開けた
歌舞伎って意外となんかある業界なんですね
ただ国宝の場合はすっごい何と言うか、ネタバレになるから言えないけどすっごいなんかアレなんですよ!
そう言えばあなたを奪ったその日からも最新話出ましたね、あれめっちゃ気になるぅ!
今日ネトフリで見よ・・・
あ、あとセドとトローネは普通に風魔法とか跳躍とかで壁乗り越えて学園に入りました