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Dream of the Dead 2

太陽が真上へと昇り切る昼時の時間

ボランティア施設での活動を切り上げたトウヤは、1人街を歩くとダーカー工房へとやって来た


この日は月に一度の定期メンテナンスの日だ


「博士、いますか?」


工房の扉を開き中に入ると、珍しく地下の工房ではなく受付台に道具を広げたダーカー博士の姿があった


彼女はトウヤの姿を見ると片手を上げ挨拶してくる


「来たね、トウヤ」


「博士・・・ここでメンテナンスするんですか?」


「なんだい、何か不満かい? まぁそんなのいいからさっさと寄越しな」


義父であるラスの秘密と彼の死により、工房に引き篭もっていた彼女ではあったが、今では立ち直ってくれた様で急かす様にトウヤへと早く道具を寄越すようにと手を動かす


そんな姿に嬉しさ半分呆れ半分と言った様子で「はいはい、わかりましたよ」とだけ言うと、自身の装着していたブレスレットを手渡す


「・・・ん? どうしたんですか?」


握られたブレスレットをジッと見つめるダーカー博士

そんな彼女の姿を不思議に思い声を掛けると「あぁいやね」と呟き、ソッと優しく机の上にブレスレットを置く


「あんたがヒーローになってからもうだいぶ経つなと思ってね」


「だいぶって言っても、まだ数ヶ月くらいですけどね」


大袈裟な言い方だと思いながらも口にした言葉に、彼女はブレスレットを見つめながら笑う


「充分さ、それにあんた結構不思議な現れ方したからね」


「・・・まぁ、ですね」


一瞬歯切れが悪くなる

確かに自分はこの世界に気が付けば現れたと言う不思議体験を経験した

彼女が言うのはその事ではないだろう事はわかっているが、それでも指摘されると肝が冷える


一方の彼女はあの時の事を懐かしく思う

未だに自分が見つけた本当のブレスレットは棚に置かれていて、トウヤの持っていた物がいったい何処から来た物なのかわかっていない


それからは少しばかり長く感じる沈黙が場を支配した

ブレスレットを開き手入れをしていく耳障りの良い軽い金属音と時計の針の音だけが空間に響く


ーーなんか、気まずいな


いつもであれば楽しくおしゃべりをしているはずなのだが

今日は互いに喋る事なく、ダーカー博士は作業に集中して手持ち無沙汰なトウヤがそれを眺めるという何とも言えない時間が続いていた


「トウヤ」


「っと、何ですか?」


流石にこのままだと気まずいと思い口を開こうとした最中、逆に声をかけられる


「あんたは大丈夫なのかい?」


「・・・何がですか」


彼女が何を言いたいのかトウヤは察しが付いていたが、敢えてわからないふりをする

そんなトウヤに作業の手を止めずに言い放つ


「わかってる癖に、ラーザ達の事だよ」


「そりゃ大丈夫・・・と言うにはキツイですよ」


親交が深く、先輩としても尊敬していた2人の死

それも良い知らせの後に起こったあの事件の事をトウヤも気にしていない訳がない


「でも、もうウジウジし続けるのは辞めました」


「ほう、そりゃどんな心境の変化だい?」


学園での事件の時と言い、ラスの時と言い深く悩み過ぎてしまう事が多かったトウヤの心境の変化に、ダーカー博士は嬉しくもあり疑問に思う

一体何が彼をそうさせたのか


「・・・俺、ヒーローなる前にラーザさんと約束してたんです。誰かにとってのヒーローになるって」


約束

そう言うには少しばかりズレてる気もしたし、助けられなかった命が増えていく中で、少しずつ焦りと共に消えかけていた言葉ではあった


「まだラーザさんとシスさんが死んだなんて信じたくないし、受け入れきれてないのは確かですけど・・・いつまでも情けない姿を見せる訳にも行かないですからね」


あの時言われた言葉は確かにトウヤの心に再び宿っていた


彼の言葉を聞いたダーカー博士は手を止めると顔を上げトウヤの顔を見る

まだまだ半人前だが、それでも成長していっているヒーローの顔を


「・・・強くなったね、トウヤ」


ニヤリと笑みを浮かべながら、彼の成長を祝福する

そんな彼女の言葉に気恥ずかしそうに笑いながらもトウヤは嬉しく思う


「ありがとうございます。でも、まだまだですよ」


「それがわかっているならそれで良いよ、はいよ出来たぞ」


点検が終わり手渡されたブレスレットを受け取る










賑わいを見せるベガドの街


そんな華やかの街の地下に血管の様に張り巡らされた下水道内を1人の男が臭気を気にする事なく走っていた


「早く・・・早く伝えねば・・・!」


常人のそれとは比べ物にならない身体強化魔法により強化された脚力で、通路を踏みしめるたびに靴音と共にバシャリと溜まった水を踏み締める


「このままでは・・・」


動かなくなった腕を煩わしく思いながら、血で肌に張り付く衣服の事など気にせず一心不乱に目的地に向けて走った


「スーラ様の守って来た街が・・・!」


幾重にも重なる靴音が下水道内に響く

家政夫のミタゾノ・・・アマプラで見れます

やっぱ最高っすわ

「家政婦は見た」のパロディの「家政婦のミタ」のさらにパロディの「家政夫のミタゾノ」


よく考えたらめっちゃ時代を先取りしてますよね、ある意味で

主人公が女装したTOKIOの松岡さんだし

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