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大陸間会談 3

登場人物

浅間灯夜:本作の主人公


セド・ヴァラド:トウヤの先輩ヒーローで大貴族ヴァラド家の元次期当主

ロイヤルフォースの艦内に到着したのだろう僅かな揺れを感じると、天井から下げられた吊り輪から手を離す


木箱の扉が開かれ目の前に飛び込んできたのは外で見た優美な外観とは反対にねずみ色の無骨な内装に駐機されたMRA達、その中を行き交う兵士達の姿だった


後ろを振り返れば未だ開かれたままの発着艦口からは見渡す限りの青空

まるでSFの世界に飛び込んだような光景にトウヤは思わず「おぉ・・・」と感嘆の声を漏らす


「お待ちしておりました。セド・ヴァラド、アサマ・トウヤ」


凛とした鈴のような声がかけられ、振り返ってみればそこにはこの場には似つかわしくない美しいドレスを着飾った可憐な少女の姿があった


その見覚えのある顔にトウヤは思わず胃が痛くなる感覚がする


「私はフィレス・Fフェル・フェイル、この国の第一王女です。覚えていらっしゃいますか、アサマさん」


「はい、王女様・・・その節は大変失礼致しました」


鎧の勇者誘拐事件での光景を思い出しながら緊張した面持ちで発されたトウヤの返答に悪戯げな笑みを浮かべコロコロと笑う


「フェイル王女、少し悪戯が過ぎるのでは・・・」


「フィレスです。お兄様」


王女の言葉を聞いた瞬間、ほんの僅かな硬直が生まれる

今、この方はセドのことを何と呼んだのか、瞬時に記憶を辿り思い返せすと首を一回転させるかのような勢いでセドへと顔を向ける


彼は少しばかり困ったような表情を浮かべていた


「フェイル王女、それは昔の・・・」


「フィレスです」


「いや、ですから・・・」


「フィレスです」


「フィレス王女・・・」


可憐な微笑みとは裏腹にやけに重みのある力の籠った言葉を放つ王女

そんな彼女に根負けしたのかセドは遂に折れてしまう


フィレス王女と呼ばれた彼女は先程よりも口角を上げた満面の笑みで「よろしい」と楽しげに呟く


「フェイル王女、残念ですがお時間もありますので・・・」


「あら、私としたことが・・・お二人とも話の続きは私の部屋で、どうぞこちらへ」


セドに対する王女の態度が意外だったのだろう、隣に控えていた侍女は戸惑いながらもあまり時間がないことを伝えると、王女は2人を用意された自分の部屋に案内するべく歩き出した


正直なところ、トウヤとしては今すぐにでも王女との関係性をセドに聞きたかったが、今はまだ聞かないでほしいと言わんばかりの雰囲気を出しながら「行くぞ」と顔を向けることなく言い放ったセドの後にトウヤも続く


案内された部屋は先ほどの発着口とは異なり、木製の板材を使った豪華な作りの部屋だった


ソファに腰掛けるとどこまでも沈んでいくのではないかと思える程の柔らかさと座り心地の良さから、自分が買う気の起きないほどの大変高価な物だと悟り、ソファの柔らかさと反比例するかのようにトウヤの身体は硬直していく


「それで、何で依頼書に詳細を書かなかったんだ?」


「まぁ・・・せっかく久しぶりの再会だというのに早速本題に入るおつもり? つれないこと」


「当たり前だ、あの様な依頼書で人を呼び寄せておいて今更何を言う」


ーーええぇぇぇ・・・


先程とは打って変わり、ソファに座りながら砕けた口調で話すセドとその事を気にする素振りも見せず応対する王女の姿にトウヤは思わず目を剥く


確かに旧知の仲なのかとは思ってはいたが、これ程気兼ねなく話せる間柄とは思ってもいなかった


「おおかた大怪人を全て倒された組織か魔国の動きを警戒して俺たちを呼んだのだろう」


国の第一王女がヒーローに直接護衛を依頼するとすれば、そういった理由だろうと当たりをつけて王女を一瞥するセドではあったが、対する王女の顔色は思わしくない


「確かにそれらの心配はあります・・・でも、今回は旧大陸の国家に対しての警護依頼です」


旧大陸の国家、その言葉にトウヤはどういう事なのかと疑問に思う

何故旧大陸の国家が狙うのか、昔に何かあったのかと思い歴史の本の内容を思い起こそうとするが、思い出される前にセドが前のめりになりながら聞き返した


「旧大陸の国家・・・、ザンディオン帝国でもアングランド共和国でも無く、大陸の国家か?」


「はい、旧大陸の国家です」


彼女の言葉を聞いた時、深くため息を吐きながらソファに座り直す


元々新大陸と旧大陸の仲はあまり良くない

宗教観の対立が主な要因ではあるが、その他には旧大陸こそが世界の中心という自負もあってか、女神の加護を受けて勇者召喚を行い技術格差が広がっていくのが面白くないのだ


そういった事情を知っているセドは、彼女の言った特定の国を指した名前では無く旧大陸の国家というあまりにも広義的過ぎる言葉から問題ごとに巻き込まれそうだと思いながらも、冷静に真偽を見極めようとする


「何か気になることでもあるのか?」


「数日前から旧大陸国家の軍に不審な動きがあったとの報告がありました。さらには昨日新大陸側の港から多数の軍船が出港し、それに合わせて空中艦艇まで出動したと」


軍船の出港と空中艦艇の出動

演習と考えるにはあまりにも不可解なタイミングでの動きにセドは眉間に皺を寄せる


一方で彼女の話にトウヤは気がつく、そういえばアークトゥルス討伐に行く前にも軍が動けない事態があった

ラントも軍が動かない事を不審がってはいたが、まさか今日という日のために動かなかったのかと思い納得する


「まだその真意はわかりませんが警戒はしておくべきでしょう。なので2人に護衛を依頼しました」


王女の言葉と共にロイヤルフォースが動き出したのだろう僅かな揺れを感じながら、2人はこの先に待ち受けるだろう苦難を思い描きながらも了承の意を伝えるべく頷いた

キラキラとギラギラって漫画知ってます?

少女漫画タッチの主人公が少年漫画タッチの学校に転校する話なんですけど、めっちゃくちゃ面白いんですよ


まず主人公は少女漫画チックな見た目ってか絵柄なんですけど、違和感凄いんですよ

少年漫画のお約束的な展開の中に少女漫画のお約束展開がうまい具合に溶け込んでて、そうはならへんやろって感じになるのがもう最高で


正直ギャグ漫画としてはマジで秀逸でした

混ぜ方が上手いんですよね

作者マジ天才なんよ・・・

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