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飛んで西国 10

今回で終わりと言いましたが・・・思った以上に書きすぎたので分割するんじゃ・・・

戦闘が終わり静かさを取り戻した廃城


その広場の中心でパチパチと炎が上がる

この場にいた3人は丁寧に積み重ねた焚き木と炎を眺めながらそれぞれ同じ思いを抱きながらも口にする事を躊躇っていた


彼女の遺体を連れて帰ることはできない

せめて彼女のお気に入りの場所に埋葬してやりたかったが、遺体の腐臭と漏れ出た魔力は森の中だと魔獣を誘き寄せる原因になる


それ故に連れて帰れない

彼らに出来ることはラントの遺体が乱雑に捨て置かれ朽ち果てながら魔獣達に貪られるのを防ぐ為に焼いて骨にしてやる事だった


徐々に燃え上がっていく彼女の姿を、せめて見届けようと彼らは火を囲んで座り込む


「ラントは良くやってくれた」


そこに城の中から出てきたアークトゥルスが右手にラッパの様な黄色い花びらを持つ花を手に持ち姿を現す

彼は炎の前まで来ると花を見つめながら、自分の死後も尽くしてくれた忠臣へと思いを馳せる


「私の死んだ後も、誇りを忘れずその命を使い止めてくれた。ありがとう、またあちらで酒でも酌み交わそう」


あの世での再会を約束し、手に持つ花をそっと炎へと投げ入れる

彼女への感謝と自身のように蘇り利用される事がない安らかな死を願いながら


炎は燃える。何処までも


「師匠・・・」


嘗ての想い出を揺らめかせながら燃え上がっていく


その時クレアは、誰にも悟られないようにと静かに泣いた








彼女の一部は遺骨はクレアの持っていた瓶に入れられポーチへと仕舞われた

土葬が主流である旧大陸では遺骨を持ち帰るというのは珍しいことではあったが、クレアの希望でせめて骨だけはラントの好きだった場所に還してやりたいという願いからだ

残りの骨は城の庭へと埋葬する事にした


激闘を超え気が付けば夜の帳が下りた城の庭で、3人と1人はラントの骨を埋めた場所の前で祈りを捧げる


「クレア、これから・・・どうするんだ?」


「えっ・・・? あ、そっか・・・私1人になったのか」


祈りを終え顔を向けて来たトウヤの言葉に、クレアは今しがた気が付いたように今の自分の状況を理解する


今までは師であるラントと共に冒険者をしていたが、これからは1人

その事実に気がつくと胸の内にポッカリと口を開いた喪失感の穴が存在感を発し始めた


「・・・どうしよう、どうすれば・・・良いんだろ」


あまりに急な事で頭が回らず他人事の様に繰り返してしまう


「どうしたらって・・・あぁいや、ごめん、そうだよなまだ考えられないよな・・・不躾過ぎた」


「いや、良いよ・・・、どうせ考えないといけない事だし」


痛々しい笑顔を向ける彼女に、トウヤは罪悪感と共に彼女のその後が心配になってくる


「その・・・良かったら新大陸に来ないか?」


「トウヤ、それは・・・」


あまりにも無茶過ぎる

フィリアはそう言いかけた口を閉じた

何かしてやりたい、そう思う気持ちは彼女も同じなのだ


だが、現実問題として連れて行こうとすれば返還の術式は術師が必要な為連れていく事ができず、船旅となれば金銭の都合上何ヶ月かは旧大陸に留まる必要がある

幾ら3大怪人を倒したとは言え、数ヶ月もベガドの街から離れることはできない


「・・・失礼、少し良いかな?」


そこでアークトゥルスが口を挟む


「クレア、もし君が良いのであれば私が召喚魔法を教えると言うのはどうだろうか?」


「え、それは・・・」


アークトゥルスからの提案にクレアは困惑する様子を見せ、彼もまた彼女の心情を悟る


「もちろん無理にとは言わない、君にとって私はラントの仇だ」


幾ら化け物を倒したとは言え、彼はラントの死の原因である

クレアとてそれを飲み込めた訳ではなく、アークトゥルスとしてもそれを理解していない訳ではない

だが、理解していても彼は口を挟んだ


「ラントは私にとって良き部下であり、良き友であった。そんな彼女と愛弟子である君に対しての私なりの贖罪をさせて欲しい」


「・・・少しだけ考える時間を下さい」


それだけ伝えると、彼女は1人城の中へと歩き出す


「クレア・・・」


歩き去っていく彼女の背中を、トウヤは心配げな様子で見送る


家族同然の師を失った心の傷はとてつもなく大きいだろう

ついて行くべきかと悩むトウヤの隣にフィリアが並び立つ


「考え時間、必要だと思う」


「・・・ですね」


フィリアの言う通り、今はまだ少しでも多くの時間が必要なのだろう、自身の心をそう納得させながら行き場のない感情を抑える様に拳を握り締めた


そんな彼らの様子を後ろから見ながら、アークトゥルスは何かを思い出した様な顔をすると徐に口を開く


「ところでトウヤ君・・・で良かったかな?」


「はい・・・どうしたんですか?」


名を呼ばれたトウヤはアークトゥルスへと振り返ると、彼は少し困った様な顔をしていた


「君は少し変わった魔力をしてるね」

そいや5月下旬からアマプラで仮面ライダーですよ仮面ライダー!!

ギーツ無いのが残念ですけど鎧武!!

鎧武!!復活・鎧武!!

寝不足になるぞぉ!!!

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