飛んで西国 6
6人の嘘つきな大学生って映画知ってます?
あれめっちゃオモロイですね!
書いた人も映画に落とし込んだ脚本家の人もマジ天才・・・
ミステリー何ですけど、マジで最後まで騙された・・・
「何事だ?」
廃城パラド、その城内で外からの戦闘音に気が付いた再転の教会の司祭は傍に立つ信者の1人問い掛けると、信者の1人が口を開く
「どうやらこの城にネズミが紛れ込んだようです。中には元宮廷魔術師のラントと新大陸のヒーローが襲撃に来た様なので、聖戦士に迎撃を命じております。その戦闘音かと」
「あぁなるほど・・・アークトゥルスの亡骸の奪還に来たと言う訳ですか、本当に帝国軍は動かないのですね」
「その様です。まさか異民族を統一して大帝国を築き上げた前王の亡骸よりも自分達の野心を優先するとは・・・何とも愚か」
クツクツとした卑しい笑い声が城内に響く
「ですが、私たちにとっては好機ですね。今のうちに召喚の儀を進めましょうか・・・
我らが神、その御使である原初の魔王召喚の儀を」
城壁内広場、嘗て様々な祝典が執り行われたここは今や何十発もの魔法が飛び交う戦場と化していた
「フィリアさん!」
『熱烈、一線! フレアシュート!!』
一回り大きさを変えたフレアシューターの引き金を引くと銃口から必殺の熱線が放射され、それと合わせる様にフィリアが2本の水流カッターをアークトゥルスへと撃ち放つ
新大陸の都市にある強固な家屋保護結界すら容易く引き裂く一撃
通常であればこれで勝負は決するが、アークトゥルスにはそれすら通じない
直撃する直前、まるで宣誓を行う騎士の様に両手で剣を握りながら張られた結界魔法によって2人の必殺の一撃は容易く防がれてしまう
「・・・そんな」
「嘘だろ!?」
攻撃が防がれるのを見て驚愕をあらわにして狼狽える
そんな2人に向けて、防御結界を解除したアークトゥルスが光の剣を振るうと細やかな光の針が幾つかの小爆発を伴い彼らに襲い掛かった
「ぐあぁぁぁ!!」
スーツの防御を貫通する痛みに悲鳴を上げながら2人は吹き飛ばされる
「トウヤさん、フィリアさん!!」
「クレアよそ見しないで! 呼び声に答えよ、マードグ!!」
ラントの召喚魔法に呼び出された10匹の狼型小型魔獣マードグの霊体達は、召喚されるや否やアークトゥルスへと駆け出しその牙を突き立てんとするが、先に振るわれた光の剣により切り払われ霧散していく
「そんな・・・」
「萌ゆる生命よ、我が呼び声に応え敵を縛れ、アルプラウネン!!」
呼び声に応える様に地面を突き破り何本もの蔦がアークトゥルスへと巻きつき彼の身体を縛り付けた
「クレア!!」
「はい! コオト・キマキツ・ケヤ・ノオホ!!」
ラントの言葉に合わせクレアが短杖を取り出し古式魔法を詠唱すると杖先から赤い蛇の様なうねりをもった炎が放出され、蔦により拘束されたアークトゥルスへと巻付き激しく炎上する
「やった!?」
激しく燃え上がるのをクレアは息を呑み見つめるが、未だ警戒しているラントが叫ぶ
「まだです。構えて!」
声を上げた瞬間、纏わり付いていた炎が弾け飛び僅かに髭が焼けたアークトゥルスの姿が現れた
「流石に無理か・・・!」
炎の直撃を受け悠然と待っている姿に、わかっていたとはいえ生半可な攻撃では対処しきれない事実が重くのし掛かる
一度戦場に出ればどの様な戦いであっても勝ち残って来た王相手にどう戦うか考え出した時、アークトゥルスが仕掛けて来た
「・・・! クレア!」
「・・・えっ」
咄嗟にクレアを押し除けたラントはすぐさま短刀を抜くと身体強化魔法で自身を強化し瞬間移動と見間違う程の速度を乗せた一撃を受け止める
周囲に衝撃が走り砂煙が舞いクレアもそれに巻き込まれて地面を転げ回った
「っう・・・師匠、無事なんですか師匠!!」
自身を押し退け光の剣の一撃を受けた師匠の安否を気にしてクレアは必死に叫ぶ
だが、返ってきたのは言葉ではなく焼けた肉の匂いと未だ人肌の温もりを宿した腕と血潮だった
「あ・・・あぁ・・・!!」
煙が晴れた先、そこには片腕を落とされ蹲るラントと剣を構えるアークトゥルスの姿がそこにあった
「クレ・・・ア・・・」
「師匠・・・そん・・・あ、あぁ師匠!!!」
ガツンと頭に響く衝撃と共に飛び込んできた視覚情報に、クレアは信じたく無いと示す様に顔を横に振るう
そんな彼女へとラントはただ一言だけ呟く
「逃げて・・・」
その一言を最後にアークトゥルスが剣を振るいラントの首を落とさんとした
『モードエボリューション! パ・パ・パ・パワード!!』
「させるかぁ!!」
撃ち込まれた魔力の矢をアークトゥルスは咄嗟に斬り払うと、クレアの後ろから突っ込んできたトウヤの体当たりをもろに喰らい僅かに後ろへと下がった
撒き散らされる魔結晶の中でフィーベルアローから魔力の刃を展開し、トウヤはアークトゥルスと斬り結ぶ
「師匠!!」
アークトゥルスの意識がトウヤへと逸れたのに気がつくとクレアはすぐさま斬り落とされた腕を押さえ蹲るラントへと走りよる
「クレア・・・」
「師匠待ってて下さい、今止血を!」
「私に任せて」
ポーチを探り止血薬を取り出そうとした時、ラントの怪我に気が付いたフィリアが駆け寄り水魔法による治癒の魔法を掛ける
見る見るうちに血は凝血し傷口を塞いでいき火傷跡も完治していく
「ありがとう・・・ございます。助かりました」
「うん、でも無理しないで」
まだ傷口は塞がったが無くなった血液や腕のあった時の感覚は戻るわけでは無い
だからこその言葉にラントもまた頷く
「わかっています。ただ・・・参りましたね、今は無理をせずにはいられない状況ですので・・・」
今なおトウヤとアークトゥルスの斬り合いは続いているが、魔結晶を纏ったとはいえラス以上の技量と魔力量を持つアークトゥルスの攻撃に根性だけでは対応しきれないでいた
「私もいく、2人は変わらず」
「はい、援護します」
「うん」
ラントの言葉に頷き返事をすると、彼女もまたアークトゥルスと戦うべく駆け出す
残されたラントとクレアは彼らの援護をすべく立ち上がる
「クレア、古式魔法で彼らの援護をお願いします」
「わかりました!」
「うん、良い返事です・・・、いつまでもその元気の良さを忘れないで下さいね」
「えっ・・・師匠?」
ラントの言葉に不信感を覚えたクレアは、ラントへと目を向けると彼女は何処か遠くを見る様な目でクレアへと目を向けていた
「私の教えられる事は全て教えました。後は実践あるのみです」
「師匠・・・? 何をするつもりなんですか」
嫌な予感に唇を震わせながらクレアは言葉を紡いでいく
信じたく無い、嫌だと、だがそんなクレアの様子にラントは悲し気な笑みを浮かべていた
本当はラントって男の予定だったんですよねぇ
元騎士の男予定、でも何かなぁって
そういうのうちの作品多すぎかなぁって思ってこっちにしたんですよね
一応元ネタは男なんですけどね
あんま元ネタとのリンク少ないですし