ベガドの危機!?魔王軍襲来! 4改
やばいな
休憩中にせこせこ書いてたけどこんな長い話書いてたのか
赤のランプが明滅し、激しいサイレン音が響き渡る
振動により本部は棚が倒れ書類が舞っている。
そんな中で机を支えにして、司令官は立ち上がる
本部をぐるりと見渡す
ミニチュアモデルの壁の辺りが赤く明滅している
物が倒れひっくり返る事はあれど、壁に穴が空いていたりといった被害はない
ーーー寸前まで魔力を供給し続けていたのが功を成したか
そう思うがそれで安心できるほど状況は楽観視できる物ではない
第一、第二結界は容易く突破され第三結界は発動機たる壁ごと損傷している
報告を聞けば、砲兵隊と歩兵隊は重軽傷者多数
熱戦が直撃した周辺の砲台は使用不能、MRAは1機蒸発、1機は直撃地点近くにいた為損傷により使用不能、予備を動かそうにも搭乗員が火傷を負い操作不能
熱戦砲のインターバル、不明
放射後というのに陽炎が舞い空気が歪んで見える
現在も直撃地点周辺の赤熱化しドロドロに溶けた城壁の中、多数の兵士が炭と焦げ焼き付いた肉の塊の中からまだ息のある者を探し城壁にこびりつく影の上を走る
あまりの惨状に悲痛な表情を浮かべる
敵戦力を決して軽視する事はしていなかった
だがあまりにも敵が強大過ぎた
そんな状況の中、本部内を駆け回っていた補佐官が司令官が起き上がったのを確認し駆け寄ってくる
「司令、ご無事ですか?」
僅かにオロオロと動揺しながら心配げな表情をする彼女に司令官はそっと大丈夫だ、問題ないと声を掛ける
補佐官はそれを聞き安堵の表情を浮かべると次の瞬間には表情を変え、真剣な眼差しを浮かべた
「司令、敵のインターバルがどの程度かわかりませんがエルフ偵察隊の報告だとまだ猶予はありそうです。」
「各地の被害は・・・甚大だな」
中央に浮かぶミニチュアモデルに顔を向けるとそう言った
城壁の一部の広範囲が赤く明滅している
「応援部隊はどうなっている」
「到着まで残り5分ほどです」
早いな、内心喜びの言葉をあげるが気持ちを切り替える
早かろうとも戦えねば意味がないのだから
「補佐官、ムロイの情報はどれくらい集まっている」
「まだ不確定要素もありますが、通常頭は黄緑色、身体は青緑ですが今回出現したムロイは頭から弱点の首の手前に掛けて鈍い黄色に、他は青緑色でした。また青緑色の身体の部分は僅かに焦げていることが分かっています」
「焦げている?」
補佐官の報告に驚きの声を上げる
「はい、おそらく自身の攻撃により自壊しているのかと」
その言葉に司令官は僅かに考え込む
当たり前の話だが、自身の攻撃で傷を負う生物など不完全にも程がある
しかし、今回はそれが功を成すのかも知れない
そこまで考え司令官は口を開く
「・・・わかった。これより大型種をムロイ変異型と呼称する。その情報を応援部隊に回してくれ」
「了解しました」
敬礼をすると補佐官が通信員へと駆け寄る
もはや都市の防衛能力ではあのムロイ変異型を止める術はない
故に祈る様に司令官は上を仰ぎ見るようにして、呟く
「頼んだぞ」
都市南東の上空
澄み切った青い空の元、大きく羽ばたく人影があった
それは背中に鷹の様な猛々しい翼を備え、身体には緑色の飛行服を身に纏ってはいるが、手や首元からは鳥の体毛の様な物が見え隠れしている
両手には四角い箱に短い銃身が2本横並びに出ている様な見た目の、マーガン工房製軽機関銃を装備している
顔には嘴がついており、鋭い目が何か凝視する様に目を細めている
「こちらスピアー1、みんな聞こえるか?」
『感度良好!』
『バッチリ聞こえます隊長』
顔に沿って横から嘴の近くに取り付けられた無線機で連絡を取ると隊員達の騒がしい声が聞こえてくる
「ベガドの様子が確認できた。都市から送られてきた情報通り、都市の城壁は破損、手前の森が黒煙を上げているが変異型はすでに前進を開始している。第7、これなら降下できそうだ、変異型もコチラに気が付いた様子は無い」
スピアー1の後方に彼が報告をあげた物があった
彼の様な有翼人種により構成された飛行隊の編隊の中に、1羽だけ大きな鳥、丸みを帯びた体躯の巨大な魔獣が木製の貨物室を掴み飛行していた
貨物室の中には白い細身のMRAが6台ほど背中を割り前傾姿勢で駐機している
彼の報告が響き渡る室内の中で1人の男が前へと歩み出て来る
スピーカーから報告が流れ終わると男は部隊へと顔を向けた
「聞いたな、現在ベガドは魔王軍と思わしき勢力と戦闘中だが、1匹だけ普段と様子の異なる奴がいる。まずはそいつの駆除から始める。俺がE型装備で先に降下しやつをしとめる。他はH型装備にて降下、残存する敵部隊とスピアー隊が追い詰めてくる第二陣の撃破だ、良いな!」
その男、隊長がそう聞くと応!と彼の前に待機する部隊員が猛々しい返事をする
「よし、搭乗!」
その言葉と共に各々が自身のMRAへと背中から滑り込むようにして乗り込んでいく
額に魔力を集中すると起動用の魔法陣が反応し起動状態へと移っていく
魔結晶供給機関へと火が灯ると各部へと魔力供給がなされ各部に備え付けられた術式が起動する
乗り込んだ背部の装甲が閉まると凡そ190cmはあろうかと言うMRA達がゆっくりと立ち上がっていく
彼らは貨物室の後方へと向かっていくと後方右側のスライドドアが開かれ冷たい風が流れ青い空が顕になった
隊長機が壁に掛けられた近接戦用のハルバードを手に取るとドアの付近まで近付く
降下長が待ての姿勢で手を出してまま下へと目を向けている
流れる白い雲、やがてその切れ目から目標の姿が確認出来ると貨物室を運搬していた魔獣の動きが止まり僅かに室内が揺れる
「よし、行け!!」
降下長のその声が合図だった
隊長は物おじすることなく飛び降りた
身体を真っ直ぐ伸ばしビューという風切り音と共に落ちていく、そして、腰の左右についた丸い魔道具が作動し
その姿は空へと溶けた
改めてみるとやっばい