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25-4

登場人物

浅間灯夜:本作の主人公


ラス(スーラ):家族大好き大怪人、ベガドの街で町長をやっている

公園の中心でラスは目を閉じてこれまでを振り返っていた


組織の怪人として牧場を作るために派遣され、街の為にと尽力しその裏で目的達成の為の準備に勤しんでいたあの日々


ひょんな事から助けた女性と仲良くなったあの日

隠れ蓑には丁度良いと思っていたが、喋る度に、出かける度に、あの笑顔を見る度に心が惹かれていくあの感覚は今でも変わらない


「あの時はまさか、ここまで君に惹かれるとは思ってもいなかったよヴェロ」


今は亡き妻となった女性のしたり顔が目に浮かぶが、その顔を思い出せるだけでもラスにとっては組織の方針に逆らいこの街を守ってきた価値があったと思う


そこまで考えると、ラスは目を開けて背後から迫る気配へと顔を向けた


「遅かったな、フレアレッド」


「ちょっと野暮用があって・・・遅れた」


自身に近づいて来る赤い仮面の戦士に声を掛けると、彼は苦悶に満ちた声を上げる


その事に僅かに訝しむように眉を顰めるが、周囲から感じる視線から合点が行った様子を浮かべた


「なるほどな、部下が失礼した」


「いや良いよ・・・愛されてるんだな、あんた」


トウヤの言葉にラスは不敵に笑う


「部下に恵まれていただけだ、戦えそうか?」


「魔力はまだある。行けるよ」


立ち止まった彼の言葉に、ラスはただ一言「そうか」とだけ返すと2人の間に僅かな沈黙の時が訪れる


お互い睨み合いピクリとも動かない、ともすればこのまま何事もなく解散するのでは無いか

そんな疑問すら浮かぶ空気の中、周囲に集まった怪人達は固唾を呑んで見守っていた


だが、そんな怪人達の期待すら虚しくその時は訪れる


最初はどちらが抜いたのだろうか、まるでほぼ同時に思われるほどのタイミングでトウヤは拳を、大怪人スーラはサーベルを抜く


火花が散り拳と片腕で振るわれたサーベルがぶつかり合い甲高い音が公園内に鳴り響き渡る


「変身しないのか?」


拳とサーベルをぶつけ合う中、力を緩める事なくトウヤが問いかけた


「妻との約束でな、怪人体になる気はない、そちらこそパワードにはならないのか?」


その言葉の直後、スーラはサーベルの峰をもう片方の手を添えて僅かに傾けると一気に押し上げトウヤの拳を上方向へと弾く


「このままだと負けるぞ?」


両手でサーベルを掴むと拳を弾かれ姿勢を崩されたトウヤのガラ空きの胸へと袈裟斬りを放つ


サーベルが切り裂くとスーツの表面から火花が迸り煙が上がる


「ガァッ!」


堪らず叫び声を上げて後ずさり隙を晒すトウヤではあったが、スーラは追撃を放つ事なく静観した


待っているのだ

ビヨロコとクーラを、イアを倒してみせたパワードにトウヤが変身するのを


一方でトウヤも悟る。確かにパワードにならねば勝てないと


そうとわかればすぐさま後ろへと飛びスーラから距離を離すと腕を振るい道具を呼び出すと腰の突起へとはめブレスレットを擦り合わせた


「変身!」


『モードエボリューション!パ・パ・パ・パワード!!』


纏った光を振り払いながら、パワードへと変身したトウヤはフィーベルアローを展開する


「魔力の矢か、面白い」


込められた魔力が矢の形へと形成され、スーラ目掛けて撃ち放たれると、彼は面白そうに笑い飛んで来た矢を切り払う


砕かれ魔力の粒となり空気中に消えていく様を見て、トウヤは驚きのあまり目を見開く


「・・・なら!」


単射がダメならば数でゴリ押す

そう言わんばかりに今度は両腕のフィーベルアローを使い魔力矢を連射した


スーラ目掛けて魔力の矢が雨霰の様に放たれる。だが・・・


「なにっ!?」


スーラが突然走り出したと思えば、常人では考えられないほどの速度で移動し放たれる魔力の矢を躱す

トウヤもまたその動きに合わせて矢を飛ばすが、不規則に動くスーラの前に矢はその軌跡を通り抜け、命中しそうな矢は全て先ほどと同じ様に切り払われた


「どうした? そんなものか?」


避ける為に移動を続けていたスーラは不意に制動をかけ飛来した魔力の矢の隙間を通り抜ける様に躱わすと、真っ直ぐトウヤ目掛けて突っ込んでくる


ーー来る。迎撃は無理だ!


それを見たトウヤはすぐさま矢を撃って迎撃しようとするが、人間体でありながらも人並外れた爆発的な加速で迫るスーラを前に矢での迎撃を諦めると、フィーベルアローから魔力の刃を形成し迎え討とうとする


しかし、スーラの方が一歩早かった


「グッ・・・!」


魔力の刃を振るう寸前にトウヤの懐へと瞬時に潜り込んだスーラは逆袈裟斬りで斬り裂く

またしても散る火花と煙に周囲で戦いを見ていた怪人達は「おぉ・・・!」と感嘆の声を漏らす


戦いの技術で劣り、身体強化の魔法もまた未だ人間体のままであるスーラに劣る

正しく八方塞がりと言った状況の中、トウヤの頭は冷静に打開案を考え続けた


ーーどうすれば良い、どうすれば勝てる


斬りつけられて蹌踉めく中で、続けられるスーラからの猛攻を度々その身に受けながらも何とか防ごうと刃を振るい受け止める


こうなったらせめて魔力出力を上げるしかない

そう考えたトウヤは攻撃を防ぎながらも感情をさらに昂らせようとする


ーーなんだ?


攻防の最中、スーラはトウヤの魔力の高まりに気付く

怪人であれば変身の過程で魔力が高まることはあるが無改造の人間であれば普通は無い


ーーならば、魔人化か・・・面白い!


その正体にある程度気がつくとスーラは笑みを浮かべると共に攻勢をさらに強めた


「グッ!?」


さらに勢いの強まった攻撃に対処が追い付かない


「グゥッ・・・おおぉ!」


負けるわけにはいかないとトウヤもまた自身の限界を越えようと対応の手をさらに強めていく


スーツは既に受け損ねた斬撃により、傷だらけで表面に展開された結界魔法も既にギリギリ展開できていると言った状態であったが、そんな状況でも彼は諦めない

ヒーローは諦めないのだ


昂った感情が最高潮を迎え膨大な魔力が彼の身から溢れ出ると共にスーツを魔結晶が覆う


「ぬぅっ・・・」


スーツの傷を隠し全身を覆う様に形造られた魔結晶を前に、スーラは思わず驚嘆の声を漏らす


しかし、一歩遅かった


斬撃を力一杯振り払ったトウヤではあったが、それを最後にこれまでに受けた傷から膝を突いてしまう


「これで終わりか? アサマトウヤ」


ビヨロコ、クーラ、イア、名だたる大怪人を倒し魔人化までしてみせたヒーローの膝を突く姿に、スーラは思わず落胆の声を上げる


「いや、存外ここがお前の限界だったのかも知れんな・・・」


怪人化すらしていない自分に倒されるという事実に、期待し過ぎだったか、と残念に思いながらもスーラはゆっくりとサーベルを掲げる


「さらばだ、ヒーロー」


もう膝を突きろくに戦えそうにないこの男に用はないと言わんばかりにサーベルを振り下ろした


それ故に気が付かない


「ガアアアア!!」


まだこの男の目には戦う意志が宿っている事に、ヒーローという這いつくばってでも諦めないという事を忘れていたのだ


サーベルが振り下ろされると同時に、トウヤが手を伸ばす

苦し紛れの攻撃かと一瞬思ったが、すぐにそれが間違いだと気が付く


彼の狙いは自身のサーベル

振り下ろされてサーベルを両手で挟み込む様に掴んだのだ


「なんだとっ・・・!?」


サーベルを白羽どりされた事実に驚いたのも束の間、トウヤは最後の力を振り絞ると掴み取ったサーベルを強く握りしめ力一杯にへし折った


甲高い音が公園中に響き渡ると共に、へし折ったサーベルの切先をスーラの腹へと突き立てる

ゲヒャンスーって韓国の方なのかな?のポピープレイタイムの二次創作アニメーションマジで好き

元がポピープレイタイムなので結構残酷描写ありまくりですけど、あれ脳焼かれました


・・・いつも脳焼かれてんな俺

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