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25-1

そう言えば前話での補遺みたいなの言ってなかったですね

大陸同盟軍の大隊が壊滅した理由ってか、前進が止まった大きな理由はウツコウの2人が魔王軍に情報送ってたからです


登場人物

浅間灯夜:主人公


ラス:3大怪人と呼ばれる強力な怪人であり、ベオテの街を含む一帯の怪人を統率している

ライブ事件から翌日

本来なら今日は当番であったが、セドが何故か代わりを申し出てくれたので暇になったトウヤは、何をするでもなく公園のベンチで昨日のやりとりを思い出しぼんやりとしていた


ーーリゴンもこんな気持ちだったのかな


慕っていた座長に裏切られた嘗てのピエロ型怪人との戦いに共に身を投じたサーカス団のゴブリンの事の気持ちを、今になって強く実感しため息を吐く


そんな彼に誰かが近付いてくる気配を感じ顔を向ける


「なっ・・・!?」


驚きの表情を浮かべるトウヤだが、男は構う事なくトウヤの座るベンチに腰掛けると顔を向ける事なく問うてくる


「さて、腹は括れたか?」


「何であんたがここに・・・!?」


彼の隣に腰掛けた男、ラスの問いにトウヤは答える事なく声を荒げるが、そんな声を投げかけられても涼しい顔で受け流す


「ここは私の街だ、どこにいようとも私の勝手だろう」


「そうだけど、あんたは・・・! あんたは・・・」


立ち上がり非難の声を上げようとするが、ここは多くの人が行き交う公園の中であり周りに声が響くと考え徐々に言葉は尻すぼみになっていく


行き場のない憤りを堪えきれず、荒々しくベンチに座る。そんなトウヤを見てまだ彼が悩んでいるとラスは察した


「まだ迷っているのか」


「うるせぇ・・・迷って悪いか」


ラスの言葉に不貞腐れた様に言葉を返すトウヤ、そんな彼に思わずため息を漏らす


「何をそんなに迷っている。たかだか数回言葉を交わしただけの関係だろう」


「・・・たかが数回だろうと、俺はあんたの言葉のおかげで怪人達と戦う道を選んだんだ、あんたの何気ない行動に助けられたんだよ」


絞り出したかの様な声で発された言葉に、ラスは何故トウヤがここまで悩むのか合点がいくと同時に笑ってしまう


「なるほど情に厚い訳か」


「悪いかよ」


一頻り笑うと、ラスはトウヤへとこの日初めて顔を向けた


「悪くない、寧ろ良い・・・だがな、私を倒すか倒さないかの決断とするとなれば悪い」


「どう言う事だよ、それ」


トウヤもまた、ラスから発された言葉に疑問を抱くと彼へと顔を向けた

ラスはそんなトウヤを真っ直ぐな眼差しで見つめる


「もしフィリアとセドであれば、私が3大怪人とわかれば少しの混乱はあれど今頃私に斬り掛かっている事だろう、そうでなくとも戦闘状態には入っている。何故だかわかるか?」


「そりゃアンタが大怪人だからだろう、ヒーローとして倒さなきゃいけないから・・・」


「違う」


そんな質問にトウヤは投げやりに答えるが、遮る様にラスは否定した


「大怪人だからではない、理解しているからだ、セドもフィリアも」


「理解・・・?」


「そうだ、所詮ヒーローと私達スーラ一派は共に正義を語るただの暴力装置でしか無い、唯一の違いは己が正義の保証をルールがしているかしていないかだ」


彼の言葉をトウヤは言葉を発する事なく聞きいる。ラスはその様子をみて見て言葉を続けた


「決められたルールの中で動く装置はルールという正義の保証がある限り、正義の味方であり続けられるが、正義という名の曖昧な価値観の中で動く以上は悪でしか無い」


己の価値観だけで動く義賊も所詮ただの盗人や殺人犯であり、集団を形成するルールを違える以上は悪と断じられても仕方が無い


それは歯止めの効かない欲望を抑えきれない証拠でもあるのだから


「だからこそ悪は裁かれるべきなのだと、彼らは理解しているから私と戦うのだ」


悪でもって正義を成す、だが悪に変わりなし

ならばこそ正義の味方がする事に変わりはないのだ


それ故にラスは再度問い掛ける


「もう一度聞こう、お前は私を倒すのか?」


彼の問いと共に向けられている眼差しから逃げる様にトウヤは思わず顔を伏せる


どうしようか、どうするべきか

これまでも今も悩んで頭がいっぱいになりながらも、歪めた顔でラスへと顔を向けた


「そんな事言われたら・・・倒すしかないだろう!」


今すぐにでも立ち去りたいと考えてしまう程の胸に抱く蟠りを抱きながらラスに向かって荒々しく言い放つ


「アンタは俺が倒す、俺が・・・ぶちのめす!」


「・・・ならば今日の夜、この広場で待っているから来ると良い、楽しみにしているぞ」


トウヤの啖呵を受け止めそれだけ伝えると、ラス、大怪人スーラは立ち上がりその場を後にしようする


「待てよ・・・」


だが、そこでトウヤが呼び止めた


「最後にひとつ聞かせてくれ、何でアンタは・・・この街をそんなに護ろうとするんだ? 街だけじゃない、人も・・・なんでアンタが・・・」


自身の中にある疑問をラスへとぶつける

何故そこまで街を守るのか


その疑問にラスは振り向く事なく答えた


「昔な、妻に言われたのだ・・・、街のため人のために私の力を使って欲しいと、どこまでもいつまでも優しい人だったよ」


その言葉を聞きトウヤは絶句する


「なら・・・、アンタはずっと奥さんの為に・・・?」


トウヤが問い掛けると、ラスはそこで漸く振り返ると言った


「それだけ素晴らしい女性だったんだよ、彼女は」


満面の笑みを浮かべながら堂々と言うと、彼は立ち去っていく


そこにあったのは大怪人スーラでも、ラスでもない

今は亡き妻との約束を守り続ける1人の漢の背中をトウヤは見た

あとがきになんか書きたいなって思ってたんですけど、忘れました

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