ベガドの危機!?魔王軍襲来! 2改
この話マジで長いな
長過ぎてマジでやばい
やり過ぎた
ベガドの街の中心には巨大な城が存在している
そこは町役場であり、街の運営に携わる自治体の本部となっている
そんな城の一角、とある会議室ではこの街の責任者達が一堂に介し、長方形の大型テーブルを囲んでいた
「オータムから報告が上がった大型種の巣についてだが、どうやら近隣住民の報告通り異様なまでに数が減っていた様だな」
老練の冒険者ギルド長がそう呟き読んでいた報告書を机に置く
ふむと唸り報告を聞いていた人物の1人、ベガド防衛隊の司令官が口を開く
「神父、そういう事がありえないことは重々承知しているがあえて聞きたい、大型種の集団が巣を離れて別の地に行く事はあり得るのか?」
問いかけられた神父と呼ばれた長耳、眼鏡をかけたエルフ族の男は首を横に振る
「今回魔法生物学のの専門家として呼ばれた身としてお答えしますが、条件が揃えばあり得ますが、今回ではその条件に当てはまらないため本来であればあり得ない事です」
そう神父は言い切り、説明を続ける
「まず大型種の主な主食は中型種の魔獣です。これが枯渇すれば新たな新天地へと移動する事がありますが、まだ中型種は巣の周辺に多く生息しており、今回調査を行った巣はムロイのものです。ムロイは植物型の魔獣であり、戦闘時を除き食事をそう多く必要としていません。また環境の変化も確認されていませんので考えられるのは現状では一つしかありません」
「なんらかの人為的な介入か」
「そうです」
人為的な介入、その言葉が意味する事実を理解してかその場がざわめく
「では、まさかとは思いますがこんな南方の地まで魔王軍の魔の手が迫っていると?」
「なんという事だ、急ぎ関係各所に連絡を」
混乱する会議の場、不確定な情報ではあるがあの魔王軍であればあり得ない話ではないという考えから各々が会議を放棄し対策を練ろうとする
「みな、落ち着け」
静かに、だが確実に耳に入り頭の中で反芻される叱咤の声が、会議室内の喧騒の波をピタリと止めた
別々の方向へと顔を向けていた一同が声の主へと顔を向ける
「不確定な情報で我々が怯え混乱していてどうするのだ」
そこには泰然として厳かな態度のオールバックの初老の男性が、目前に置かれている資料へと目を向けペラペラと捲っていた
男はこの街の最高責任者である町長である
その名をラスという
彼は捲る手を止め、神父とギルド長へと目を向けると再度口を開く
「ギルド長、神父、王国政府へ今回の事案と見解を纏め報告する。資料の作成を頼みたい」
「ハッ!承知いたしました!」
「畏まりました。謹んでお受けいたします」
その言葉を聞き両名は畏まりながらも先ほどの動揺が嘘の様に覇気のある声で返事をする
ついで彼は司令官へと顔を向けた
「司令官、今から間に合うかわからないが防衛体制の見直しと作戦計画の立案を・・・」
その発言を遮る様に甲高い音が鳴り響く、音の発信元は司令官の持つ通信結晶であった
司令官はラスへと目配せをすると、ラスが頷いたので通信結晶に出る
「何事か」
『先ほどレーダー観測員より、街の南東1km圏内に高魔力反応と他多数の反応が接近中との報告あり!現在エルフ第三偵察隊が精霊魔法による目視確認を実行中です!』
「なんだと・・・!?今すぐ司令部へ向かう!防衛隊は緊急配備、警報を鳴らせ!シェルター解放と司令部権限により冒険者も召集、入りきらない民間人の避難場所への誘導と保護を急がせろ・・・!それと王国政府への応援要請もしておけ!」
その報告を聞き司令官は声を荒げる
そして、ラスは司令官の通信内容で全てを悟り間に合わなかったかと独りごちたのだ
ーーーーーー
城の一角にはこの街の防衛を担う防衛隊本部が存在していた
防衛隊とは、文字通り各街に存在する街の防衛を担う組織であり、テロ発生時のヒーローの出動要請や魔獣災害発生時の司令部として機能している
防衛隊本部には投影魔法により投影された街その周辺のミニチュアモデルを写し出し薄暗い室内を照らしていた
現在そこはこれまでに無い程の嵐の如き喧騒に包まれている
「司令官到着!」
その一声と共に慌ただしい状況の中でも全員が立ち上がり司令官へと敬礼を行う
だがそれも一瞬であり、司令官が返礼を行うとすぐ様喧騒が生まれる
席へと座ると補佐官へ現在の状況を尋ねた
「防衛結界は1から3までの全てを展開済み、各防衛隊の配備も完了しております。街の方は緊急警報を発令し、冒険者ギルドへも要請を行い民間人の避難誘導を開始しています。ヒーローも1人帰還していたので城壁外にいる冒険者と共に商人の避難誘導を依頼しています」
「高魔力反応の正体は分かったか?」
「こちらを」
「ありがとう」
手に持つ報告書を司令官へと手渡し報告を続ける
「偵察隊の報告によれば高魔力反応の正体は消息がわからなくなっていたムロイの内一体と判明、その他はスライムローパーと丙式ゴーレムの部隊で総数およそ250体、他遠方よりさらに別の魔獣30体ほどが接近中です。こちらを」
丙式ゴーレムとスライムローパー、丙式ゴーレムは魔王軍がかつて主力としていた岩人形であり、スライムローパーは全高180cmはある現在も主力として用いられるスライムの亜種である。スライムローパーの特徴は人工的に作られた魔結晶と人工的に成形された丸太のように太い6本の触手が特徴であり、弾性に優れた皮を持つ
ペラリペラリと報告を聞きながら報告書に目を通していく
旧式の魔法兵器が混じっているとはいえ、運営実績がある国はひとつしかない、部隊編成を見てもこれは間違いなく魔王軍であると司令官は確信した
「応援部隊はどうか?」
「現在第6基地にて準備中、応援には第66有翼人種飛行隊と第7空挺団が来る模様です」
3枚の防御結界と壁上の砲兵隊、歩兵隊、旧式ではあるが3機のMRA
250匹程度の軍勢ではあるが、大型種がいる以上は油断は出来ない
だが、王国軍の応援部隊、第7空挺団と第66有翼人種飛行隊という精鋭部隊が応援に来てくれると聞き、司令官は胸を撫で下ろす
「ボギーが射程に入るまで凡そ5分!」
「各部隊へ通達、凡そ5分でボギーが砲兵の射程に入る。攻撃準備後命令あるまで待機」
「こちらHQより各歩兵隊へ、ボギーが砲兵隊の射程に入るまで凡そ5分、攻撃命令があるまで攻撃準備後待機されたし、繰り返す・・・」
「MRA小隊へ通達、現在ボギーは5分後に砲兵隊射程に到達する模様、小隊各機は砲兵隊に合わせ砲撃を開始せよ」
「HQより砲兵隊、ボギーは5分後に射程に入るので入り次第砲撃を開始する。各員命令あるまで砲撃準備後待機されたし、繰り返す・・・」
レーダー観測員が報告を上げる
それと共に各隊のオペレーターが通信を行い司令官からの指示と状況を知らせる
そこまで準備した上で、補佐官は今回の襲撃について気持ち悪い違和感が浮上して来るのを感じた
「司令、今回の襲撃についてですが」
「あぁだいぶ奇妙だな」
「えぇ、前線から遠く離れたこの国になぜ攻撃を仕掛けるのか、そもそも攻撃するにしても首都ではなくここである意味がわかりません」
戦争が始まり早数ヶ月、大陸同盟軍と魔王軍の最前線は未だ国をいくつか挟んだ遠く離れた地、海路からの侵攻も考えられたがそれならば港町や海に近い都市を優先で狙うはずである
しかし、彼らはここに来た
その補佐官が抱いた違和感はそれであり、同時に司令官も同じ疑問を持っていた
司令官が息を吐きながら椅子の背もたれにもたれかかる。ギシリと椅子の背もたれが軋む音を上げる
「何か奴らにとって重要なことがあるのだろうな、もしかしたらこの都市の中に」
可能性の話ではある
だが、同時にその様な重要なものがあっただろうか?という疑問も湧く
どちらにせよ都市の中にそれがあるとすれば用事するに越したことはない
補佐官へと指示を伝えようと顔を向けると、彼女は余裕のある笑みを浮かべる
「聴音班の配置は完了しています。一応グラウンドバスターも設置させてますのでもしもの際は使用可能です」
補佐官からの報告を聞き、手際が良いな、やはり彼女を補佐官にして正解だったと司令官は笑う
だが、すぐに司令官はその笑みを消した
相手が魔王軍である以上何があるかわからない、故に気を引き締めて慎重に行動するのだ
「ボギー、射程範囲内に到達!大型種は未だ姿見えず!」
観測員からの報告が司令室に響く
多くの者が強張った表情で次に来るであろう司令の言葉を待っている
「MRA並びに砲兵隊は攻撃を開始せよ」
「HQから砲兵隊へ砲撃を開始せよ、繰り返す、砲撃を開始せよ」
「MRA全機へ砲撃開始、繰り返す砲撃開始」
その言葉を契機に盤面は動き出す
脅威の元その1で16000文字!
多過ぎない?