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止めろ!ベオテ村拠点化計画! 4

今回短めです


登場人物

浅間灯夜:本作の主人公


フィリア・リース:銀髪の少女でトウヤの先輩ヒーロー、何故かいつも無表情


マイン:学園での事件後に悩んでいたトウヤが、エオーネの勧めで行った教会の神父

「お、イアさんこんにちは!」


「こんにちは」


村の中へ入ったトウヤ達は、イアの案内の元集会所へと向かっていた


その道中で目に入ってくる光景、店で買い物する者、道の隅で世間話に興じる者、建物を修理する者だったりはトウヤにとっては特に違和感の無い日常の景色ではあったが、同じ光景を見たフィリアだけは顔を顰めている


ーーなにこれ・・・


八百屋の店主はもっと長い髭が特徴の厳ついドワーフの男だった。いつもベンチで本を読んでいたのは嫗であった。この村で建物を修理してくれるのは獣人の男と白人女性の夫婦だった


なのに、そのどれもが違う

まるで当人であるかの様に振る舞っているが、全く違う景色に思わずストレスからか眩暈がする


「フィリアさん・・・大丈夫ですか?」


「・・・うん、大丈夫」


そんな彼女の様子を見て、思わず心配になりトウヤは声を掛けるが彼女は気丈に振る舞い、目前にまで近付いた集会所へと目を向ける


「みなさん着きましたよ、ここが集会所です。この中に村の皆さんがいます」


そう言って扉に手を掛けるとゆっくりと扉を開いていくと、入ってすぐの受付に立つ少女の姿を見てフィリアが弾かれる様に駆け出す


「・・・! サラ!」


「あれ? お姉ちゃん?」


慌てた様子で駆け寄ってくる姉の様子に、サラは小首を傾げ不思議そうにする


「何でここにいるの?」


「村が・・・大変なことになったから・・・」


いつもの無表情さが僅かに崩れ、泣きそうになりながらもサラの頭を肩を、確かに自身の目の前にいるのだと確かめる様に触ると「くすぐったいよ」と彼女は笑う


「あぁ、私達は大丈夫だよ、少しの間集会所に居てくださいって言われてここに居るだけだから」


「だから安心して?」と言う笑う彼女の姿に、安心したからか、フィリアは全身の力が抜ける様な感覚が身体を覆うと、力強くサラを抱き締める


「本当に・・・無事だったのか・・・」


「嘘だと思いました?」


「あ、いや・・・」


思わず漏れ出た言葉に、悪戯げな表情でイアが言葉を返すとトウヤは気まず気に目を泳がせる


そんな彼の反応が面白かったのかクスクスと彼女は笑う


「私が組織の人間である以上信用できないのは当然です」


「あ・・・と・・・」


「でも、これで信用して頂けましたか?」


今まで出会って来た怪人はスーラ一派を除き皆一様に、言うなれば人とは違う精神構造を持っていた

他者を欺き、ただ自分の為に他者を傷付けるのを厭わない者達ばかり、だからこそ本当に傷付けなかったイアの事を信じても良いのでは無いかと思えて来る


「はい・・・すみません、不躾な態度をとってしまって」


「いえ、良いんです。疑われ警戒されるのは仕方のない事ですから」


まるで謝罪の言葉は聞き慣れている。そんな様子を浮かべる彼女は、扉へと向かい僅かに歩を進めると、トウヤ達へと向き直る


「行きましょう、お食事の用意をしていますので今日はゆっくりして行ってください、その時に私がなぜこの様な行動に出たのかもお話しします」


外から入る陽光を背中に受け遮り影を作りながら、イアは笑ってみせた


しかして、トウヤ達は彼女の後に続き集会所を後にする






ーーなるほどね


声を発する事なく、イアの言葉から集会所から出ていくトウヤと久々の再会に尾を引かれる様子を浮かべるフィリアには目もくれず、サラを見つめる


「マインさん、行きましょう」


未だ集会所の中にいるマインに気が付いたトウヤが、扉から顔を出して声をかけて来る


「あぁそうだね、トウヤくん・・・そう言えばシリちゃんの誕生日・・・いつだったかな?」


その言葉にトウヤはピクリと反応すると、亜然としながら口をポカリと開けた


「あ・・・明日だったと思います・・・」


何処か鎮痛な面持ちを浮かべながらも、決められた符号通りの言葉を返すとマインは微笑む


「ならみんなで祝わないとね、フィリアさんにも伝えてくれるかな?」


「わかり・・・ました・・・」


先程とは打って変わり、トウヤは肩を下ろしながら歩き去っていくイア達をマインと共に追いかけていく


そんな彼らをサラは貼り付けた様な笑みを浮かべながら、扉を閉める事なく手を振り見送るのだった









「・・・た・・・すけ・・・て」


声はまだ届かない

人の悪意は底を知らず、何処までも人を蝕む

それは他者でもあり、自分自身でもある

客観視出来ない考えはやがて自分にも帰って来る

正しく人を呪わば穴二つ


もう2度と飲み込めぬ言の葉だからこそ、永遠に自身の周りを漂い傷付けてくる


だからこそ、呪うのではなく祝おう

それはやがて自身の生きる活力に繋がるから


「だがそれは、貴様の様に自分勝手な考えを押し付けるのとは違う」


男は刀を抜き構える

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