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捜索!3大怪人! 3

ワイルズにハマり過ぎて筆が進まん・・・

やっべぇなこれ

「ダメだ、見つかんねぇ・・・」


貧民街ボランティア施設の食堂で、トウヤは椅子に座り項垂れていた


セド達との話し合いから数日、この日彼は朝から大怪人の手掛かりを求めて貧民街にやってきていたが、情報は何も得られていない


「そうは言ってもさ、見つからないものはしょうがないんじゃ無いの?」


「しょうがないって・・・そんなんで済ませられねぇよ・・・」


「でもないんだろ? 怪人の噂」


向かいで絵本を読むチリが呆れ顔で言ってくるが、トウヤとしてはしょうがないの一言で済ませたく無いのか、何とか言い返すがスッパリと言われてしまい何も言い返せなくなってしまう


「それならアプローチを変えてみたら如何ですか?」


隣で分厚い本を読むシリがそう声を上げる


「アプローチ・・・?」


「はい、噂を探すんじゃなくて怪しいところを何点か絞って張り込みしてみるとか」


「張り込みか・・・良いな、それ!」


悩んでいる中で投げられた提案にトウヤはすぐさま食い付くと、立ち上がり礼を言う


「ありがとうシリ! その提案めっちゃ良いよ!」


「ありがとうございます。でも絞り込み場所とか慎重に選ばないと時間を浪費するだけになりますけど・・・そこは大丈夫なんですか?」


その指摘に「あっ・・・そっか」と尻すぼみになりながらも気が付くと静かに座るとまた頭を抱え始める


「場所とか如何しよう・・・えっ? これ今から考えるの? 時間あるか・・・いや.やるしか無いか・・・」


「なぁ、何でそんな深刻そうな顔してるんだよ、怪人の情報集めてるだけじゃ無いのか?」


尚も悩み続けるトウヤにチリが訝しげな表情で問いかけてくる


それに対してトウヤは「あぁそれは・・・」と咄嗟に口を開きかけたが、何かを言いかけ止めた


ーーこれ安易に言って良い情報じゃ無いよなぁ・・・


何らかの組織に属している上で、述べて良い情報と悪い情報はあるが果たしてこの問題は今言って良い物なのだろうか?


彼がこの街に来てから立て続けに事件が起こっている現状、街の人々は事件に対して以前よりも敏感になっている


その上で誰が聞き耳を立てているかわからず、現状を知る人間を安易に増やして話が漏れ出て混乱に繋がる可能性の情報を流して良いかどうか、ヒーローとしては成長したが未だ社会人としては新人のトウヤは悩む


「アサマちゃん! アサマちゃん!!」


「あっはい! どうしたんですか?」


「あんた何やったの!?」


「んん・・・?」


そんな悩むトウヤに施設のおばちゃんから声が掛けられた


慌てた様子の彼女に何事かと思い返事をすれば、発された言葉に目を丸くする


「ラス町長が施設の前に来てあんたを呼んでるよ!?」


「え? ラスさんが?」


「わかんないわよ、取り敢えず応接室で待ってるらしいから早く行きなさい!」


「わかりました。ごめんチリ、シリ、ちょっと行ってくるよ」


彼女達にそう言い、トウヤはラスが待っている応接室に向かう事にした


応接室の前に辿り着くと、扉を3度叩きながらも「何でこんな所に町長が?」と疑問に思っていると、扉越しに返事が聞こえたので扉を開ける


「失礼します」


「うむ、よく来てくれたなトウヤ、席に着きたまえ」


「はい! 失礼します!」


促されるまま席につけばラスはにこやかに笑い話しかけてきた


内容はたわいも無い所謂アイスブレイクとしての世間話から始まり、本題へと入っていく


「さて、私がここに来た理由についてだが・・・怪人捜索の件について進捗を聞きたくてな」


「えっ・・・」


今1番聞かれたく無い話を振られ、思わずトウヤの顔がサッと青くなる

だが、そんな色の変わった彼の顔を見てラスは笑う


「そう緊張するな、あの組織が相手だ、数日で成果が出るなら情報部も苦労はしない」


「はぁ・・・」


ならば何故自分達に依頼をしたのかと、心の中で思うが口には出さない


「君はスーラについてどう思う?」


「スーラについて・・・ですか?」


「そうだ、3大怪人は現状判明しているだけでもイアとスーラの2体だ、その中でも行動がはっきりしているのはスーラであり、民衆の中には奴のことを義賊と呼び讃える声も少なく無い」


悪徳貴族や役人、犯罪者の私刑を行うスーラ一派(いっぱ)というのは市民の中でも義賊として名を馳せている


「だからな、君の率直な感想を聞きたいんだ、君は彼を処すべきと考えているのかどうか」


その問い掛けはラス自身が迷っているからというよりも、トウヤの意志を確認する為に行われた様に感じられた


トウヤは僅かに返答に迷った後に自身の考えを述べる


「倒すべき相手だと考えて・・・います」


「ほう・・・それは何故だ? 法律で裁けぬ悪を裁くのであれば、それは正義では無いか?」


「確かに良い行いではあるでしょう、でもそれは正義であって規範ではありません」


そう彼が断言すると、ラスの眉がピクリと動く


「結局のところ私刑はただの暴力、規範から外れた行為であり無秩序の始まりでもあると考えています。」


「だが、正義であるなら良いのでは無いか?」


「確かに正義ではあります。でも、行き過ぎた正義は悪と同義です」


彼はかつて観た特撮を思い出す。正義の心から生まれた怪人が、悪と断じた人間を暴力で持って制圧し最後は完全な悪へと成り果てた姿を


「だからこそ、止めなきゃ行けないんです。誰かを想うからこそ行き過ぎた正義も、無秩序を生み出す私刑も、それは悲しみを止める為に別の悲しみを生んでしまうから・・・」


最初に戦った怪人は無関係な人々が血を流し、地下で戦った女は最愛の娘を失った


悲しみを止める為に悲しみを生んでは行けない、だからこそ止めるのだ


そんな想いをラスに話せば、彼はただ静かにトウヤの言葉を聞き眉を顰める


「ならば法で捌けぬ悪は野放しにしたままか?」


「え?」


返された言葉にトウヤは思わず耳を疑うが、ラスは気にせず言葉を続ける


「法で捌けず伸ばしになっている悪は存在する。ならば君はその様な奴らをどの様に処罰する?」


「・・・俺は」


真っ直ぐに視線を向けて送られた言葉に、トウヤは迷いを見せる


「すまないな、少し意地の悪い質問をしてしまった。だが、その迷いは戦いでは命取りとなり得る」


「・・・すみません」


謝罪の言葉の後、覚悟の定まっていない事への叱咤を素直に受け止めると、何とも言えない空気が2人の間を巡る


そんな時、部屋の扉が叩かれた

登場人物

浅間灯夜:本作の主人公、3ヶ月ほど前に社会人になったばかりの新米


チリ:貧民街の子供達を纏める姉気分の少女、ボランティア施設を手伝いながらも最近絵本を読める様になってきた


シリ:貧民街の子供達を纏める姉気分その2の少女、ボランティア施設を手伝いながらも知識欲を満たすかの様にトウヤから貰った文学本を読み漁っている。


ラス:この街の町長であり、街の人達からは絶大な人気を誇る存在、日頃から議会にあれこれ言われながらも奮闘している

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