The lee of the föhn wind 7
すみません、モンハンワイルズクソおもろいので投稿遅れました・・・
今作ユラユラ出るのかな・・・
登場人物
セド・ヴァラド:ヴァラド家の長男でトウヤの先輩ヒーロー
トローネ:セドが貧民街で保護した魔人の子供
浅間灯夜:本作の主人公、今の所出番少なめ、君主人公だよね?
自分とフレアレッドーートウヤとの間に入り込んできたセドの顔を見て怪人は嗤う
「なんだ来たのか、てっきり来ないと思ってましたよ」
「残念だが、後輩にあれだけ好き勝手言われた手前来ないという選択肢は早々に消えたのでな」
「セドさん!」
「トウヤ、トローネを連れて安全な場所に行け」
そう言うと貴族調のスーツのボタンを外し上着を脱ぐと
『風魔法補助強化機構解除』
「ここは俺に任せろ」
白いインナースーツ姿になり、雰囲気が変わったセドは迷う事なく拳を構える
「行くぞ、トローネ!」
「でも・・・」
「大丈夫、今のセドさんは誰にも負けないさ」
その姿にトウヤはセドの本気を感じた
自分が行った後に何があったのかは知らないが、間違いなく今のセドならば負けることは無いと確信を持って言える
心配そうな表情を浮かべるトローネを抱えると、トウヤはセド達から距離を取っていく
「追わないのか?」
去っていくトウヤとトローネの気配を感じつつ、動くことのない怪人ジュクフウへと問いかけるが、ジュクフウは動かない
動けないのだ
ーーなんだ・・・こいつ、さっきと覇気が違う
目の前にいる男の先程とは全く異なる存在感にジュクフウは内心焦り圧倒されていた
機械音声の通りであれば風魔法は補助強化機能を失ったことで弱体化されている筈なのに、何故ここまで本能的な恐怖を抱いてしまうのか
「よくもまぁつらつらと・・・、さっきから聞いていればさっき私に痛い目に合わされたのに、その自信はどこから出てくるのやら」
だからこそ、仮初の笑みを貼り付け虚勢を張る
先程まで手も足も出なかった筈の男が拳を使えるからと急に強くなるわけがないと、舐められる訳には行かないと無理をしているからこそ
「そうか」
先程まで真剣な表情だったセドが、自分自身に向けて浮かべた笑みが何よりも効いてしまった
何を思うでもなく浮かべられた笑みは、怪人にとっては無理をしている自分に向けられた嘲笑に見えてしまう
「何・・・笑ってんだぁ!」
俺を笑った、舐めている。そう心の中で結論付ければ怪人の頭に血が昇り怒りのままに攻撃を繰り出す
片手を荒々しく振り指の鞭を何度も叩きつけるが、その度にいなされ、半身を逸らしながセドは狭い路地の中で巧みに躱わす
ーーまさかここまで感情的になるとはな
狭い路地の中で怪人の攻撃を躱しながらも、セドは考える
ある種の予感らしきものはあった。紳士風の物言いだが、何処か皮を被ったような喋り方に言葉使い、それ故に虚勢を張っているとわかった瞬間笑って見せれば佐渡の予想以上の暴れっぷりを怪人は見せた
「この! ちょこまかと!」
豪を煮やした怪人が感情のままに大きく腕を振り上げるが、そこに生じた隙をセドは見の逃さなかった
怪人の懐へと入ると、振り下ろされてくる腕を掴み怪人を引き寄せ姿勢を崩す
前のめりになった怪人は頭からセドへと倒れ掛かろうとした瞬間、打ち込み易い位置に来たと同時に顔へと右腕の肘鉄を喰らわせる
「あがぁっ!?」
攻撃を受けのけ反り痛みに喘ぐ怪人に続く一撃を与える為に右腕の拳に風を纏わせた
「風拳」
収束した風は拳の上を細やかな風の刃を形成しながら行き交う
そんな刃を纏った拳で怪人の腹を打ち抜く
「ぐふぅっ!」
身体の表面を抉る様な痛みと共に腹の中の空気が口から全て吹き出る重い一撃
拳を打ち付けた勢いのまま、右脚に風を纏わせると身体を捻る
「風竜牙」
風魔法により脚先に形作られた鋭い刃が、回転蹴りの勢いそのままに怪人のこめかみへと突き立てられそのまま壁に叩きつけた
「やはり、身体は覚えているものだな」
あの時の母の想いを忘れ過ごして来た日々の中でも叩き込まれた技の数々は、確かにセドの中に受け継がれていた
「なんでだよ・・・」
ヨロヨロと怪人が頭を抑えながら立ち上がると喚き出す
「おかしいだろ! なんで急に強くなってるんだよ! お前舐めて手を抜いてたのかよ!?」
確かにあの時は自分が勝っていた
何でことのない雑魚だった筈、だから負けるのはおかしい
すでに過去になった出来事に縋り、おかしいと喚き立てる
「手を抜いてた・・・確かにそうだ、自身の力を恐れ全力を出さないようにと常に力を抑えていた」
母や使用人達の死に恐れ、ただ死者を言い訳に逃げ続けて来た己を振り返り、セドは恥じた
「だが今は違う、全力でお前と戦おう」
だからこそ、今度こそ自分が死に追いやった命に報いる為に、ヒーローとしてより多くの人を救う為に前を向くのだ
それこそが償いになると信じて
「ふざけんな・・・ふざけんなぁ!! 俺は親衛怪人だ、お前みたいな奴なんかに」
怪人は後ろへ飛び距離を離すが、セドはそれを追う事なく指を弾く
『第一制限解除』
機械音声と共に解放された魔力は本来の魔力量の半分程でしかないが、それでも今の彼にはちょうど良かった
拳を構えると震わせながら風を纏わせていく、収束していく荒れ狂う風の奔流の中に嘗ての過ちを想起する
ーー母上、みんな・・・これが俺なりの贖罪です
やがて荒々しい風の流れと拳の震えは止まり一瞬の静寂が訪れ、次の瞬間にはセドの姿が一瞬消えた
「浸透・・・」
「何・・・!?」
技の副次効果で圧縮した空気による瞬間移動を行い怪人の懐へと姿を現したセドに怪人は驚きを露わにする
「破砕拳!」
打ち込まれた拳が怪人の腹に当たると拳に纏められた無数の細やかな風の刃が、怪人の細胞の隙間を切り裂きながら縫う様に移動し、怪人の背中から放出された
「・・・あ?」
何が起こったのか訳も分からず、怪人は身体のうちに走る無数の痛みと空高く打ち上げられた感覚に呆けた声を出すしか出来ず、行き場を失った魔力の暴走により爆散していく
罪への向き合わせ方ってどうすべきなのかむずいっすね
特に人をやったならその家族に対しての贖罪もあるし
魔装機神ってゲーム知ってます?サイバスターが主人公のやつ
あれのVita版小さい時にやったんですけど、盗賊が主人公が殺した仲間の家族の事やなんで殺した!みたいな事をいうシーンすっごい記憶に残ってるんですよねぇ
幾ら犯罪を犯した盗賊でも家族がいる。その家族を思えばこそ複雑な気持ちになるシーンでした。お前らが犯罪行為したからあかんのやろ、でも殺すまではせんでよかったよな、みたいな
それ思い出しちゃうとどうしようってなるんですけど
使用人達の家族は父親が代わりに誠心誠意謝罪して、子供だったセドにより強く罪の意識を持つようになった
だからこそ、彼が街を思う気持ちには元貴族としての考え以外にもこういう事情があるので、なら拳を解禁するからにはより一層強い敵とも戦っていく覚悟って感じになるんだろうなって感じでこうしてます