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The lee of the föhn wind 4

突っ込んできた怪人が左腕を振るい、指を鞭の様にしならせながら攻撃してくるが、セドはそれを冷静に見極め風魔法を使いながら鞭の動きを操り受け流す、ついで振り下ろされる右腕を右半身を翻し怪人の攻撃を避けた


腕を振り下ろし無防備な姿を晒す怪人に向けて、セドが反撃に転ずる


半身を翻したまま右腕へと練り上げた魔力を集中させると、怪人へと向き直る様に身体を動かし荒れ狂う旋風を宿した腕を振るう


振るわれた瞬間、魔法を発動し怪人の烏帽子の様な顔に幾つもの風の刃が到来し切り刻む


「うがぁぁぁぁ!!」


顔を切り刻まれて思わず顔を抑え込む怪人だが、セドは構う事なく攻撃を続けた


風の刃を飛ばし怪人の足の腱を切ろうとするが、微動だにしない姿に何かに気が付くと、すぐさま飛び下がり距離を取る


怪人は未だに顔を抑え叫び声を上げていた


「おい、貴様・・・ふざけているのか?」


セドの怒りを込めた言葉を聞き、怪人は叫び声をピタリと止める


「ふざけているのはお前だろう? セド・ヴァラド」


抑えていた手を離すと、傷ひとつない怪人の顔が顕になった


「私と戦っているというのに、貴様は本気を出す事なく戯れの様な魔法を使い攻撃してくるばかり」


「なんだと・・・!」


「今までは雑魚狩りで名声を積んできた様だが、そんなことがいつまでも続くと思うなよ!」


言い終わると同時に振るわれる左指の鞭に、セドは先ほどと同じ様に風魔法を使い受け流そうとする


「なんだと!?」


しかし、指は風に流される事なくセド目掛けて振るわれた

すぐさま左腕へと魔力を流し盾にするが、指は魔力の流れに触れると折り曲がりガッシリと彼を掴み上げたのだ


「私の指は人工筋肉の塊だぞ、そんなそよ風如きで払えるわけ無かろう!!」


怪人が腕を振るうと、捕まれたセドごと持ち上がり地面へと叩きつけた


「雑魚雑魚雑魚雑魚!! 魔法しか使えないお前なぞただの雑魚だ!」


何度も何度も、セドは地面へと叩きつけられる

振り解こうにも風魔法を強化に重点を置いた今のスーツの状態では身体に巻き付く怪人の指を振り解けない


「グゥッ、この・・・!」


風魔法を使い怪人の指を切り裂こうとするが、柔軟な身体の割に硬い皮膚を前に弾かれ霧散する


叩き付けられる内に切れたのか頭からは血が流れて始め、このままではマズイ、そう内心焦り始めた頃だった


「セイヤァー!!」


雄叫びと共に怪人は飛び蹴りを喰らい吹き飛び、それと同時に拘束が緩み解放される


「セドさん! 大丈夫ですか!?」


フレアジェットの勢いを使い怪人を蹴り飛ばした


「トウヤか・・・俺は大丈夫だ」


頭からは血を流し見るからにボロボロの状態で、セドはトウヤの腕を掴みなんとか立ちあがろうとする


「いや、どう見てもボロボロじゃないですか! 待ってて下さいここは俺が!」


セドの腕を引き剥がし地面に無理やり寝かせると、取り出した円盤状の道具を腰の突起に装着してブレスレットを擦り合わせた


「変身!」


『モードエボリューション!パ・パ・パ・パワード!!』


光包まれたトウヤが腕を振り払うと、ガラスが砕ける様な音共にフレアレッドパワードが姿を現す


「おぉっとこれはこれは、ビヨロコとクーラを倒したフレアレッドではないですか」


その姿を見た怪人は立ち上がると大袈裟に腕を広げねちっこい喋り方をするが、喋り方とは裏腹に潮時だと感じていた


「あなたと戦うのは少々間が悪い・・・ここは引くとしましょうかね」


「・・・! 待て!」


引き止めようとするトウヤだが、怪人は地面に向けて爆発魔法を放つ

煙が立ち込める中で、トウヤが腕を振るい煙を払うがすでに怪人の姿は無かった


周囲を見渡してみても気配を感じ無いことからも完全に引いたと判断してトウヤは変身を解く


「大丈夫でしたかセドさん」


「あぁ・・・俺は・・・無事だ・・・」


無事とは言いつつも、彼の心にはまたひとつ悔しさが込み上げていた

トウヤに助けてもらわなければトローネも自分も助かっていた無かったという事実、それが重くのし掛かるのだ


「あ、あの・・・セドさん?」


「あ、あの・・・」


暗い面持ちを浮かべるセドの様子に気が付いたのか、心配になりトウヤが再度声を掛けると不意に訛りの強い少女の声が彼らへとかけられる


トウヤが振り返ってみれば、そこには昨夜セドが連れていた少女、トローネがいた


「あれ、この子・・・トローネだっけ?」


「はい、そうです・・・あの、大丈夫ですか?」


彼女はトウヤの言葉に返事をすると、すぐさまセドへと駆け寄り心配そうに声を掛ける


「あぁすまない、心配させてしまったな」


「いえ大丈夫です・・・あの、私・・・狙われているんですか?」


恐怖からか声を震わせながらそう尋ねてくるトローネの姿にトウヤは、驚きのあまり二度三度と2人へと視線を行き交わす


「・・・そうだ、君が狙われている」


歯を食いしばり、少女を守ることの出来ない自分を恥じた

こんな年端もいかぬ少女に現実を突きつけることしか出来ない自分を悔やむ


それを聞いたトローネは頭の整理が追いつかないのか、手を強く握り俯く


「あ、大丈夫! 俺達が守るから心配するなって・・・そうですよねセドさん!」


なんとか元気付けようと慌ててトウヤがトローネに声を掛け、次いでセドへと声を掛けた


その言葉にセドは頭が打たれる様な感覚がする


ーー今の俺に守れるのか・・・?


『雑魚雑魚雑魚雑魚!! 魔法しか使えないお前なぞただの雑魚だ!』


怪人の言葉が脳裏に過ぎる

人を嘲笑する言葉であり、残酷な真実を突き付ける言葉でもあった


眉間に皺を寄せ深く考え込む仕草をした後に、セドは恐る恐るトウヤへと顔を向ける


「セドさん・・・? あの、どうかしたんですか?」


彼の様子がいつもと違い弱々しく、それでいて覇気のない事に気が付いたトウヤもまた、恐る恐ると言った様子で問い掛けると、彼が口を開く


「なぁトウヤ・・・その子を守ってやってくれないか・・・」

人をどう変えるか

これって作品によってやり方は千差万別ありますが、私なりの回答に結構苦労しました

まぁ出た答えとしては、答えは綾鷹でした並に使い古された物ですが

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