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魔獣大侵攻 5

登場人物


フィリア・リース:実は眠りは浅い無表情ヒーロー娘


セド:ショートスリーパー、朝のランニング中に連絡を受けて出撃し東区の難民街での避難誘導を担当した


ゼトア:ギルドの人事・総務を兼任している。トウヤの面接をした。意外と歴史オタなところがあり、特に原初の魔王と初代勇者についてはかなり詳しい


ラス:どうしようもない状況に、非常な決断をせざるを得ない自分に拳を握り締めて悔しさを浮かべている人その1


司令:防衛隊の司令官、どうしようもない状況に、非常な決断をせざるを得ない自分に拳を握り締めて悔しさを浮かべている人その2

実際のところセドやフィリアに何か策があった訳ではない

無責任な発言、そう捉えられても仕方が無いその場凌ぎの言葉ではあったが、それでも民衆を落ち着けるにはそれなりに効果のある言葉ではあった


これからどうすれば良いか、その事について考え出した時、彼らの通信術式にギルドからの緊急招集の連絡が入り、街の中央に聳え立つ城、街役場へと向かう事になる


緊急招集

それは主に街の存亡に関わる案件が発生した際に発布される物であり、ギルドを通す事なく役場にてその説明が行われる事が多い


フィリアが役場に到着した頃には、既に緊急招集により多くの冒険者達が集まっていた


「フィリア!」


そんな中でフィリアを呼ぶ声が聞こえ、顔を向けるとゼトアが走り寄ってくるのが見えた


「園長、作戦あるの?」


「それは今から伝えます。こっちに来てください」


僅かに緊張の籠った表情でそう告げるとフィリアを会議室へと案内した


会議室内には町の代表であるラスを始めとし、町議会の議員数名とギルド長や防衛隊司令などの各部署の代表達が真剣な表情を浮かべ座っており、厳かな雰囲気で包まれている


扉を3度叩かれる音が部屋に響くと、扉を開ける音共にゼトアとフィリアが姿を現した


「フィリアを連れて来ました。」


「ようこそ、フィリア・リース、席にかけてくれ」


席に座るように促されたフィリアは軽く会釈をすると、席に座る。それを確認した司令は話し始める


「お集まりいただき感謝します。それでは今回の大規模なジャイアントアントの襲来に伴う現状の共有と防衛プランを説明させていただきます」


現在の状況としては以下に記す

・フェイル王国で主要都市への大規模な魔獣による侵攻作戦が発生している


・即応可能な王国軍、大陸同盟軍は出払っており、暫くの間応援は来ない


・スライムやゴーレムなどの魔法兵器の存在は確認されていないが、その規模と統率から魔王軍による作戦と思われる


・第一結界に張りついている数は2000〜2500と想定されキングが存在していると思われる


・現在防衛隊と長銃の勇者が必死に削っているが、数が数だけに対応しきれていない


・第一結界は修復するよりも早い速度で削られており、このままではすぐに破壊されてしまう



事態は想像以上に酷かった


国内の魔獣災害は王国軍、または大陸同盟軍と各都市の防衛隊とが連携し対応していくのだが、大規模反攻作戦の為に多くの部隊を北に移動させていたという事もあり、国内の即応可能な部隊のみでは対応しきれない状態となっているのだ


隣国からの応援や準備を整えた救援部隊が送られると考えられているが、2000匹を超えるジャイアントアントの途切れる事のない攻撃にこの街の結界がどこまで耐えられるのかという状態であった


「そこで2つの作戦を提案致します。まず1つ目は損傷した第一結界を放棄し第二結界内部からの攻撃によりキングを討伐し、群れを四散させる作戦です」


司令の言葉に会議室内が俄かに騒がしくなり、司令の言葉に懐疑的な目を向ける


「キングの居場所は検知出来ているのかね、もし出来たとして攻撃手段は?」


町議会の議員の1人である黒人の男が尋ねた


彼らが懐疑的な目を向けた理由の大部分を占める点、それはキングの発見の難度からあるのだ


結界を覆うジャイアントアントの数は凡そ2000匹以上であり目視での確認どころか、魔力探知ですらもこの程の数がいるのでは重なり合う魔力の中から、たった1匹のキングを見つけるなど至難の業である


「現在目視、精霊魔法や魔力探知などあらゆる手段で捜索を行っておりますが、発見の目処は立っていません」


キング、その名の通りジャイアントアント達の王ではあるが、実はジャイアントアントとさして違いはない

女王蟻たるクイーンと交尾を行った個体が、それにより若干の魔力量の変化と頭部の外殻が発達し、群れの一部を率いる事が許可された個体に付けられる異名なのだ


それは即ち、率いる群れの数が増えれば増えるほど通常個体に紛れてしまい感知が難しくなるという事だ


「それでは意味がないではないか! あれ程の数だぞ、仮に1匹1匹を倒して確認したとしても埒があかない!」


議員達の怒号が会議室内に響き渡る


そんな中でセドは隣に座るフィリアへと顔を近づけると耳打ちした


「フィリア、ウォーターカッターだったか、あの技は何回使える?」


「消耗が激しい、数秒放射、使えて3回」


「そうか・・・」


彼女の新しく覚えた技でなんとか出来ればと考えたが、放射時間の短さと回数の少なさにあの数は対応出来ないという結論を出す


「それは我々も理解しております。ですのでもう一つ作戦を提案致します」


そう言いながら、司令はラスに向けて確認する様に目を向けると、彼の視線に応える様に頷きながら答える


「良い、話してくれ」


「はっ、ではもう一つの作戦についですが、第三結界に全てのエネルギーを集中、南門を解放し撃破していく作戦を提案致します」


司令の言葉に会議室内が再び騒がしくなる


「それはつまり、わざと魔獣の入れる隙間を作るということかね?」


町議会の議員のオークの男が、司令に困惑の表情を浮かべながら問いかけると、彼は頷く


「その通りです。敢えて門を開放しておく事で結界から敵を引き剥がし、それと同時に攻勢作戦に出ます」


「攻勢作戦・・・うぅむ・・・何か手はあるのかね」


1つ目の作戦の成功率の低さと現状からこのままではまずいと議員も理解していたのだろう、危険と判りながらもまずは話を聞く事にする


だが、司令官から伝えられたのはあまりにも看過できない内容だった


「はい・・・まず攻勢作戦の概要ですが、ヒーロー2名と勇者様を主体としキング討伐を行うという内容です。第一結界解除後決死隊による引き剥がしを敢行、残ったジャイアントアントを撃破しながらキングを探し駆除するという作戦です」


「危険過ぎる・・・! 誘引するジャイアントアントの数が少ない場合は? キングまでも誘引されたらどうするつもりだ!」


「その為に決死隊は3部隊を予定してます。防衛隊、冒険者から志願者を募る予定です。キングの目的はこの都市の住人ですので、逃げられる心配はないでしょう」


「もし失敗すれば・・・ぐっ、どちらにしてもか・・・」


結局のところ、彼らに選択肢は無かった

ただ決着が早いか遅いかだけの違いである







「お前ら今から・・・って、なんだその格好、もう決死隊になったつもりか?」


作戦を受け取り待機部屋に入ったMRA隊の隊長の目の前には、自身の部下達がすでに出撃準備を整え、手にワイングラスを持って隊長の帰りを待っていた


その様子から決死隊に全員志願するのだとわかってしまう


「当たり前でしょ、俺たちもう覚悟は決まってますよ」


「この街には思い入れがあるんだ、そう簡単にやれるかっての」


口々に笑いながら発される言葉に思わず笑みを浮かべた


「まさか、俺の部下がこんなに大馬鹿野郎ばかりだったとはな」


「隊長、どうぞ」


副隊長から手渡されたワイングラスを呆れを含む笑みに変えながら受け取る


「やれやれ、お見通しってわけか」


「当たり前でしょう、この2ヶ月間だけでも隊長なら行くとわかってましたから」


自分が決死隊に参加することまでお見通しとは、そんな事までわかっている部隊員に降参の意を示す様に眉と肩を動かすと、隊員達を見渡す

彼ら自身が言っていた様に皆覚悟を決めている様子だった。死にに行くのではなく、街を守る為にこの身を削る覚悟


「お前ら、絶対にこの街に生きて帰るぞ!」


手に持つワイングラスを口元へ運び、入っている水を煽ると、床へと叩き付ける


2度と戻る事が出来ないかもしれないという不安を込めてグラスを割り、不退転の決意を示したのだ


「第一MRA小隊、出現!」


「応!!」


そうして彼らは無数の魔獣の蠢く地獄へと、死地へと笑顔で向かう


そこにあるのは輝かしい未来でも、楽しい今でもない



ただ彼らは求め願うのだ

健やかなれ、我が愛する街よ、家族達よと

俺書いてたのってヒーロー物だよなぁ・・・とか思いながらも自分の癖に正直に書こうと決心した癖だらけの作品になっちゃった・・・わ・・・わぁ・・・


まぁ元からですけど


結界魔法の設定って説明してましたっけ?

空間に固定して展開するやり方と対象を決めてそれに沿う様にして展開するやり方の2通りがあって

トウヤ達のスーツや怪人、MRAは後者

防御結界は前者です


あと、設定で不備があったらこの話消すかもです・・・その時は申し訳ないです

幾ら考えてもこれしかねぇ!って思ってこの作戦にしたけど、他にあったら変わるかも

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