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魔獣大侵攻 4

迎撃に出たベガド防衛隊所属のMRA部隊は目の前から迫る魔獣の群れに思わず震え上がる


「何ですか、あの蟻の群れは・・・」


新型MRAに乗る新人のダークエルフの隊員は、砲撃をしながらも目の前から迫る巨大な蟻の群れに思わず身震いする


「ありゃジャイアントアントだよ、名前の通りでかいアリさ、ここいらじゃ見ないんだが・・・どうせ、魔王軍が連れて来たんだろうな」


「隊長、司令部から通信です。第一結界到達までにある程度は駆除しろですって」


ドワーフの僚機から発された言葉にエルフの男は疑問を浮かべる


「結界到達前に・・・?」


「あいつら要はでかい虫だろ? だから登るんだよ結界の上を」


隊長機の言葉にその光景を想像してしまい思わず青ざめながら身震いする


「気持ち悪・・・!?」


「そうだろ、でもそれだけじゃない、あいつらはそれで結界にへばり付いてじわじわとダメージを与えるんだよ、200って数だからどうせ後続がいるだろうからな、さっさと駆除しないと・・・」


「いいです! それ以上言わないでください、俺吐きそうだ」


通信機越しに聞こえてくる新人の悲鳴に隊員達は悪戯げな笑みを浮かべる


『司令部より、MRA隊各機へJAーージャイアントアントの略ーーが進路変更、繰り返す進路変更! 街から離れ北部へと逃走中』


「おいおい、退いちまったのか?」


突然の通信に隊員達は胸を撫で下ろす

グラウンドバスターの射出音も聞こえない事から地中からの侵攻も含め、魔獣の侵攻は止まったのだと考えられる


「これで戦闘も終了、案外呆気なかったですね」


ーー何かおかしい、あまりにもあっさりと引き過ぎている


だが、先のベガド攻防戦を生き残った隊長機は、今回のあまりの敵の撤退の早さに嫌な予感を覚えていた


「司令部、敵の動向に違和感がある。そちらで何か掴んでないか?」


『現在司令部でもその事について協議中ですが、現在第三歩兵隊を南区へと向かわせています』


どうやらそれは司令部も同じだったようだ

反対方向からの侵攻による両面作戦の危険性を考え歩兵隊の一部を南区への増援として向かわせていた


これで街の北を警戒しつつ南からの侵攻にはある程度の初期対応ができる。仮に東・西からの侵攻が起こった際も移動はスムーズに済む


願わくば最悪の想定が杞憂に終われば良いのだがと、隊長機も司令も考えていた


そして、それは最悪な形で実現する事になる


『こちら司令部! 南第一結界外側よりで振動音を検知、MRA中隊は至急増援に迎え』


結界の外側からの振動音

それはつまり1番外に展開された第一結界を目的とした地中侵攻作戦が実行されようとしているという事だろう


結界の外側を直接狙うのであれば、第一結界の内側に設置されたグラウンドバスターでの攻撃は射角の都合上無力化される


「各機全速で南区へ向かうぞ! ついて来い!」


そう隊長機が叫んだ瞬間、街の南側に闇が現れた






避難所へと逃れた多くの民衆は街の南側に現れたそれに恐怖を覚えた


街を守る強固な第一結界の外を這い回る様に蠢き上へと昇っていき月明かりを掻き消していく闇、それが魔獣の大群とわかった時、どうしようもない絶望感が彼らの心へと押し寄せる


誰かが強がる様に言った

「空軍が来てくれれば大丈夫だ」


誰かが絶望しながら言った

「もう無理だ」


現状を理解し、この後に起こる凄惨な結末を考えることができる者達は皆一様に絶望に覆い包まれてしまう


「シリ・・・これ・・・」


貧民街指定避難区であるボランティア施設に集まるチリもまた、顔を強張らせながら不安げに隣に立つシリへと声をかける


「大丈夫」


だが、同年代の子供よりも聡いシリは不安げな表情を浮かべる事なく笑っていた


それは諦めからでも、不安から来るものではない


「まだヒーローがいるもの」


いつだって彼女の心には、彼女達の心には彼らがいる。だからこそ笑っていられる


「そうだな、俺たちに任せろ」


「私達に任せて」


だからこそ別々の場所、しかし、示し合わせたかの様に、悠然と2人は不安に怯える民衆に向けて言葉を発するのだ


まだこの街にはヒーローがいる

例えそれが一時的に混乱を抑える為に発した言葉であっても、その事実は多くの人々の希望となり得た

なーんか最近文字数気にし過ぎて各話が短くしすぎな感じだな・・・

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