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 「ん?どうやら私はだいぶ遅れたようだ」

そう言って入ってきた女子生徒は、詫びれる様子もなく空いてる席に座った。それに続いて皆が各々の席に座ったところで生徒会長の琉生がやっと話を切り出した。


「これで全員だね。それじゃあ、話を…」

「ねぇ、かいちょー。遅れてきた人へのお咎めは無しー?」


そう言ったのは、あの賑やかな空間で爆睡していた西園寺仔釉(さいおんじ しゆ)だった。仔釉が言ったことは、生徒会役員の大半が思っていた事だった。


「それもそうだね。明星さん、君は遅れてきたんだ。何か言う事は?」

「すまない」


 明星と呼ばれた遅れてきた女子生徒は、顔色一つ変えずに謝罪を述べた。琉生は、次から気をつけてねと優しく対応したが、それが気に食わない仔釉は、立ち上がり明星の前まで行くと前かがみで言った。


「ねぇ、俺達のこと舐めてる?君、一年でしょ?しかも、俺達よりも序列下じゃん。それなのにさ、すまないって何?気に食わないんだけど」

「ちょっと仔釉くん!落ち着いて!」


 陽渚(ひなぎ)が止めに入るも仔釉が落ち着く様子はない。


「気分を害したのなら申し訳ない。お主の事を舐めているわけではない」


(火に油を注いでどうすんだよ)


明星はまた顔色を変えずに言った。その言葉に陽渚は固まる。案の定、仔釉の怒りは頂点に達しそうである。皆がマズいと思った時には既に遅く、仔釉は明星の胸ぐらを掴んだ。


「君、敬語使えないの?それとも頭が悪いの?あー、どっちもだったね。敬えって言ってんの分からないの?」


言葉遣いこそ荒くはないが、威圧感がある仔釉に陽渚は怯んでしまった。それでも、陽渚は止めに入ろうとしていた。


「なに、陽渚さん。」

「し、仔釉くん!落着こう?ね?明星ちゃんも謝ってる事だしさ、一年生だし、大目に見てあげてよ」

「何で、僕が…」

「仔釉。もういいだろ。席につけ」


 結局、仔釉を止めたのは兄である仔空(しあ)だった。仔釉は兄の言う事は大人しく聞くようで、兄ちゃんがそう言うならと怒りを鎮めた。仔釉、陽渚、明星が席についたのを見届けてから琉生は咳払いをして、話し始めた。


「君達が何故呼ばれたのか単刀直入に言おう。代々警守官に就いてきた名家の者達である君達は、例外だ。能力値が高いが、経験値がない」


 警守官を代々務めてきた名家は、六つある。水属性の名門、冷泉(れいぜん)家。火属性の名門、愛宕(あとご)家。地属性の名門、葉室(はむろ)家。時属性の名門、嵯峨(さが)家。風属性の名門、西園寺(さいおんじ)家。そして、無属性の名門、一条家である。実際、生徒会役員の大半は名家出身である。名家出身の者は、生まれながらにして能力値は高いが、現場に赴き癲者(てんしゃ)を倒す実践をしてきてない。故に、経験値が低すぎるのだ。


「ということで、君達には今から生徒会役員と実践形式で戦ってもらおう事にした!」

「は?」


 にこやかな表情を浮かべて琉生は言い放ち、莉月は開いた口が塞がらなかった。


「心配しなくていいからね!貴方達のお披露目会って感じだから。名家出身者が入学してきたら必ずしてるの」


陽渚は優しく言った。他の生徒会役員達もその言葉に頷いてるのをみるに、そこまで気負う必要もないようだ。

 そうして、莉月達は生徒会役員と実践形式で戦うことになった。






 







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