蒼の心臓
以前投稿した「スカート▲スカート△」の続作になります。
ふたりの時は終わりを告げ
夜の帳が世界を覆う
誰もいない教室の窓から
遠くなるあなたを見つめて
私は一人思いにふける
もしもこのまま瞳を閉じれば
赤い果実は水面に漂うことなく
偽りだった契りはやがて真となり
明日をそして悠久を育むのか
否
考えることも愚かで願いは罪
それでも許されるなら
せめて祈りとともに
………………
…………
……
祈りはいらない
カタチなきそれは心を蝕み
いずれあなたの枷になる
明日より先の帳の向こう側に
私達は一緒に行けないのだから
そうだ
あなたの昨日になればいい
記憶の箱庭で無垢という名の花飾りを
手と手で取り合う
ふたりの時間はやがて
水面に消える定め
でも想いは私達だけのもの
箱庭の中で私達は永遠になる
いやだ
想い出なんてしたくない
離れるなんてできない
考えただけでも
こんなにも苦しいのに
他には何も要らない
もう手を繋げなくてもいい
せめてあなたのそばに
だめだ
だめだ
だめだ
なんて愚かしい
答えなき答えは行方を失う
人差し指で唇をなぞる
僅かに残るぬくもりは私を滾らせ
決意を鈍らせる
鼓動が早くなり
苦しみと切なさは愛おしさとなり
私の心臓に刻む
いっそこの蒼の心臓が壊れてしまえと
切に願う
すると想いを捧げてしまえと
心臓は告げる
全てを奪えと
心臓は囁く
ああなんて愚かしい
………………
…………
……
月が太陽に変わる時
沈黙は終わり全て暴かれ
罪は白日の下に晒される
刹那の刻
私は何を願うのか
あなたは何を願うのか
私たちは……
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