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最後の娘

作者: 今井キマリ

アナスタシアは泣いていた。


もうビーナスはない。


サタンもない。


あるのは人間とプルートだけ。


アナスタシアは語った。


もうアースもありません。


我々は半惑星で


生き残るしかないのです。


好きなことなど


喜びなど


言っている場合ではありません。


願いはプルートを覚醒させる


その一点にのみ集約しました。


一昨年、ジュピターとマーズが、


昨年、マーキュリーと


ムーンとその星々が消えて、


プルートが覚醒しなければ、


今世界は終わります。


泣きなさい世界。


私はアナスタシア。


アダムではない。


イブの残した最後の娘。


アナスタシアは逝った。


翌朝から記憶のあるものはいない。


もう準社会だ。


プルートは笑って応える。


覚醒ではない


アナスタシアに喝采を。

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