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□安らかなれ

【でも……】


 奥の首が、再び動き始める。

 しかし何かに縛られたように、ぎこちない。

 新たにかたち取られた女の顔の、必死の(ぎょう)(そう)

 この女性が、大蛇(おろち)の意思に()()()()()()()


【あれは……】

 俺は思わず、菊に同意を求める――求めてしまった。


【そうだと思うわ……】

 菊は顔を伏せて、短い(いら)え。


【分かっているのです……】

 ()()()()同意する。


 そう。

 あの表情、あの苦悶は、()()()()()

 死してなお、戦っている……


【今のうちなのです】

【そうね―― はあっ、3連斬!】

 2人とも強い……


 最大念信から激しい動揺が伝わってくるが、2人はそれを押し殺して戦いを再開する。

 実質二首と化した大蛇(おろち)

 右のゾウを菊が、左のウシは京が相手をする。


 こうなれば一方的。

 京が防御重視で時間を稼ぐ間に、菊が右の首を切り刻む。

 この優位なうちに、方針を立てなければ……


【ああ、()()()も……】

【ありがとう、なのです……】

 菊が切り落とした右の首に、また別の女性の顔が浮かぶ。


 ……そうだよな。

 先代の京が(いま)だ戦っているのなら、先代の菊も戦っていないはずが無い。


 で、あるならば――


【頼むぞ! 菊! 京!】

【はい!】【なのです!】


 残すは一首。

 菊と京は涙を流し、一心に攻め続ける。


 落ちる左の首。

 新たに浮かぶ、男の顔――


 やるじゃないか、あのスケベ親父(おれ)

 佐脇(おれ)の顔が、最後の一首にあらがい始める。



 そうして――



【解析を完了したのです。攻撃方法を提示するのです】

 京が淡々と示す戦術は――


 指定場所は、複数次元にまたがる3点――

 指定強度は、いずれもAレベル――

 指定順序は、全て同時――


 とんでもない攻撃難度。

 この戦術を遂行できるのは、剣聖たちの中でも、(ただ)1人だろう。


 その剣聖は、今、ここにいる。



「防具解放……」


 もう防具もまとわず。

 動きを硬直させた大蛇(おろち)の前に、菊が(たたず)む。


「3刀召喚……」


 新たに召喚された3振りの刀――

 1振りは白く、2振りは青白い。

 いつもより刀身は長く、その輝きはもはや(こう)(ごう)しい。


 白い刀は菊自身の念。――(ゆえ)にAレベル。

 青白い刀は佐脇(オレ)から返還された念体。――故にこれもAレベル。

 そして残るもう1刀。――これもAレベル。

 ()()ならば、菊の中から念体が消えている。

 あの青白い刀は、菊に()む念体だった!



「先代の皆様、感謝いたします。どうぞ安らかにお眠りください……」



 洞窟に。

 菊の優しい声が、(おごそ)かに響く。


 白い刀を左手に握り、右手を天へと挙げる菊。

 高らかに舞う2刀。


「はあー!」

 白い刀を振りかぶり、菊が中央の首へと跳び――

 青白い2刀が、左右の首へと続く。



()(げん)(ざん)(さん)(せん)!!!」



 次元を渡り――

 断ち切られる3つの首。


 大蛇(おろち)の姿は崩れゆき。

 その念は3刀へと吸われていく。

 代わりに(あらわ)る3つの念結晶、(まが)(まが)しくも美しい小宇宙の(きら)めき。


 斬られる直前、3人の顔が(ほほ)()んで見えたのは、気のせいでは無いだろう。


 倒した……


 俺たち6人、いや、()()()()()()、ついに大蛇(おろち)を倒した!



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