表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/101

□不調

□霊和20年(YE2820年)5月

□甲斐県青木ヶ原


 菊と京とで、連日の念食獣狩り。

 念転写により、以前の念能力は取り戻すことができるが、念体は服従し直して強化しなければならない。大和国には強い念食獣はいないが、いきなり海外に出向くのは危険だ。面倒だが、ここは地道にやり直し。


 前誕から今誕は、約60年が経過していた。これは伝説的武士レジェンダリィ・サムライの平均再誕周期150年と比べるとだいぶ短い。天野さんに聞くと、俺たちが短期間に再誕されたのには理由があるが、それはいずれ分かるとのこと。ついでに、念能力は入念に鍛えておけと言われた。前誕の緩い雰囲気とは、かなり状況が異なっている。


【おい! ()()、どうした?】

【なんでもないのです】

 京の動きも精彩を欠く。大軍師といっても、その念深は剣王に匹敵する。俺はもちろん、そんじょそこらの武士などより、遥かに強いはずだ。


【そういう秋のほうはどうなの?】

【……うん、ずっと念に(もや)がかかっているような感じだ。治りそうに無い……】

 俺も他人のことは言えなかった。

 従魔を念製するにも一苦労。ようやく造って念信を試したら、視覚と聴覚を共有するのがやっと、最大念信を張れないという(あり)(さま)。当然、念転写の問題を疑って天野さんにも報告したが、関係無いと断言された。


【それは困ったわね。私は異常が無いけど……】

 菊はすでに3刀を召喚し、宙を自由自在に駆け回っている。

 俺と京だけなのだが、京は念能力ではなく、素の身体能力に問題がある様子……


【私の不調は、理由が分かっているのです。でも秋に直接話すのは、お断りなのです。(ごう)(はら)ながら、側室に伝えるのです。側室から聞くのです】

 そう言って菊に近づく京。俺は念信を切る。

 京が何やら菊の耳元でコソコソすると、菊は驚いた顔に。

 顔が赤らんだような?


「そんなの私……」

「被害者の私が言えと、言うのです?」

 菊の不平に、問答無用な態度の京。

 どうして京が、そんなに偉そうなんだよ?


 ……そして菊がこちらに向かってくる。

 オリジナルの顔つきに似ているものの、今誕は彫りが深くなって、()()しさを増している。食生活の変化で大和国民全体がエウローペー地域人っぽくなっており、それが素体にも反映されているのだそう。


「秋、1度しか言わないからね」

「う、うん」

 なんだか、緊張する。


「京は前誕、男にされたでしょう」

 ……そういうことか。

「それで?」

 分かった気はするが、思い込みはいけない、よな? うん。

 俺は菊に続きを促す。


「今回は女になって、その、京は、お、お胸は大きいし、……お、男の人のは無くなったしで、勝手が違うのですって!」

 やはり推測通り。

 だが「男の人の」とは何なのか、具体的に言及して欲しい。

 ――()()い。

 顔がニヤけてしまう。


「もう! 分かってて、聞いたわね?」

「ゴフッ」


 軽いボディアッパー。

 しかし剣聖の一撃。


 俺はふっ飛ばされて、(たい)(ぼく)の枝に吊り下げられた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ