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第2話 夢見た世界は崩れさりました。

 お金を稼ぐ、しかしそれは簡単な事ではない。

 何故なら、それにはいい商品やサービスがなければいけない。

そこで質問一つ質問したい。

 道端にいる人からガムを買うのと、同じガムを店に行って買う。

 あなたはどちらから、ガムを買うだろうか。




 誰もが思うだろう。 

 普通に店で買った方がいいと、品質、値段がしっかりしている。

「はぁ、この世界ホントに地獄だな」

 ついさっきまでは異世界召喚とゆう、魅惑の響き胸踊らせていたが、いざしてみると、いささか残念な物である。




 今、俺は店を構えるための資金、商品を仕入れるためのノウハウ、より良いサービスを施すためのスキルそれどころか、今日満足に生活することも怪しい。

 息をスゥーと吸い込み、あの女に聞こえるくらいの声で、叫ぶ

「なんで、初期装備どころかその日生き抜くための金すら用意してくれてないだよ。チート能力がないどころか、特典もないのかよ。なんでいきなりログイン2日目みたいな状況で放置されてるんだよ。最低限の説明と物資くらいよこせよ。あれか、お前もしかして召喚何日目に野垂れ死ぬかのRTAでもしてんのか!」



 魂込めた愚痴、ただいま街のど真ん中で叫んでいます。

 客観的には見たら、いきなり意味のわからないことを叫びだす少年、しかし、これは俺にとっては大切なことだった。



 だって初期ステータスのまま召喚とか理不尽そのものだもん。

 少し深呼吸をし、感情を押さえる。

 今の叫び声で注目を浴びてしまったようだ。

 「なに、あの人急にこんなところで大声あげて最近の人は野蛮なんですかね」

 後ろの方から奥様方の井戸端会議だろうか、俺が話題にあがっている。



 「きっと冒険者なのよ、ほら、あの人たちにお金に飢えてるし、世間的にも地位が低いし」

 「そうよね、息子にはあぁなってほしくないものよ」

 あのー聞こえてますよ、その会話全部聞こえてますよ、わざとですか、わざと聞こえる声で話してるんですか。



 でもいいことを聞いた。

 まず、この世界の言語がわかる。ご都合主義に万歳!

 次に冒険者とゆうと役職がある。

 それが意味すること、それは、ギルドが存在する。



 しかし、俺が行ってなにになる? 目標はこの世界で、富を築くこと、チート能力がない以上、下手に冒険者になんかなって、命懸けに戦うなんてことはしたくない。

 それに、どうやら、この国での、冒険者の地位は低いらしいし。

 「そういや、国同士で戦争してるとか言ってたな」

 きっと軍があるんだろう、おそらくそれが権限みたいなもの持ってるのかな。



 自己解決をし、改めてあたりを見渡して思う。

 どうやら、この世界は西洋風の町並みが広がるありがちなテンプレな世界らしい。

 「なんでそこだけ、テンプレなんだよ。チート能力なしだったら、せめて邪道みたいな感じで、王道から離れろよ」

 あたりには魔法使いや獣人と言った、あからさまなファンタジーな世界ではなかった。

 「ホントに剣と魔法の世界なのか、絶対コレ詐欺だよ。異世界飛ばす飛ばす詐欺だよ」

 自分でも訳のわからない言葉を生み出し、ここに留まっていても良いことはないので、とりあえず、目的もなく適当に散策を始めた。



 そして、何やりも、先程叫んでいたので周りの注目のを浴びている。

 奥様方の井戸端会議の内容もどんどん激しさを増し、旦那の愚痴も入ってくる申し訳なさや、周りの視線に耐えきれなかった。



 クシャ

 何かを踏んだ感覚が足元に伝わって来た。

「なんだ、これ、紙? なんか書いてあるけど……」



 拝啓、藤田馨様

 生涯望んでいた、異世界の気分はいかがでしょうか。

 どのようにして、無様に死に顔を晒すのか、私は心踊らせています。

 そこで、喧嘩を売るような行為をしたことを反省するならば、アメーバくらいには転生させてあげましょう。

 その世界には、ギルドとゆうものがあります。

 そこに行けば多少金銭は貰えるでしょう。

 せめてもの救いとして、ギルドの目の前に召喚した私の寛大な心に感謝なさい。

 では、ぞんぶんに醜く生きて、アホ顔晒して死になさい。



 それだけ書かれて終わっていた。

 何かあるんじゃないかと、淡い期待を抱いて居たけど、ただただ罵倒されてただけだった。

「やってやろうじゃないの、よくもここまで煽ってくれたなぁ」

 俺は自信満々に手紙に書いてあることを信じ目の前にある建物のドアを開いた。



 そこには、まだ陽は登っているとゆうのに酒を呑んだくれてるやつはいなければ、荒くれ共が喧嘩を起こしているとゆうわけでもなく、物寂しい場所だった。



 「あっようこそ我がギルドへ、ギルド加入の方ですか?」

 同じくらいの年齢の娘だろうか、ショートヘアの銀髪で清楚さをイメージさせる白を基調とした長すぎないスカート丈の可愛らしいウェイトレスが出迎えてくれた。



「あの、ここがギルドと聞いてきたんですが」

「そうなんですか? ご加入ですか?いやぁ、ありがとうございます!最近何故かうちのメンバーたちがどんどんいなくなってしまって、凄い困っていたところなんです。」

 いい終わる前に、過疎ってる理由を説明しかってにここに入ることになってしまった。

「いや、俺まだ入るとは言ってないし、凄い早々と言ってくれたところ悪いけど、いいかなぁって」

「そんな」



 申し訳ないが否定の言葉を言おうと、したところに彼女はキラキラとした目で、こちらを見つめてくる。

 はっきり言って、物凄く可愛いやめて、そんな顔で俺を見ないで。

「お願いします、ホントにお願いします。このままじゃ生きていけなくなるんです。私にできることなら全力でバックアップします。宿も貸します。御飯も3食用意します。だから、どうかお願いします」



 夢のような話に少し心が揺ぐ、駄目だ心を強く持て!俺の願望を復唱しよう。

 俺は、戦いたくない、冒険なんてしたくない、そもそも痛いのが嫌だ。

 あれ、これ俺そうとうなクズじゃん、しかし、当然魅惑的に聞こえる条件だが心を鬼にして断ろう。



 ダンッ  

 そう決心した矢先、怖面の筋肉質な体をした男がドアを蹴りはいってきた。

 ヤバイ、めっちゃ顔が怖い、目があったら殺さる、絶対に殺されるやつだよ、これ。

「おい姉ちゃん今日こそ借りた金、耳揃えて返そうか」

えっなにここ借金あんの、てかこんな状況マジであんのかよ、怖い今すぐ逃げ出したい。

あぁ、体が恐怖で動かない。誰か助けてくれ。



「お願いします。もう1ヶ月まって下さい、その時はちゃんと返しますから」

「姉ちゃん、それもう4回目だよね、さすがにもうまってらんないよ」 

聞き耳を立てて聞いているが、いったいいくら借りたんだよ、この世界これだけでもう怖い。家に帰りたい。

 


怖面の男は怒鳴り声をあげて、女の子の恐怖を煽っていく、その覇気にやられて女の子の表情は俯いていっている。


「ホンマに返す気あるんか」

「次は、なんとか」

「返されんかったらどうすんねん」

怖面の男は恐怖はさらに煽るようにして、女の子を詰めていく。



「その時は、どうにかして」

「だから、その方法を聞いてんの? わかる?」

女の子は既に涙を浮かべていた。




「なぁ、そこの兄ちゃんよ。あんたここのギルドのメンバーなのんか?そうなら兄ちゃんにも金返してもらわなあかんのやけどど、どうなん?」

 空気に徹していた俺に話が振られてきた。

 なんでだよ、俺別にこの人の連帯保証人でもなんでもないよ、返済義務発生しないよ、どうなってんだよこの世界。



 女の子は助けを求めるようにこちらを見つめて来た。

 だけど、すまない。

「いや、あの、俺ここの、ギルドメンバーとか何でもないです、ただ立ち寄っただけで、無関係です」

 口から出てきたのは、どうしようもなく腑抜けた答えだった。



「そっか、兄ちゃんは関係無いんだな、すまんなぁ少し脅し気味で言ってしまって」

 希望を打ち砕かれたような表情にし、もう床が濡れるほど涙を流していた。


「はぁ泣かれてもねぇ金が出てくるわけじゃないんだけどね、じゃああんた面はいいからよ、次はその体売ってもらおうか」

 男は恐ろしいことを口に出していた。

 体を売る? そんなこと本人の意思なく許されていいはずがない。



「何も言わないってことは、肯定ってことでいいんだな」

男は満足したかのように立ち去っていく。

 こんな状況に女の子がなっているのに、何もできない自分が情けない。

その子のために何もできないのも悔しい。



 その女の子は下を向きうつむいて泣いている。

そうか、ここで俺がしなくちゃいけないことは、ただ一つ、さっきまで腑抜けたことを言っていた俺には腹がたって、顔に一発全力でパンチ決めたくなってくる。

 覚悟を決めて言う。



「俺ここの、ギルド入るよ。さっきは腑抜けたこと言って、ごめんな、今のを見てたらほっとけなくなってさぁ、俺にできることがあるならなんでも言ってくれよ。」

「良いんですか? こんなところに入ってくれるなんて」

 少し、思うところはあるけど、ほっとくことはできない。

何よりもこのまま、この子が辛い思いをしなくちゃいけないとゆうことが、考えると何よりも辛い。

「ちなみに、借金って今いくらあるんだ?」

「ざっと5000万ほど……」



 5000万……この世界の金の価値って日本円でいくらなんだ……

安易に金のやり取りに首を突っ込んだ自分を後悔した。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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