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第1話 異世界はあまりにも理不尽に

 将来何になりたい?



 大人が子供にするそんな他愛もない質問。

 昔の自分はつくづくませてたと思う。

 何故なら、その質問に対して俺が言った言葉は…………

「何がなんでも、お金持ちになりたい! だってこの世はお金が全てなんだもん」



 当時6才の俺は何を考えていたんだろうか。

 そんな中途半端に世間を理解し、世の中に対し曲解していた。

 そんな少し、いや物凄く恥ずかしい過去を持ち生きた。

 そう、生きてきたんだ。

 まさか【生きてきた】と過去形で話さなければいけない日が来るなんて。



 拝啓、お母様、お父様

 今、僕はなんか神々しいところにいます。

 直前まで高校の校則を無視し、原付バイクでスピード違反の速さで走っていた親不孝者の僕をどうか、お許しください。



「あ………………し…………………お………」

 心の中でそんなことを考えてると、空から聞こえてくる、てか遠くて何言ってるかわからん。


 俺は息をおもいっきり吸い込み。

「腹から声出せ」

 叫んだ。

 必死になって何か言おうとしてる相手に、煽るようにして叫んだ。



 高度をどんどん低くし何か、近づいてくる。

 あれが、神様なのかなぁ。



 なんか人の形してるし。

 どんな人なのかなぁ。

 そういえば、俺、走馬灯見てない。



 そんなことを考え、空を見上げ続けていると、とうとう正体がわかるところまで、落ちてきた。



「あなたは、今日道路標識を無視し、スピードを出しすぎ、急カーブを曲がることができず、そのままガードレールに突撃し事故死しました」

 そこには、街にいれば、まず、まちがいなく芸能事務所からスカウトされるような容姿に、長い黒髪、華奢な体つき、何よりもギリギリ見えそうで、見えないスカートに目が釘付けになった。



「そして、今から地獄に落ちてもらおうと思います」

笑顔で、淡々と恐ろしいことを口にしていた。



「おい、おい待ってくれよ。俺は確かに道路標識を無視してかってに死んだけど、地獄に落とされるような、悪いことはしてないだろう?とゆうか、むしろ個人的には善行を積んでると思うんだが、隣の席の女子に消しゴム拾ってあげたり、ケンカの仲裁をしたり、なのに地獄に落とすなんて、あまりにも酷いとは思わないよか」

「あなた、それ本気で言ってるの? 消しゴム拾ってあげたとかゆうけど、その相手の女の子凄く嫌そうな顔してたし、喧嘩の仲裁と言っても、ただ両者の肩を持って火に油を注いだだけ、そして神である私に対して腹から声出せなんて言うその愚行、充分地獄に堕ちるにはふさわしい悪行がたくさんありますけど…………」



 俺の抵抗は虚しく、意味のないもので終わった。

「嫌だ、地獄に落ちたくない。お願いします。なんでもしますから、どうか地獄だけには落とさないで下さい」

 土下座それもとんでもなくきれいな土下座をした。

ただの泣き落としを実行に移し。

 ずいぶんと無様だが、永遠に苦しみを味わい続けるよりは何倍もいい。



「あなた、いや、藤田ふじたかおるさん、そんな無様なことしてプライドないんですか」 

 何故か俺の名前から大きな声で言った。

「なんで、俺の名前知ってるの」

「そりゃ神様なんだから当然でしょう」

 そんなご都合主義あってたまるか。



「じゃあなんで途中から大きな声出して言ったんだよ」

「だってあなたが腹から声出せって言ったんじゃないんですか、それより良いんですか?そんなタメ口使って? 私の考え次第ではあなたは永久に苦しみ続けるんでよ」

その少女は笑いながら、S気たっぷりに言った。



 やっぱり地獄は永遠に続くのか。

 顔をあげそこに座るこむ。

 もういいや…………ここから動かまいと絶対的に意思を示してここは乗り切ろう。

「覚悟決めたんですか? では地獄、ただしくは私の担当する世界での召喚を行います」

えっ…………



「ストップ! どうゆうことだよ説明しろよ。それって異世界てっことなのか?そうならそうと早く言ってくれよ。異世界に行けるなんて願ったり叶ったりだよ」

 異世界、それはアニメや漫画に汚染された俺にとっては魅惑の響きだった。



「なんで、そんなに喰い付くんですか? 言っときますが地獄とあまりさして違わないですよ。その世界魔王いますし」

「むしろ、どんど来いだ。俺が鮮やかに倒してやるよ」

 だってこれ異世界物には定番のチート能力くれるやつだよ。

 もう、最高憧れのチート能力持てて、女の子からモテる。

 待ってろ俺のセカンドライフーーー



「何を考えてるのか、わからないですが国同士でも戦争してるホントにクソみたいな世界に行くんですよ?せいぜい変な考えおこさないで下さい」

「良いから、早く! 俺を胸躍る冒険の旅へ!」



「あっそうですか、では、藤田馨さんあなたを最高に苦しい異世界に飛ばします。魔王や魔物、国同士のいざこざ等ありますがせいぜい地獄みたいな世界で苦しみ、暇な私の退屈を凌ぐ程度には何かしてください」

 途中なんか愚痴みたいなこと言ってますけど……



「では、さよ」

「ストップ! まてまだ足りない物があるだろうが、チート能力をプリーズ」




 凄く嫌そうな顔された。

「あの、なんでそんな力、渡さないといけないの?」

さっきまでの丁寧な口調が無くなった。

「いや、だってそれくらい無いとすぐに死んじゃうじゃん、だって異世界って基本チートで無双して持てまくるテンプレみたいなの、あるでしょ?お約束に従ってチートください」



「そんな物は無い! 最低限の言語がわかるくらいはするけど、何よりあなたにそんなことをしてあげる義理はないの、こんなに腹立たしいのも久しぶりだし、異世界に行けるだけでも、感謝しなさい」



 えっヤバイそれって俺もう終わってるじゃん。

 ただの高校生がいきなり異世界行っても無駄死にするだけで、そこには俺の求める胸躍る冒険も、可愛い女の子たちに囲まれるハーレムもない。



「おい、ちょっと待って! 少し考え直して」

「異世界に転送させます。転送まで残り5」

 言い終わる前にどうやら異世界に飛ばす気まんまんらしい、転送させる準備をもう整えていて、カウントし始めた。



「4、じゃあせいぜい頑張ってね。3、向こうで凄い苦しいし死にそうになることもあるけど、2、向こうには魔法とか君が望みそうな物が沢山あるから、まぁ使えるかどうかは知らないけど、1、せめて向こうでこの私に腹から声出せなんて言って怒らせたこと、せいぜい後悔しなさい」



「お前、絶対理由それだけだろ、待って!ホントに待って」

「0、じゃあさようなら元気でいろよ」

 元気に笑顔でいい終わると、体が宙に浮かびあがり、空に展開された魔法陣に体が吸い込まれるようにして、吸い込まれたところから感覚がなくなってきた。



 顔のところまで吸い込まれて…………次の瞬間視界には人生の中でなんども憧れた、異世界ファンタジーといわんばかりの景色が広がっていた。

 しかし、俺にはお約束のチート能力はないし、もともと何か、一芸に秀でているわけでもない。



 こんな事になったからこそ思うのかもしれない。

 昔の自分、「この世はお金が全て」と言っていた事を。

 天才かよ、俺異世界に来て憧れた剣と魔法のファンタジー諦めて、お金稼ぎします。少しでも生きるために!



残高0

ここまで、読んで下さりありがとうございます。

まったり更新していくつもりなので頻度はまちまちです。

良ければ、僕の投稿している別作品も読んでいただけるとありがたいです。

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