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伝説の勇者は喋らない  作者: ろっく
1/2

旅の始まり

行き当たりばったりの拙い文章でございます。

更新ペースは超まったりなので気が向いた時にでも読んでもらえたら幸いです。

「えっ!?僕がですか!?」

思わず声をあげてしまった。

自分の素っ頓狂な声が反響した後、広間は静寂に包まれる。


「うぅ・・・」

大声をあげてしまった自分自身に驚き、あわてて顔を下に向ける。

しかしそんな自分を尻目に誰も口を開かず、沈黙は続く。


(クソッ、誰か何かしらの反応くらいしてくれたっていいじゃないか・・・!)

カァッと顔が上気し、紅潮していく様が自分でも容易に感じ取れる。


「あの、それは、本当に?」

沈黙に耐え切れず、恐る恐る目の前の立派な椅子に腰かけている人物に訊ねる。


「・・・不服かね?」

ぎょろりとした大きな目をスゥッと細め、ジロリとこちらを見据える。

この人物こそ、この【ナカノクニ】の王、サマーオその人である。


「いえっ!決してそんな、あの、そういうわけではなく、その、えっと・・・」

「ええぃまどろっこしい!!言いたいことがあるなら言うてみい!」

サマーオ王は深いシワの刻まれた顔をさらにクシャクシャにしかめながら続きを促す。


「なぜ・・・」

「うん?」

「なぜ!!僕なのですかッ!?僕はついこの間!この城で役人として働き始めたばかりなのですよ!?分かりますかついこの間です!!というかほんの数日前です!!まだ1週間も経ってませんよッ!?なのに!それだというのに!!なんで僕なんですか!!?せっかく里から・・・山奥のさらに奥の里から!!このナカノクニへやって来て必死で勉強して試験に合格したのに!!おかしくないですか!?おかしいですよね!?こんなの絶対おかしいよッッッ!!」


「~ッッ!?」

目を血走らせながらまくし立てる青年の豹変ぶりに気圧されたサマーオ王だったがすぐに我に返る。

「お、おう・・・いや、いやいや、だからこそよ!まだ若いお主にこそやってもらいたいのだ!分かるか?いや分かれ!!聞けば先ほどお主は山奥の里の出身と申したな?であればまだまだ世間のことには疎かろう?それではいかんのだそれでは!いくら試験を優秀な成績で合格したとはいえそれだけでは足りぬ、あぁ全然足りぬ!!己の目で見て回るのだ!世界を!そうしてお主自身の見識を深め、また戻ってきてほしいのだ!ここに!このサマーオの元に!そしてワシに見せてくれ!お主の成長した姿を!!よいな!!?」

負けじとまくし立てるサマーオ王。


「王よ・・・」

(ダメか!?)

「そこまで僕のことを・・・」

(よし!!)

深く頷くサマーオ王、その眼は優しかった。

「分かりました!僕にお任せください!!」

「うむ!よくぞ言うた!では改めて命を下そう。あー、しばし待っておれよ。大臣、近う」

横に控えていた大臣をちょいちょいと手招き声を潜めて、

「アレの名は」

「サマーオ様、初めにお伝えしましたのに・・・あの者の名は・・・」


「うむ!待たせたな!」

大きく頷いたサマーオ王は青年に向き直る。


「シュジよ!改めてお主に命じる!」

「15年前、世界に平和をもたらし、そのまま行方知れずとなった勇者の功績を後世に残すべく、勇者の足跡を辿って各地の勇者にまつわる逸話を集めて記録するのだ!」


「はい!!」


こうして僕、シュジの旅は始まったのだった


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


シュジが旅立った後、広間にはサマーオ王と大臣の姿があった。

「誰じゃ、あの若造なら大人しく命令に従うと言うたのは・・・」

憔悴した様子でうな垂れるサマーオ王に大臣が苦笑いしながら

「お察しいたします。あのようにハッキリと物を言う様な印象は無かったのですが・・・正直なところ私も驚きました」

「ハァ・・・ワシ王ぞ?」


「もちろん存じておりますよ。しかし、本当に彼で良かったのですか?」


「構わん。もとより長旅に耐えうる体力の持ち主ならば誰でもよかったのだからな。とはいえ、決して充実していない我が国の人員をいたずらに割くことはできぬ。平和が訪れたとはいっても最近になってようやく復興がひと段落した地域もあるぐらいだからな。まだ国としての支援は必要だろうよ」


「それはそうですね。かといってこのまま救世主たる勇者の功績をうやむやのままに終わらせるわけにはいかなかったと。なるほど、それである意味一番自由に動くことができる、新人である彼に白羽の矢が立ったというわけですね、消去法的に」


「うむ、勇者に関してはむしろ遅すぎたくらいよ。まあ、復興に追われてそれどころではなかったというのも事実だがな。なんにせよ、これはワシに与えられた最後の使命だ。あの若造には貧乏くじを引かせてしまったかもしれんが、なんとしてもワシの代で成し遂げねばならぬ。自分でも分からぬがそう思えて仕方がないのだ」


「承知いたしました。私も微力ながら尽力いたしましょう。」


「うむ、頼むぞ。必要があればあの若造、シュジの手助けをしてやれ」


「御意に」


「さて、ワシは疲れた。今日は早く休むとしよう」


「はい、では私もこれで失礼いたします」



広間から私室に戻ったサマーオ王は窓から空を見上げる。

(なぜだ、なぜワシはこうも使命感に駆られているのだ・・・たしかに国の英雄、いや世界の救世主たる勇者の功績を風化させることなく後世に伝えるのは必要なことではあるのだろうが・・・)


「勇者よ、そなたは何処に・・・」

いつの頃からか、顔も朧げにしか思い出せなくなってしまった勇者に思いを馳せる。


見上げた空にはいつしか夜の帳が下り始め、一つの星がひと際大きく輝いていた。


とりあえず書き始めることが大切かなって

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