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旅立ち

あれから狼との件で俺はリンとエルメに頼んで色々と鍛えてもらった。

女の子に鍛えてもらうのは、気がすすまなかったが妹が産まれて守るには強くならないといけないと思い直すことにした。


しごかれたお陰でかなり強くはなれたと思うけど、二人には頭が上がらなくなってしまった。





そして俺は15歳になり成人の儀式を受けに町まで来ていた。

俺の両親と妹、リンとエルメの両親で町の教会に来た。


「ジルはどんなスキルなのかしらね」

母さんに聞かれて、父さんも俺がどう答えるかを興味津々みたいだ。


「皆の役に立つスキルだといいかな?」

「ん、役に立つ一番」「そうね、皆を助けてあげれるそんなスキルがいいわね」


リンとエルメも同じ意見だ。

俺の両親とリンとエルメの両親もその言葉を聞いてニコニコしている。

妹のサーシャは俺にくっついてお兄ちゃんならいいスキルに決まっていると言っている。


俺の順番が来たので神父さんの前で屈むと頭の上に手を置かれる。


「君のスキルだが、剣術だね、鍛えれば強くなれるので、頑張りなさい。」

と言われホッとした、隠蔽スキルを持っているが本当に大丈夫か心配だった。

俺の後にはリンが呼ばれて弓術、エルメは槍術と言われた。

俺と二人の両親は少し困った顔していたが、妹のサーシャは格好いいと喜んでいた。


俺はリンとエルメは村に帰ったら両親に冒険者になる事を伝える為に相談をしていた。皆で村に帰ってきて自分達の家に入っていく。


家に帰って両親に声をかけた。

「父さん、母さん話があるんだけど?」

「なーに?」「どうしたんだい?」

二人にテーブルに座ってもらうように促す。

「おれのスキルなんだけど、剣術だったじゃないか、だから冒険者になろうと思うんだ。」


母さんはビックリして、父さんはやっぱりかみたいな顔していた。サーシャよくわかってないみたいだ。


「別にスキルが剣術だからって冒険者にならなくてもいいんじゃないかしら、このまま村で生活出来ないわけじゃないのよ。」

「そうだよ、ジル冒険者は危険な仕事だ、無理に村を出なくてもいいだ」

「お兄ちゃん、どっかに行っちゃうの?」


父さんも母さんも心配してくれていた、サーシャは泣きそうにこちらを見ている。


「でも、俺は見たことない景色様々な人に会ってみたい。危険な事もあるかもしれない、それでも俺は冒険者になりたい。」


真剣な目付きで父さんと母さんを見る。

二人は溜め息をつき説得は無理だと判断したのかこちらを見て言った。


「そこまで言うなら頑張りなさい、たまには帰って来てね。」

「いつでも帰ってきていいからね。」

「ありがとう。父さん、母さん」


サーシャだけは納得してくれなかったみたいで、おれの腰に抱きついて泣いている。サーシャを抱いて向き合うように膝に乗せて頭を撫でる。



「ゴメンなサーシャ、にいちゃんいろんな場所に行っていろんなものを見てみたいんだ。大丈夫、たまに帰ってくるから。そんな泣かないでくれないかな?」

「ホントに帰ってくるの?」

「本当だよ。サーシャには嘘ついたことなかっただろ?」

「うん。……………でも寂しいよ。」

「俺もサーシャといつも会えないのは寂しいよ、でもサーシャには幼馴染みのギルがいるじゃないか。」


ギルの名前を出すとサーシャは少し照れて下を向いてしまった。

その様子を見るとやっぱりサーシャはギルの事が好きみたいだな。


「ねぇ、サーシャはにいちゃんが村の外に行くことを応援してくれないかな?」


「……………うん、応援する。」

「ありがとうサーシャ。にいちゃん頑張るからね。」






次の日、俺はリンとエルメ三人で村の門の前に並んだ。

門の近くには二人の両親であるゴードンおじさん、エマおばさん

俺の父さん母さん妹のサーシャ、その後ろには村の人たちが見送りに来ていた。


「皆、見送りありがとう、有名になって帰ってくるから。」

「お父さんお母さん行ってきます。」「ん、行ってくる」

「そうだ、ギルちょっとおいで」

「どうしたの?ジルにいちゃん?」

  

俺の近くまで走ってきたギルに寄って誰にも聞こえないように。

「ギルにはサーシャの事頼むね。」

サーシャの事を頼むとギルは顔を紅くさせて頷いてくれた。

「サーシャの事は俺が守るよ。」

照れながらギルが言ってくれた。



「よろしくね。じゃあ、行ってきます。」





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