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  五歳になった頃に母さんに言われた。



「ジルはこれからお兄ちゃんになるのよ。」

「えっ、赤ちゃんが生まれるの?」

「まだ弟か妹どっちかわからないけどね」


母さんが嬉しそうに言う。父さんも隣で微笑んでいた。

うわぁ、妹か弟どっちだろう?前世では末っ子だったからな。


「妹でも弟でも僕が守ってあげるよ。」

「ふふ、そうね、お兄ちゃんになるなら、守って上げてね」



―――――――




8ヶ月を過ぎる頃には母さんのお腹は大分大きくなっていた。

母さん曰く、もう安定期には入ったらしい。なので、家の事をやろうとする。


「お母さん、僕がやるから休んでていいんだよ」

「ジル、お母さんも少しは動かないと、体がなまってしょうがないわ。

赤ちゃんの為にも少しは動いた方がいいのよ。」

「そうなの?でもお父さんにもお母さんの事頼まれたんだよ。」

「カイルは心配しすぎなのよ。ジルの時よりも、体調もいいのよ。」

「わかった。あまり無理はしないでね。」


母さんは笑いながら気にしすぎだと言われたので、軽く様子を見ることにした。


「今日はエルメちゃん、リンちゃんと遊びに行ってらしゃい。」

「お母さんがいいなら、遊びに行ってくるよ。」

「えぇ、行ってらしゃい。」


母さんに行ってきます。と声をかけて隣の家に行く。

ドアを叩いて、エルメとリンを呼ぶ。すると家からエマおばさんが出てきた。

「あら、ジルいらっしゃい、エルメとリンなら自分達の部屋にいるわ。呼んでくるから待っててちょうだい。」

「うん、わかった。」

エマおばさんに言われて外で待っていると、直ぐに二人が家から出てきた。

「ジル、どうしたの?暫く遊べないんじゃなかったの?」


そう、母さんが妊娠して、家の事をするのに、二人となかなか遊べなかったのだ。いつもは二人から誘われて、母さんが心配で断っていたので俺が家に訪ねて来るのが珍しくてビックリしていた。


「お母さんがたまには遊んできなさいっていってたから、エルメ、リンと遊ぼうと思ってね。今暇かな?遊びに行ける?」

「ん、大丈夫、遊べる。」

「大丈夫よ。今日は家の手伝いはもう終わってるから。」

「じゃあ、遊びに行こう。」


三人で歩き始めて、今日はどうするか考える。俺一人で考えてもダメだろう。

二人にも何して遊びたいか聞いてみた。


「どこで遊びたい?」

「そうね、村の近くにある森を見に行きましょう。野イチゴでも食べに行きましょ。」森の野イチゴか。お土産に母さんに持っていってあげれるな。

「ん、賛成、イチゴ食べたい」

「じゃあ、森に野イチゴを食べに行こう。」


三人で村の外にある森を目指して歩いていく。村から森まで歩いて30分ぐらいの場所にある。三人でたわいもないことを喋りなから行くと、すぐに森の手前まで来た。喋りながら歩くとつくのも早く感じるな。


「着いたね、野イチゴは森の中まで入らなくっても周辺に生えていたよね?」

「そうね、中にも入らなくても、在ると思うけど、少し中に入ったところには沢山あったわよ。」

「ん、なら中に行く。沢山食べる。」


あまり森の奥まで行かなければ、大丈夫だろ。ここら辺はあまり凶暴な魔物もいないし。


「そうだね、母さんにもお土産で持っていきたいし、森の奥までいかなけばいいよね。でも、森の中まで入ったって村の皆には言わないようにしようね。怒られるのは嫌だから。」

「そうね、三人の秘密ね。」「ん、秘密」





僕ら三人は森の中に入っていった。




   

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