洞窟2
準備はできた。エルメ、リンを見ると二人もOKみたいだ。
曲がり角を覗きこむと3匹のウォーリアーはまだ此方に気付いていない。踏み込もうとすると背中を押される。
「早く行きなさいよ。」
エルメに押されて前のめりに倒れる。
慌てて起き上がるとウォーリアーが襲い掛かって来る。
「ちょ、エルメが押したから気付かれたじゃないか!」
「ウォーリアー位正面から倒しなさいよ。」
「だからって倒れる位強く押すなよ。ってこんな事言ってる場合じゃない。リン、フォロー頼む。」
「ん、分かった。」
リンが足元を狙って矢を放ち、敵の動きを牽制してくれる。怯んだ隙に袈裟斬りで斬りかかり、近くのもう一匹を廻し蹴りで壁に叩きつける。リンは叩きつけた敵の頭を打ち抜く。エルメは残りの一匹の剣を石突きでかち上げてがら空きになった胸を貫く。
「案外呆気なかったな。」「だから相手じゃないっていったでしょ。」
「ん、手こずる方が難しい。」
「初めて戦うんだからしょがないじゃないか。」
「自信持っていきなさいよ。こいつらの討伐証明ってゴブリンと一緒で良いのかしら?」
「ん、同じ耳の形が違うからすぐわかる。これ常識。」
エルメを煽るリン。
「悪かったわね。知らなくて。」
「ん、これだからエルメは。」
両手を肩まで上げて首を横に降る。
本当に良くやるよ。
「ほらリンそこまでにしとけよ。これで終わりじゃないんだから。あの先に何が有るのか確認しないといけないんだから。」
「ん、分かった。」
りんを嗜め先に進むと直ぐに行き止まりになる。
そこには冒険者から取り上げたのか色々な武器等が置かれていた。
「さっきの奴等はこれを見張っていたのか?」
「良さげな物は無さそうね。」
「そうだな。先の分かれ道まで戻るか。」
特に要るものは無かったのでそのまま放置して分かれ道があった所まで戻る。
「他に道は無かったからこの奥にキングかジェネラルがいるかもしれないなんだな。」
「キングは分からないけど、ジェネラルは居るでしょうね。」
「今度は背中を押さないでくれよ。」
「押されないようにしなさいよ。」
「押されなようにするってどうすればいいんだよ!」
「そんな事よりも早く行くわよ。」
そう言うとエルメは先に歩いてくとリンもそれに続いていく。
「はぁ、なんとかなるかな?」
此方の道は奥まで続いてる。
歩いていくと、ゴブリンの声が聞こえてくる。
かなりの数がいるみたいだな。
俺は右腕に雷を纏い声がする場所に踏み込む。
ゴブリン達は俺達を見て騒ぎ出し手に持っている武器を投げてくる。
「エルメ、頼んだ!」
「はいはい、分かったわよ。」
エルメは飛んでくる武器を広範囲の水魔法で打ち落とす。ゴブリン達は水に流されているが一匹だけ耐えている。
「あれは?ジェネラルか?」
「そうね。ここにはキングは居ないみたいね。」
奥を見ると道は続いてはいなかった。
水の流れに耐えるジェネラルと流されるゴブリン。俺は右腕に纏わせた雷をそのまま水に浸ける。すると雷が水を伝い、ほとんどのゴブリンが焦げ付く。
「やっぱり、これだけじゃあ倒せないか。」
「流石はジェネラルってとこね。でも雷が効いて痺れてるみたいね。」
「ん、動けないなら私がやる。」
やる気を見せるリンが珍しかったので、リンに任せることにした。
リンは弓を引き矢を放とうとする。その矢には魔力が込められておりそのままジェネラルの左胸に刺さる………………と思ったら貫通して大きな穴が開く。
「ん、V」
「いやいや、おかしいだろ?只の矢だぜ?普通刺さるたげだろう。貫通しないよな。エルメもそう思うだろ?」
「貫通位するわよ。リンは矢に魔力を込めたんだから。」
「ん、魔力込めて貫通これ常識。」
「そんな常識が在ったら困るわ。」
「まぁまぁ、そこらの冒険者なら無理だけど。リンが込める魔力は桁が違うから貫通するのよ。」
「マジか!?パネェなリン!」
後は倒したゴブリンとジェネラルの討伐証明を取ってギルドに戻るだけだ。
「ジェネラル討伐って信じてもらえるかな?」
「大丈夫よ。その時は腕ずくで黙らすから。」
「お、穏便に行こうぜ。なっエルメ。エルメは笑った顔がいいと思うな。笑うと可愛いし、グッハ。またこれか。」