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コンビニに行っての帰り、マンションの玄関になにかが落ちていた。
拾い上げて見るとそれは人形の右腕だった。
――なんでこんなものが落ちている?
マンションを出る時には、人形の右腕など落ちてはいなかったはずだ。
子供がここで人形を乱暴に扱ったのかとも思ったが、今は深夜と言っていい時間帯だ。
子供がこんな時間に遊んでいたとも思えない。
俺は人形の腕を床に落とすと、部屋に向かった。
――それにしても……。
あの人形の右腕、どこかで見たような気もするのだが。
部屋に着くと、部屋の前の廊下になにかがあった。
見ればそれは人形の左足だった。
――こんなところにもこんなものが……。
拾い上げてみると、右腕同様にやはりどこかで見たような気がする。
俺は考えた。
しかしなにも思い出せなかった。
とにかく人形の左足なんかが部屋の前にあるのはなんだか気味が悪いので、俺はそれを遠くに投げた。
そして部屋に入った。
部屋に入り、電気をつけると途端に思い出した。
あれは真知子がくれたものだと言うことを。
その当時付き合っていた真知子と言う女が、誕生日プレゼントとして俺に手渡ししたものだ。
男に人形のプレゼントなんてと笑ったものだが、その時は幸せだった。




