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【コミカライズ開始】ひねくれた私と残念な俺様  作者: 合澤知里
本編

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95.身の危険を感じます

 その後、大河さんと話し合った結果、翌日、私は再び大河さんの家へと引っ越す事になった。折角家を用意してくださった天宮会長には申し訳ないが、私も一人で寂しかったし、大河さんも私に帰って来て欲しいと言ってくださったので、お言葉に甘える事にしたのだ。

 因みに、凛さんと敬吾さんは、私が引っ越して早々にそれぞれの家に帰られていたらしいので、また大河さんと二人暮らしという事になる。


 「それにしても、二人が元に戻ってくれて、本当に良かったわ。」


 引っ越しを終え、手伝いに来てくださった凛さんと敬吾さんを含め、四人で大河さんの家の食卓を囲んでいると、凛さんが心底安堵したように口を開いた。


 「元通り、でもないけどな。なあ冴香?」


 機嫌が良さそうに満面の笑みを浮かべた大河さんに見つめられて、私は赤面した。

 まあ、確かに、婚約者同士で同棲、という所は今までと全く同じな訳なのだけれども、本人同士の意思で、となると、今までとは違って、何だか凄く恥ずかしい。


 「昨日までとは随分な変わりようだな、大河。出張中の仕事が溜まりに溜まっているが、月曜からもその調子で頑張ってくれよな。」

 「嫌な事を思い出させるなよ。まあ、今の俺ならあれくらいの量、すぐに片付けられるがな。」


 敬吾さんと軽口を叩き合う大河さんを見つめる。昨日の思い詰めたような様子とは打って変わって、かなりご機嫌だ。

 そんなに私が戻って来て嬉しいのだろうか? いや、幸せそうに私の手料理を頬張っている所を見ると、私が、と言うよりは、私の料理が、と言うべきなんじゃなかろうか?


 夕食を終え、凛さんと敬吾さんにお礼を言って見送り、後片付けを終える。もう少ししたらお風呂でも入れようかな、と思っていると、いきなり後ろから抱き付かれて、飛び上がる程吃驚した。


 「うわあああ!?」

 「何だよ、そんなに驚くなよ。」

 振り向いて見れば、私の叫び声に顔を顰める大河さん。


 「急に抱き付かれたら、誰だって吃驚するじゃないですか。驚かさないでくださいよ。」

 「悪い。じゃあ急にじゃなければ良いんだな?」


 そう言うが早いが、大河さんに再び抱き寄せられ、気付いたらキスされていた。一気に身体中が熱くなる。

 急に、じゃなければ良いってものじゃない! と言ってやりたいが、口が塞がれているのでそれも出来ない。

 仕方がないので諦めて、まだ慣れないながらも、頑張って大河さんの胸に縋り付いていたら、大河さんの片手がさわさわと私の身体を触り出した……って、うえええ、ちょっと待って!?

 じたばたと足掻いていたら、漸く大河さんが唇を離してくれた。


 「何で抵抗するんだよ。」


 わあ、何か不機嫌そうになってるし!

 相変わらず大河さんの腕の中に閉じ込められながらも、私は必死で頭を働かせる。


 「あのっ、えっとですね! こういう事は私、初めてなので、ちょっと刺激が強過ぎまして! 何と言いますか、そう、まだ心の準備が出来ていなくてですね!」


 自分でも何を言っているのか分からないが、取り敢えず言いたい事は伝わったようだ。


 「あー、もう、仕方ねえな。」


 大河さんは溜息をついたかと思うと、ひょい、と私を持ち上げた。お姫様抱っこされて驚き慌てる私など物ともされず、スタスタと大河さんの寝室に運び込まれてしまう。

 え!? まさかとは思うけど、これって貞操の危機ってやつじゃ……!?


 「大丈夫、お前の嫌がる事はしねーから。」


 青褪めて息を呑んだ私に気付いたのか、大河さんは優しい声を出すと、私をベッドに寝かせて、自分もその隣に横になった。固まる私を抱き締めて、ゆっくりと頭を撫でてくれる。


 「本当は、お前を早く俺のものにしてしまいたいけどな。嫌がる女に無理強いする趣味はねえし、お前の気持ちが追い付くまで待つよ。まあ、俺も何時までもつか分かんねえし、慣れる努力はしてもらうけどな。」


 ええと、今、突っ込み所が満載だったような気がする。


 だけど、既に頭がオーバーヒートしている私は、突っ込むのを諦めて、大人しく大河さんに身を任せる事にした。大河さんが頭を一撫でしてくれる毎に、私の身体の強張りが少しずつ解けていく。

 気持ち良いな、と思っていると、大河さんが私の髪に、額に、頬に、キスを落とし始めた。こんな事をされると、恥ずかしいし、凄くドキドキするけど……やっぱり、大事にしてもらえているみたいに感じられて、嬉しい。


 ずっと居場所が欲しかった。私が安心出来て、何時でも受け入れてもらえる、そんな居場所が。大河さん、図々しいと分かってはいますけど、貴方の腕の中が、私の居場所だと、そう思っても良いですか……?


 少しだけ大河さんに身を寄せて、ちらり、と大河さんを見上げる。目が合うと、大河さんはにっこりと微笑んでくれた。


 「そうだ、折角だし、このまま一緒に風呂に入るか?」

 「全力でお断り致します。」


 私は素早く大河さんの腕の中から抜け出すと、さっさと大河さんの寝室を出て、お風呂を入れに浴室に向かった。

 折角人が感慨に浸っていたというのに。フン、だ。大河さんのばーか。

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