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第4話 相次ぐ別れ

 グスターキュ帝国側の関所が在る、領地〔セントリア〕の首都〔テュオ〕。

 テュオの関所の門を通る一行だが。

 注意すべき点が2つ。

 1つ目は、乗って来た馬。

 トクシーの伝手つてで借りた馬は、関所を通過出来ない。

 馬車を引いていた、ラヴィの乗っている《メーク》のみ。

 なので全員馬から降り、ラヴィだけメークの手綱を引きながら歩いて通った。

 勿論、世話になった馬達には『ありがとう』と声を掛けて。

 その後は、デュレイが一先ひとまず預かる事となった。

 2つ目は、ヘルメシア帝国内を詳細に描いた地図《P》の所在。

 Pは国家機密。

 国外への持ち出しは不可。

 しかしラヴィ達が身体検査を受けた時には、それは出て来なかった。

 Pは何処に?

 答えは、『留守番中のあいつの手元』。

『どうせ来た道を戻るんだ、これを持っては帰れないし俺が預かろう』と、半ば取り上げられた形。

 だから、堂々と関所を通る事が出来たのだ。




 テュオに入り、真っ先に向かったのは。

 領主《マナック卿》の屋敷。

 そこでまず、会談の成功を簡単に報告。

 無事の帰還に、マナック卿も一安心。

 歓迎の宴が設けられる。

 そこで一泊。

 しかし、その輪の中に居ない者が。

 そう、トクシーである。

 元々、使者の案内人で有り。

 政治亡命同然の生活を送っている、皇帝の弟 《アリュース》からの使い。

 要するに、敵側。

 そんな輩が参加出来る筈も無く。

 その前にお役御免となった。

 宴の開かれる前で、トクシーと離れる事に。

 トクシーとの別れを惜しむ、ロッシェ。

 槍の先生としてじっくり教わって来ただけに、人一倍別れ辛さがあった。


「また会えるさ。何時でもな。」


「先生……俺、頑張るよ……。」


 涙をこらえるロッシェを、肩を叩いて励ますトクシー。

 ラヴィもトクシーに声を掛ける。


「今までありがとう。感謝してるわ。」


「勿体無きお言葉。」


「アリュースさんに、宜しくね。」


「はい。旅の成果、存分にお聞かせしましょう。」


 深々と頭を下げ、感謝の意を表すトクシー。

 そして、アリュースの暮らす屋敷へと向かって行った。

 一緒に旅した仲間が減ると言うのは、辛いものだ。

 今までは増えたり減ったりだった。

 しかし今回は、どんどん減るばかり。

 最後にはどうなるのだろう?

 ラヴィは考えたくも無かった。

 そして宴に興じる事にした。

 嫌な事は忘れて騒ごう。

 この夜だけは。




「国王陛下に、宜しくお伝え下さい。」


 マナック卿に手を振られ、ラヴィ達はテュオを後にした。

 次に向かうのは、セントリアの西隣に在る〔メインダリー〕。

 〔スント〕の村を通過して、メインダリーの首都〔パラウンド〕へ向かうが。

 馬のメークとは、テュオで別れた。

 元の持ち主に返されたのだ。

 別れを惜しむラヴィとは対照的に、武勲を上げた馬として持ち主に喜ばれるメーク。

 この先も付き合って欲しかったが、持ち主の喜びようを見て言い出せなかった。

 そしてテュオで新たに馬を2頭借り、最終目的地へと向かう事となった。




 パラウンドで待ち受けていたのは。


「おっそーい!」


「げっ!」


 思わず声を上げるロッシェ。

 彼を騎士に仕立て上げた張本人。

 メインダリーの領主《ハウロム卿》となった少女、《トワ》。

 彼女が屋敷の前で仁王立ち。

 今や遅しと、ロッシェの帰りを待っていたのだ。

 かたわらには、近衛隊隊長である《ヘン》の姿も有った。

 ヘンがロッシェに声を掛ける。


「良い面構えになったな。」


「色々有ったもんで。」


 そう言って、ラヴィ達を見る。

 その温かい眼差しを見て、『苦労したのだな』と感じるヘン。

 逆に遠い所へ行ってしまった様な気がして、ロッシェの右腕身ガシッとしがみ付くトワ。

 ここではハウロム卿では無く、ただの無邪気な少女トワになっている。

 かつてラヴィが、そう言ったから。

『私達とロッシェの前では、それで良い』と。

 その言葉に救われ、ロッシェの帰りをずっと待ち焦がれていた。

 その姿を間近で見て来た、召使いの《ユシ》も感慨深げ。

 トワが心を晒せる人間は少ない。

 ロッシェは、ユシにとっても特別だった。

 戸惑うロッシェだったが、余りの歓待振りにとうとう折れた。


「済まねえ、一時離脱で良いか?」


「分かってたわよ、そうなるって。」


 自分だって、弟妹達に早く会いたい。

 トワ達もきっと、そうだった筈。

 自分には、止める権利は無い。

 好きなだけ休むと良い。

 ラヴィはそう考えていた。

 でも一言だけ、ロッシェは付け加える。


「あいつの下へ行く時は、俺も一緒だからな!仲間外れにすんなよな!」


 ああ、また何時か離れてしまうんだ……。

 トワは思ったが。

 仲間思いのロッシェは、自分が駄々をこねても彼女達と共に行くだろう。

 トワもまた、止める権利は無いと痛感していた。

 彼の人生は、彼が決める。

 でも最後に、傍に居られたら。

 それで良い。

 そう思った。

 そしてその夜、送別会がトワの屋敷で行われた。

 またどんちゃん騒ぎ。

 騒げる時に、出来るだけ騒ごう。

 それは平和の証なのだから。

 ラヴィは思っていた。




 そして、パラウンドを離れる日。

 ロッシェもまた、旅支度をしていた。

 前にお世話になった〔ライ〕の町。

 町と共に、そこまでの道を整備して貰える様頼んでいたので。

 様子を見に行く事にした。

 ここで道は分かつとも。

 また合流しよう。

 そう誓い合って、それぞれ目的地へ向かった。

 ラヴィ達が向かったのは〔イーソ〕の町。

 ここからメインダリーの旅は始まったのだ。

 前と同じ様に、《ロール婆さんとその孫、そして町長》が迎えてくれた。


「もう魔物は憑り付いてないでしょうね?」


 念を押すアン。

 憑り付きを認める代わりに、体調を戻して貰う。

 そう言う契約だったが。

 必要無い程に、ロール婆さんの体調は回復していた。


「安心して。」


 笑顔でそう言う孫。

 ホッとするアン。

『急いでるから、ごめんね』と言いつつ、町の皆に見送られイーソを後にした。

 この時既に、一行を構成するのは。

 ラヴィ、セレナ、アン。

 3人までに減っていた。




 前はメインダリーから敵兵が侵入していて、セントリアが攻められていた。

 その状況を打破する為に、包囲網を敷く為協力を取り付けて回っていた。

 その3つの領地を、これから順に通る事となる。

 そしてその先には。

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