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第1話 帰国の途へ

これは本編第175話で示された、帰路の旅路を描いた物です。

ラヴィ達はどの様な旅をし、また帰って来たのか?

本編で触れない内容も含まれているので、是非ご一読を。

 これは。

 使者として敵国を訪れた、王女の旅の記録。

 本流から分かれ支流として流れた後、又本流へと合流する物語。

 それをこれから、書き記して行こう。




 〔グスターキュ帝国〕からの使者として、隣国の〔ヘルメシア帝国〕へと渡り。

 グスターキュ帝国国王の親書を携え、ヘルメシア帝国皇帝へ謁見しこれからの事を相談して決定する。

 その役目を無事終えた、少女 《ラヴィ》。

 使者としての肩書は、《セントリア護衛隊の中堅》。

 本国の外交窓口である領地〔セントリア〕の兵士に偽装し、敵国へと乗り込んだ。

 その正体は、グスターキュ帝国第1王女。

 彼女は、《或る男》に協力を仰ぎ。

 《世界統一》と言う野望の為、ラヴィと言う偽名を名乗って行動していた。

 父親である国王《アウラル2世》へ一連の会談内容を報告する為、これから本国へと帰還する旅路へ着こうとしていた。




 この旅の出発点は。

 皇帝の直轄地〔シルバ〕内に在る、ヘルメシア帝国の帝都〔ガティ〕。

 その中に在る、町の一角。

 共に旅する仲間は。

 元々ラヴィの女中で、ずっと一緒に行動している少女 《セレナ》。

 彼女もまた、偽名。

 協力を仰いだ男の妹で、錬金術師の 《アン》。

 その技は一級品。

 旅の途中で仲間となった、武骨な男 《ロッシェ》。

 騎士に成りたてで、腕は未熟ながら日々精進している。

 そして、出発点の一帯を管轄する名門一族に当たる《トクシー》。

 彼はヘルメシア帝国の正騎士であり、今は皇帝の弟に仕えている。

 もう1人。

 アンの兄の代わりをする、同じく正騎士の《デュレイ》。

 訳有って同行出来ない、アンの兄に成り済ます。

 往きと帰りで人数が異なると、不自然と思われ怪しまれるので。

 それを誤魔化す役目を負う。

 欠員を出さない為の、苦肉の策。

 どうして、アンの兄は同行出来ないのか?

 それは、彼が主人公である【本編】を読んで頂こう。




 謁見する事を目的とした往路は。

 馬で、献上品を載せた荷車を引っ張りながらの旅。

 スピードは遅く、一般の旅人よりも時間が掛かった。

 早く戻らねばならない関係上、復路は馬に騎乗し駆け抜ける事に。

 馬は4頭立て。

 トクシーとデュレイが各1頭ずつ。

 馬を操れないアンとロッシェは、それぞれラヴィとセレナの後ろへと乗せて貰う事に。

 セレナは、ロッシェの剣術の師匠。

 よって、この組み合わせとなった。

 馬の背中を軽くする為、最低限の荷物しか持っていない。

 急いで向かう先は。

 まずは、国境付近に在る町〔ブロリア〕。

 そこから国境を越えて、セントリアに在る町〔テュオ〕へ入る。

 ブロリアでデュレイと、テュオでトクシーと別れた後。

 新たに馬を調達して、又駆けて行く事となる。

 その道中で、世話になった領主へ簡単な報告をしながら。

 そして国王へ報告を終えた後、とんぼ返りする。

 敵国で1人待つ、仲間の元へ馳せ参じる為に。




 ガティの町を、颯爽と駆け抜けて行くラヴィ達。

 急いでいるので、形振なりふり構ってはいられない。

 馬の調子を見ながら、1日で出来るだけの距離を稼ぐ。

 特に、ラヴィが乗っている馬の《メーク》は。

 往路で馬車を牽引した馬なので、疲労が蓄積している。

 なのにラヴィがこの馬を指名したのは、旅によって愛着が湧いた為。

 後は、きちんと本当のあるじに返す為。

 主も愛着を感じているだろうから。




 往路をそのまま逆走する事になる復路。

 ただ途中でショートカットした関係上、ガティと〔シッティ〕との間に在る町〔ルーゼ〕は訪れた事が無い。

 何か、思わぬ事態が起こるかも知れない。

 慎重に、そして大胆に。

 行動する事が求められた。




 結論から言うと。

 何も起こらなかった。

 と言うのも、ルーゼの町はガティ寄りに存在し治安が安定しているのだ。

 しかもこちらは、使者の役目を果たした後。

 何か非常事態が起きて帰国出来なくなっても、大した妨害にはならない。

 敵である《王族反対派》には、何のメリットも無い。

 寧ろ『奴等が仕組んだ事』と喧伝けんでんされ、攻撃の理由を与えるだけ。

 反対派の中心部がそう判断するのは、想像するに容易たやすい。

 なので、ヘルメシア帝国から出るまで手出し出来ないだろう。

 そこまで、アンの兄は読み切っていた。




 シッティから〔砂漠〕を通り、王族反対派の支配する領域〔ダイツェン〕へ入る。

 ダイツェン内に在る町〔ステイム〕〔ナイジン〕を、順に通り抜ける。

 往路で一度敗北しそのまま沈黙した、ナイジンに住まう支配者の《アストレル家》。

 復路では見逃されても、とんぼ返りの時は全力で牙を向くだろう。

 念の為、威圧しながら走り抜ける。

 邪魔をするなら容赦しない。

 こっちは、早く戻らないといけない事情が有る。

 それ相応の被害を覚悟して貰おう。

 その意図を知らしめしながらの行軍となった。




 ナイジンを過ぎた後に、ラヴィ達は思い出す。

 ナイジンから〔キョウセン〕の町への近道となる橋が。

 使者を妨害する為に落とされていた事を。

 2つの町には大きな渓谷が横たわり。

 それを回避しようとすると、渓谷を直進するより3倍は時間が掛かってしまう。

 応急処置として簡単な吊り橋が架かってはいたが、人が通るのでやっと。

 恐らく馬は通れない。

 あれからかなりの時間が経過していたが、完全に橋が架け替えられたとは思えない。

 沈黙を保ったまま邪魔するのに好都合と考え、復旧工事にすら入っていない可能性も。

 考えるが、現状を確かめてみないと何ともならない。

 とにかく、現場へ行ってみる事にした。




「はあーっ。」


 ラヴィがため息を漏らす。

 案の定、新しい橋は無かった。

 吊り橋をよちよち渡る、旅人の列。

 すれ違うのも容易では無い。

 これでは遠回りするしか……。

 そこへ。

 ここぞとばかりに、アンが前へ進み出る。

 往路では正体を隠す関係上、この手は使えなかったけど。

 今は違う。

 例えとんぼ返りの旅に同行出来なくても、ここは何とかしないと。

 そう考え、吊り橋の掛かるたもとの傍で右手を付く。

 そして、賢者の石がはめめられている指輪に力を注ぐ。

 すると、崖の傍から『ズアアアアアアッ!』と金属の分厚い板が延び。

 渓谷の両端に接続すると。

 アーチ状に変わった下側。

 板を均等に3分割する様に2か所、にょきっと金属の柱が立つ。

 それは高く伸び、その先から金属で編まれたロープがヒュッと現れる。

 渓谷の端と、横たわった金属の板の中央に。

 それぞれ接続。

 後は形を整えて。

 アーチ橋と斜張橋の合体型。

 鉄壁の端が完成。

 余裕で馬車同士がすれ違えるだけの横幅。

 橋には転落防止の手すり。

 至れり尽くせりだが。

 普通の橋との違いは、ただ1つ。

 部品を組み合わせて建造された物では無く、あくまで『1つの金属の塊』であると言う事。

 しかも錬金術で作られているので、材質不明。

 よって、破壊が難しい。

 アストレル家でも、もう落とせないだろう。

 一事業終えると、アンはラヴィの後ろにまたがる。

 そして当然の出来の様に言う。


「さっさと渡りましょ。」


 そして呆然とする見物人達に『決して錆びないから手入れ要らずよ、安心して』と言い残し、橋を渡っていった。




 こうして峡谷を越え、〔キョウセン〕の町を通過すると。

 〔盗賊の巣〕と呼ばれていた場所、そこが存在していた森へと差し掛かる。

 ここも、すんなりと抜けられると良いけど。

 淡い期待と不安を抱きつつも、前に進むラヴィだった。

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