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Black Rose  作者: 過去旧
3/5

Part-02 読書で世界を知る。

まずツヴァイに言い渡されたのは、家の巡回警備と家を知る事だった。

当然、マスターの家の構造とかを知る事は必要だったのだが。

今は私服を置いておき、堅い繊維で編み込まれた普段着の上に、革製の鎧を着ている。

なんというか、騎士というよりは傭兵みたいな恰好だけど。


「めちゃくちゃ大きい家・・・というかこれもう屋敷レベルだな・・・。後、至る所にでかい本棚が・・・。」


びっくりしたのは、図書館かと疑うレベルの本棚だ。

高さ4メートルくらいあるだろう大きい本棚が並んでおり、中には歴史書や魔導書、一般の書籍が所狭しと並んでいる。


家の2階は普通の家っぽい構造だったが、やはり屋敷みたいな感じだった。

部屋が10部屋くらいあったが、大半が空き部屋のようで使われている気配はない。

一番奥が、マスターの部屋なようだ。


というか、今までどうしてたのだろう。

あんな中学生くらいの女の子一人で、こんな広大な屋敷を管理できるとは到底思えないのだが・・・。


「本読みで、屋敷の主で、かつ女の子か・・・。すごい組み合わせだなこれ。」


2階を見回った後、再度1階の図書室・・・もとい広大なフロアを見回った。

本には勿論、この世界の事や国の情勢が書かれた本もあるみたいなので、後で許可を取ってじっくりと読みたい。

後、パッと見ただけだが魔物大全という本もあったので、恐らくは魔物とかモンスターとかが居るようだ。


「ツヴァイ、どう?ある程度は家の構造が把握できたかしら?」


いつのまにか、マスターが近くまで来ていたようだ。

黒っぽい服を着ていて、3冊くらいの本を抱えている。


「大体は把握できた。それと、頼みが2つ程。」


「何かしら?」


「えっと、まず1つが読書の許可を。」


「いいですよ、それくらいなら勝手にやっても。」


「恩に着る、それともう一つは、暫くしたら外出の許可を。」


外出の許可、といった瞬間に、口元に手をやって考え込む動作をするマスター。

何か思う所があるんだろうか。


「外出は・・・まだ許可できないわ。危険が多すぎるし、貴方はまだ世界について何もしらないでしょう?」


「ああ、だから世界についてを読書である程度知ってから・・・」


「それでもすぐに許可とは無理ですよ。貴方は私の騎士です。忘れましたか?」


言われて気づいた。

マスターの専属の騎士だ。騎士って名前だから、もちろんこの屋敷の防衛とかもしなきゃいけない。

どこの世界に、無許可で主を置いて外に行く騎士がいるんだ。


「それに、今の貴方は剣術や魔術も知らない。そんな状態では外出はおろか、騎士としての職務も果たせるか疑問ですけどね。」


「・・・」


まあこうなるよな。

思ってはいたが、この世界では剣術とか魔術とかがやっぱりあるようだ。

それをまずは最低限取得しないとどうにもならない訳で。


「ある程度知識を得て、貴方が落ち着いたら剣術や魔術を教えてあげます。貴方なら、すぐに上達すると思いますよ。」


「えっ、魔術はともかく、マスターに剣術なんて使えるのか?」


こんな女の子が剣を振り回す姿なんて想像できない。

雰囲気的に魔術は賢者レベルかも知れないが、剣術なんてやるような体つきもしてない。


「多少は知ってますよ。無論、私自身は使えないですが、魔法で鎧を動かしてやらせます。」


「魔法か・・・わかりました。その時にはよろしくお願いします。」


マスターは本を抱えて歩いて行った。

自分の部屋で読むんだろうが、わざわざ2階まで行くのは面倒じゃないか?と思ってしまう。

それにしても魔法で剣術を教えるっていうのもな。

多分、鎧を操り人形みたいにして間接的に教える、と言いたいんだろう。

本当に魔法って、どこの世界で便利な物だな。


「まあ、マスターから一応の許可が出たし。気になる本でも読んでみるかな。」






まずツヴァイは、適当に『世界を歩く冒険』とかいう名前の本を読んだ。

名のある冒険家が、世界中を自由に歩き回るという本だ。

これで、大体の事が分かった。


この屋敷があるのはガリア王国という国らしく、世界の中でも一番国力がある。

領地も広く、保持する軍隊も一番強力らしい。

周囲を囲むように3つの国があり、オルベール帝国、サンシャルド海運国、エルナス神聖国というらしい。

このガリア王国とオルベール帝国の仲は良いとは言えないらしく、過去にも何回か小競り合いがあったみたいだ。


次に手に取ったのは、さっきもチラッと見た魔物大全。

ゲームの中に出てくるような、スライムやゴブリンから、マッドウルフとかいうオオカミっぽいモンスターとかも居る。

まあつまりは、この世界には魔物が当然のように居て人を襲うのだという事だ。

それが分かっただけでも良しとする。


最後に手に取ったのは、『魔力について』という本だ。

魔力はその辺に漂っているらしいのと、どんな人間も身体に魔力を宿してるらしい。

魔法使いは身体の魔力を駆使して魔法を放ち、騎士や戦士は魔力を引き出して身体能力の強化を行うようだ。

魔物というのも、動物や無機物、単細胞生物が魔力を得て急激に成長したり、進化ものらしい。

この世界において、魔力はかなり重要な地位を占めているようだ。


「ツヴァイ。読書に没頭するのは感心しますが、そろそろ夕食の時間ですよ。」


マスターがいつのまにか傍にいて、そっと声をかけてくれた。

いつのまにか居るので、こっちとしてはいきなり声をかけられてビックリしてしまう。


「ああ、分かった。・・・それにしても、凄い本の数だな・・・全部読むのに何年かかるのやら。」


「多分10年はかかるわよ。全部内容を理解すれば、ですが。」


「頭が痛くなるから止めます。」


ざっと見ても数千冊はあるしな。

もしかしたら5桁いくかも知れない。市民図書館なんて目じゃないし。

火事にでもなったら、それこそ大変な事になりそうだ。


そういえば、この家にはまだマスターしか人を見てない。

もしかしたらメイドとか執事とかがいるかも知れないが、少なくとも自分は見てない。

まあそのうち会えるだろう、と思いつつ、2人で2階にある食堂に向かった。



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