表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アコガれて魔法学校に入学したらそこは地獄だった(仮)  作者: 感想とかオホメノコトバとかいただけたら執筆スピード上がるタイプの奴。
春期
42/48

泉 最悪の可能性

 

 

「……でアナタは何が欲しいの?」


 あたしが尋ねると、彼はサラリと言った。


「トトロムニが欲しい」

「ふざけないで」

「ふざけてなんかないよ。俺はキミが好きなんだ」


 ……!?

 あたしは一瞬、真に受けて、瀞井とろいの顔を見た。


(結構、いけめん……)


 って、いけないいけないっ!!


「あなたの彼女になれっていうの?」

「残念だけれど、結婚はまだ年齢が許さないからね」

「そんな卑怯な手で、女の子が付いてくると思ってるの?」

「断ったら殺すもん」

 

 いけしゃあしゃあと彼はそう言って、あたしに微笑んだ。


「俺んちさー、先祖代々から伝わる魔法使いの家系なんだよね。兄弟六人いて俺末っ子なんだけど、魔法に関することは全部兄貴達から教えてもらってきた。だから一般的に知られてない【古代魔術】・【禁呪】・【呪術】とかも知ってる」

「だからあたしが使える魔法も知ってるってことね」

「そうさ。キミには素質を物凄く感じるよ。分かるんだ。キミは間違いなく俺の次に強い魔法使いになれる。俺から教われば、ね」


 彼の言葉が本心だということは、その様子を見る限り間違いなかった。ポーカーフェイスなのかもしれないけれど、とにかく迷いもためらいも一切ない。

 瀞井と付き合うなんてできれば避けたい。でも同意すれば、あたしが一番知りたい情報が分かるのだ。

 あたしは念を押すように尋ねた。


「……あなたに教わったら、絶対に魔法が使えるようになる?」

「うん」

「弟に勝てるぐらい強くなれる?」

「当たり前だよ。じゃあ、俺と付き合ってくれるってことでいい?」

「その前に証明してよ。それからじゃないと答えられない」


 あたしが交渉をすると、彼は目を隠して低く笑った。


「くっくっ、いいよ。その替わり、後で断ったら殺すからね」


 そう言って彼は背中の剣を抜いた。わずかに反りのある刀身が朝日の光を反射して輝く姿。妖しくもあり美しくもあり視線を逸らせない。そしてこの瞬間、あたしは自分がいつ死んでもおかしくない状況にあると悟った。

 その剣を瀞井がゆっくりと突き出した。あたしの首元に刀の切っ先が触れる。


「見てごらん、この剣。血が付着しているだろう? 誰のものだと思う?」

「いきなり何よ。魔法を教えてくれるんじゃないの。約束と違うじゃない!!」

「いいから答えろ、誰のものだと思う?」

「分かるわけないでしょ」

「ヒント。福岡県北九州市、」

「……えっ?」

「K区Y町38番」

「……ちょ、」

「赤い屋根の家」


 瀞井の言葉にあたしは絶句した。

 彼が言った住所は、信じたくはないが紛れもなくあたしの実家のもの。

 なぜ彼がここから1000キロ以上離れたあたしの実家の場所を知っているのか。


「……冗談よね?」

「何が」

「……なんで、どうしてそれを知ってるのっ!?」

「……さあねー。それよりも質問に答えて。この血は一体、誰と誰の血でしょう。おっと大ヒントを出しちゃったな」

「……違うよね」

「何が?」

「違うって言って……」

「答えてくれたら教えてあげる。さあ誰?」

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ