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アコガれて魔法学校に入学したらそこは地獄だった(仮)  作者: 感想とかオホメノコトバとかいただけたら執筆スピード上がるタイプの奴。
春期
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泉 可能性の模索


 誰にも見つからず、安心して考えられる場所はどこかと考えた時、やはり葉の生い茂る木の上が一番だ。

 使い物にならなくなった右腕に魔力で握力を生み出しながら、何とか枝の上に戻る。

 結構高い位置で少しドキドキするが、ここなら見つかることはそうそうないだろう。

 ただ、かといってのんびりしてもいられない。

 現在の状態では万が一、見付かった時に、身動きが取れないからだ。

 そうすれば袋叩きに遭うことは必須だ。


(“与えようとする者”って何だ?)


 ダダダヂダ先生からもらった情報を整理して考える。

 

 魔法使いが魔力を不足した場合、新たに魔力を手に入れる方法は三つある。

 一つ目は時間だ。魔力も筋力や体力と同様に自然回復力があるので、身体を休めたり、睡眠を取ることで回復できる。(そもそもの魔力がないあたしにとっては意味がない)

 二つ目は、無為があたしにしたように、“与える側”が補助系サポート魔法を使って魔力を渡す方法。

 三つ目は“もらう側”が吸収ドレイン系魔法を使って奪う方法。

 しかし今のあたしにとっては、このどちらの方法も望めない。

 そこでダダダヂダ先生が教えてくれたのは、“与えようとする者”から魔力を奪う方法。

 今挙げた中で言えば、三つ目の吸収系に含まれるのだと思う。

 ただし、単なる吸収系ではない。

 注目すべき違いは、何より「魔力を奪うのに、魔力消費する必要がない」点だ。


(そんなことが本当に可能なら、すごいことだ)


 魔法使いとっては魔力は“お金”のようなものだ、と中学の体育の先生に習った。

 ないと生きていないし、多い分にはいくらあっても困るものじゃない。

 魔力が多いというのは才能があるのとほぼイコールだし、実際に優秀な魔法使いは圧倒的に魔力が多い。

 逆が必ずしも真なりかどうかは別の話として。

 使える魔法の数、実戦経験といったものも大事だけれど、そういった“使い方のうまさ”は勉強すれば誰でも身に付けることができる。

 しかし“お金持ち”は誰にでもなれるものじゃない。

 だから魔力が多いと言う理由だけで魔法使いとしては相当有利だし、逆に魔力がない人間は魔法使いに向いていないと普通は思われる。

 つまり、魔力ほぼゼロのあたしが魔法使いを目指すなんて“ホームレスが高級車を買おうとする”ぐらいバカらしい話なのだ、少なくともイジメられるには十分な理由になる程度の。


 そういった常識があるからこそ、ダダダヂダ先生の発言はあたしには衝撃的だった。

 お金の例えを続ければ、先生があたしに教えてくれたのは“お金を与えてくれる者がいるから、貰いながら生きていくことができる”というものだった。


 そんなおいしすぎる話ある訳ない。普通だったらそう思うに違いない。実際、疑う余地は大きかった。


(そんないい話をなぜ誰も知らないんだろう?)

 

 小学校の頃、友達から「500円欲しい?」と言われて「欲しい」と言ったら、怖いおじさんの家の庭にボールを取りに行かされたことがある。

 庭に忍び込んだ所を、おじさんに見付かって、すごく怖い思いをした。

 おいしい話には乗ってはいけないとお母さんにも教えられた。自分だけが得をするような話は、嘘が隠れているって……


 パンッ。あたしは自分の頬を叩いた。こんな時に落ち込んでなんていられない。

 騙されているかもしれない、その可能性はぬぐいきれない。

 けれどそれでも、今は信じるしかないでしょ?

 他にすがるべき糸がないのだから。


「問題は、与えるべき者が誰か」


 論点を再確認するために、わざと言葉に出した。


(少なくとも人じゃない)


 言葉にしたら不思議とそのことに気付いた。

 なぜなら他人の魔力は奪うものであり、他人が喜んで渡すものじゃない。

 無為のケースを除いて。これは姉弟だし特殊。

 となると、魔力を与える者は“人以外”ということになる。


(人以外って、具体的には何がある?)


 魔物ではないだろう。

 魔物から魔力を奪うのも人と同様、魔力を必要とする。


(となると……)


 あたしは見えるものに意識を向けた。

 木があり、土があり、草が生えている。

 空があり、太陽があり、風がある。

 

(……もしかして、自然から?)

  

 

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