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アコガれて魔法学校に入学したらそこは地獄だった(仮)  作者: 感想とかオホメノコトバとかいただけたら執筆スピード上がるタイプの奴。
春期
34/48

寮 悪魔からの招待

 

 

「スゥタンドゥアップ、むぅにいぃっ♪」


 人間一人のものとは思えない、野太い声がして目を覚ますと、女子寮のあたしの部屋にダダダヂダ先生が浮いていた。


「……えっ!?」

「“えっ!?”じゃないでしょぉん??」


 朝というには薄暗く、まだ空は明けきれていない。時計はとうに壊されているので正確な時刻を確認できないが、感覚的に四時ぐらいだと思う。


「今から特別授業よン♪♪」


 サプライズパーティーでも開くような口ぶりで、彼女は部屋中をグルグルと回った。


(ちぇちぇ先生の欠席届……言っても無駄か)


 それにしても特別授業って、あたしだけ? と考えていると、突然あたしの身体が宙に浮きはじめた。昨晩も使った、あたしを強制移動させる時のダダダヂダ先生の魔法だ。


「それにしてもイカス部屋ねェ♪ 退廃的っていうかァ♪ 正にワタクシがあの子たちに指示した通りのォ」

「……指示した?」

「アラ? 何言ってるのかしらァ、アタシ♪ やあねぇ、冗談よ冗談……ってアナタ? これは何かしら?」


 ダダダヂダ先生は、あたしの身体を引き寄せて、左腕を掴んだ。


(……っ、しまった!!)


 無為からのプレゼントである金のブレスレットをしたまま寝ていたのだった。


「なぁんだ、ただのアクセサリーじゃなァい。てっきりアキューム品でズルしてるのかと思ったのに、面白くない娘ねェ」


 バリッ!!

 ダダダヂダ先生が、あたしのブレスレットを引きちぎった。


「……アッ」

「戦いの邪魔」


 ブレスレットが床に投げ捨てられる。粉々にされたりしなかったのは幸いだった。早く隠さないと……もし放置して出かけたら、このブレスレットも昨晩のワンピースと同様、“悪霊”の餌食になる。

 でも現在のあたしは魔法をかけられ、自分の意思で体を動かせない。


「すみません、拾わせてもら」

「ドゥワァーメエエーェッ♪」


 喰い気味の即効拒否ですか……

 もうっ、お願いだから帰ってくるまで無事でいて。


「行くわヨ、」


 その後、あたしはパジャマ姿のまま、まるで紐で繋がれた風船のように、プカプカ浮かんだ状態のまま校舎裏まで連れて行かれた。

 

 ――――“泉”の中央入口。 


「まずはボディーチェックタイムね♪」

「げっ」

「今、何か言った?」

「いえ、何も……」


 ダダダヂダ先生の腕がぐいーんと伸び、あたしの身体を調べ始める。

 どうしよう……あたしは焦った。昨日と同様、脚にナイフを隠していた。

 このままじゃ……


「あれあれ、コレは何かしらあぁん?」


 彼女の手は、あっという間にあたしのナイフを見付けてしまった。


「ナ・イ・フ。英語にするとなぜか“K”から始まるナ・イ・フ。土々呂夢似ぃ、あんたバカぁ?」


 彼女が手に持ったナイフをあたしに向けた。そして――――ヒュッ。


 ………………パンッ!!


 ナイフは右の頬をかすめ、そのまま後方へと飛んで行った。音から察するに、おそらく木の幹に命中したのだろう。


「……まぁいいわ。このぐらいで許してあげる。せっかくぅ? これからぁ? チョーウルトラ楽しぃゲーム的なぁものがぁ始まるのにぃ? 今殺したら勿体なくなくなくなくなーい的なぁーっ?」


 そう言って、ダダダヂダ先生が勢いよく一回転した。クルッと回り、衣装が変わる。(これも魔法??)中世の貴婦人の鳥かごスカートの装いから、迷彩柄の軍服へと。

 ただでさえ大きい彼女が、こんな格好をすればもうそれはそれは凄い迫力だった。


「今から特別授業の説明を行うッ!!」


 姿と一緒に声まで変わっていた。本当に軍人のような、メリハリのある男性の声。

 そしてダダダヂダ先生は特別授業の内容の説明をはじめたが、それを聞いたあたしはただただ言葉を失った。

 それは“土々呂夢似を殺す”と言っているようにしか思えない【死刑宣告】――――


「現時刻より三十八分後、午前五時より“泉”内にて第五十一期生全生徒による対人魔法戦を実施する。時間は無制限。チームはAとBの2つに分かれる。チームAメンバーは土々呂夢似一名、チームBは土々呂夢似以外の一年生三十八名っ!!」



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