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アコガれて魔法学校に入学したらそこは地獄だった(仮)  作者: 感想とかオホメノコトバとかいただけたら執筆スピード上がるタイプの奴。
入学
26/48

学校玄関 真っ赤なキャリーケース

 

 

 キーンコーンカーンコーン。


「ありがとうございました~!!」


 午前の基礎練習が終わり、昼休み。

 しばらく会えなくなる無為と、食堂でご飯を食べる約束をしていた。


「トーカさんも一緒に食べませんか?」


 汗で更に2割ドンとセクシーになったトーカさんを誘う。

 でも「ヤダ」と即答で断られた。


「えーっ、何で??」

「キモいラブラブカップルと一緒にごはん食べたらフォーク投げたくなるから」

「ラ、ラブラブて、いや姉弟だし」

「ヤダねバーカ」


 そう吐き捨てて去っていった彼女の背中に「何かだんだん当たり強くなってませんか!?」と小さくつぶやく。まーいっか、二人で食べよう。あたしはその場を後にして、校舎へと戻っていった。

 その道すがら、弟の姿を見つけた。阿ノ田中校長と景子様と三人で、校舎入口の玄関前で立ち話をしている。景子様はサングラスをして、売店の冷凍チョコバナナを咥えていた。そばには真っ赤なキャリーケースが置いてある。


(あっ、景子様)


 あたしは早足で近付いた。ちょうど校長先生もいる。景子様に自分のこれからについて相談できるのは今しかない。

 最初にあたしに気付いたのは、校長先生だった。目が合って、でもあたしが近付く前に校舎の中に入ってしまった。


「あらA子」


 次にあたしに気付いた景子様が、あたしに向かってチョコバナナを振った。右手には白い袋を持っており、そこから数本の棒が付きだしているのが見える。

 よく見れば、弟もチョコバナナを食べている。

 チョコバナナ、何本買ったんだ?

 ……っていうか、名前覚えられてないっ!?


「待ってたわよ♪」


 そう言って、あたしにもチョコバナナを差し出す。


「咥えなさい♪」


 ……言い方!!


「夢似、僕も」


 無為がそう言って、申し訳なさそうな表情をした。その表情で以心伝心。(二人で食堂で食べるの無理っぽい)と伝えたいんだろうなあというのがありありありと分かる。


「A子、私最後にあなたに言っておかないといけないことがあったの」

「わざわざ、あたしのために、ここで待っていてくれたんですか?」

「当然よ。誰も知らない秘密の場所で、欲望を解放した仲だからね」

「……また言い方っ!!」


 無為を見ると、顔を真っ赤にしてあたしをチラ見していた。いや違うからね。そんなの……悪くない気もするけれど、違うからねっ!!!! 


「まーそれはいいとしてよ。A子……あら、あなた腕輪してるの?」

「あ、これですか? 無為からのプレゼントです」

「ふーん……見せて?」

「え、これですか? いいですけど」


 腕輪を外して、景子様に渡す。


「……普通の腕輪か。アキューム品かと思ったけれど」


 そう言って、弟に目を向けた。


「そんな不正しませんよ。だったら僕がここに残ります」

「そりゃそうか」

「あの、アキューム品って何ですか?」


 あたしが尋ねると、弟が説明してくれた。


「モノ自体は夢似も知ってる。一言で言えば“魔力を蓄積することができる武具や道具”のことだよ。例えば魔物と戦っている最中に魔力が尽きてしまっても、アキューム品から魔力を補充して回復することができる。といっても高級品じゃない限り蓄積量は少ないし、溜めていた魔力も時間が経つ毎に漏れ出てしまうから、気休め程度の効果しか期待できないけれどね」

「でも何だか役に立ちそう」


 通常保持できる魔力が0のあたしでも、その道具を使えば、戦闘中に魔法を使うことができる――そんな期待を抱いた。

 のだけれど、

「ダメよ」

 と景子様に否定された。どうして!?


「確かに最近はアキュームの技術も向上してるし、二百万ぐらい出せば、普通に魔法使いできるぐらいにはなるかもしれない」

 に、にひゃくまんっ……ですかっ!? それはなかなかどうして厳しいっす。

「でもそれじゃあダメだわ。面白くない」

 んっ、景子様、今“面白くない”って言いましたか……その心は??

「そーよ、アキューム品に頼るぐらいなら一人でオナってた方が――」

「ここは学校だーーーーーーーーーーっ!!??」


 怒号!! これは校長先生の声っ!?

 とその時、校舎の中から巨大なハンマーが回転しながら飛んできた。

 物凄い威力!!


「うげっ」

 と景子様が魔法防御を張る。

 ガキンッと金属がぶつかり合うような衝突音。ハンマーは地面に落下し、景子様が軽く吹き飛ばされた。

 ……普通の人なら、死んでます。


「殺す気か―っ!!」

「そうじゃヘンターイッ!!」

「相変わらずジョークが通じない人ね」


 ため息を吐いて、側面に【必ず死ね】と墨で書かれたハンマーを拾い上げる景子様。校長先生、達筆だな。


「で、話が逸れたけれど」と再びあたしを見て言った。「私は肉と肉のぶつかり合いが好きなの」


 そしてハンマーを粉々にした。一瞬だったので、どんな魔法を使ったのか想像できなかった。


「し、知ってます!!」

「さすが私のファン。じゃあ今からする私のアドバイスもきっと理解してくれると思うわ」

「アドバイス……!?」

「そうよ。これからA子がこの学校で生き残っていくためのアドバイス♪」

「本当ですか!? やったー、ちょうど教えて欲しいなと思ってたんです!!」


 目が輝いている気で景子様を見る。

 いったいどんなことを教えてくれるんだろう。

 きっと景子様のことだから、意表を突くような、それでいてすんごいカッコイイアドバイスに違いない。

 そんな期待を抱いて待っていると、景子様はパチンとウインクして、笑顔でこういった。


「半年後、グレイと魔法で戦って勝てなかったら魔法使いをあきらめる」

 

 

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